えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

また大手代理店にだまされて

私にはもうひとつ興味のわかないCMの話です。

ひとつ前の記事と逆で、自分であまり興味がないCM(あるいは、マーケティング)の話です。

なんで「興味がない」ことを?

はい、実は「問い合わせ」が多いんですよ。 スタート以来、いろんな人から。 「お。さんとしては、これをどう読むんですか?」とか、「何がしたいんですかね?」とか、「評判ですが、効果はあるんでしょうか?」とか。

もう、一時の勢いはなくなっているし、きっとあらゆるところで議論が尽くされているんでしょうから、いまさら私が取り上げても、ですが、ご質問をいただいているので。


smap
さんのやってるsoftbankのCMです。 最初のと、カラーバリエーションのを念のためYouTubeから引っ張っておきます。

 
どうして興味がないんでしょうね。 犬の方のシリーズは嫌いじゃないんですが。

それはおそらく、彼らがやっているのは「金持ちのケンカ」、札束を大砲でぶっ放す戦いで、あんまり「マーケティング」って感じがしないからなんでしょうね、私にとって。 それがsoftbankらしさでもあるので、そういう意味ではいい「ブランド」作りなのかも知れませんが。


ニッポンを代表する
docomoの広告に出ていた、ニッポンを代表するタレントさんを「すべての日本人」として設定しておいて、softbankに「乗り換え」させる、その「やらせドキュメンタリー」を広告として垂れ流していく。 そういう丸見えの「作られた事件」ですね、最初のシリーズは。

いかにもお金持ちの考えそうなことです。


機種のカラーバリエーションや
iPhoneへの展開は、まぁ、かつて彼らが「外タレ」さんたちでやっていたことの継承ですが、これもまた「やらせドキュメンタリー・えせメイキング」的な作りです。

ただ、こっちのほうは、なかなか素敵なアイディアで、私にとっては「smapさんさえ出てなければ、なかなかいい広告なのに」って感じです。 もし世界がたくさんの鮮やかな色であふれたら、今よりずっと楽しくてわくわくする世界になるかもしれない。 悪くないですよね。 映像もなかなかきれいです。


しかし、「金持ちのケンカ」ですので、メディア量も半端ない。 いや、むしろ、圧倒的なメディア量で、「やらせドキュメンタリー」を「悪ノリで楽しむ事件」に変換してしまっているんですね。


ということで、私のような立場のものに、ここから学ぶことはたいしてありませぬ。 継続は力、ですから、がんばって続けてほしいですが。


ここに「警告」があるとすれば、こういう、元のアイディアがちんけなくせに「事件性をあおる」方法を取るのは、あなたが金の使い道に困っていない限りやめましょう、ということですかね。

元のアイディアをちゃんと強いものにする、確かに大変ですが、そっちをお薦めします。 それが素晴らしければ、あおらなくても「事件」になるはずですから。


お。

いろいろと複雑な思い・疑問にあふれる広告賞なんです。

今年の「消費者のためになった広告」賞が決まったようです。

そもそも、そんなものがあったのかと思ってらっしゃる方も多いかと思いますが、実はすでに49回なんですね。

今回は、Panasonicナノイーの新聞広告、東洋エクステリア サポートレール(手すり)の雑誌広告、そして東芝の企業広告(TV)の3つが「経済産業大臣賞」、まぁ、グランプリですね、を受賞したそうです。 前のふたつは、ネット上で情報が見つけられなかったんですが、東芝の電球のCMはYouTubeにありましたので、載っけておきます。


なかなか人気のあるTVCMのようですよ。 「へ~、そうなんだ。 へ~、そうするんだ。」と見てしまいます。

この広告を見て、あわてて家中の白熱灯の形を確かめてリストにして、白熱灯を大量に買いだめしてしまった私は、いかに蛍光灯が嫌いだとは言え、ちょっと問題のある反エコな人間ですね。 すいません。 でも、私に行動を起こさせた、そして、「この在庫が切れたらLEDにしよう」と思わせたという意味では、いい広告ですね、はい。 言い訳。

 

で、何が「複雑な思い・疑問」なのか? それが、いろいろあるんですよ。

 

そもそも「消費者のためになった」って、いうのが「?」。 ということは、世の中には消費者のためにならない広告があふれているということですかね。 あ、そうじゃない、と。 「もっともためになった」のを選んでるんですよね。 すいません、変なところにからんでしまいました。 あ、しかも、世の中には消費者に向けているわけではない広告もたくさんある、と。 そうですね、株主対策、リクルート対策、流通向け、社内向けなど、いろいろありますね。 しかし、「ためになった」って、なんか、ちょっと上から目線ですよね。 それは揚げ足取りだと、はい、すいません。

 

実際の話、メーカーのマーケティング・広告の仕事をしていたころ、 この広告賞をいただくのはとてもうれしかったんですよ。 消費財メーカーでしたから、やはり広告を流すことで売り上げが上がるのはうれしいし、ユーザーさんなどから「いい広告です」とか「ブランドが好きになりました」とかいう声をいただくと、疲れがいっぺんに吹き飛んだものです。 さらにそれがお客様の「ためになった」と選ばれて賞をいただけるのは、とても名誉なことですから。 きっとたくさんのお客様のアンケート調査などで選ばれたのだろうから、最高のごほうびです。

 

え? そういう風に選んでない、そうなんですか?

と、今回の選考メンバーを見てみると・・・。 本審査の審査員は大学の先生や消費者団体の代表など。 そうなんでしょうね、まぁまぁ納得。 12名中6名は女性のようです。 ちゃんと考えてる感じがします。

で、この人たちが月に1000作は新作が生まれていると言われるTVCMに加え、新聞・雑誌・ラジオ・Web広告に目を通す、わけはないですね。 モニター会社が選んだものと応募があったものから選ぶ、と。 なるほど、そして予備選考があって・・・。

と、予備選考のメンバーを見てみると、20名中7名が大学生・大学院生、4名が大学講師など、半分以上大学関係者じゃん。 なにそれ・・・。 3500作品ほどの応募作品をこの人たちが600弱まで絞るわけですね。 へ~~~~~、なんだそりゃ。

 

「複雑な思い」といえば、どういうわけか、この広告賞、いただくと広告主はとても喜ぶのに、クリエーターの方はなぜか「苦笑」されるんですよね。 全員というわけではありません。 とても喜んでいる方もいらっしゃいます、もちろん。

でも、何となく「苦笑」なんですね、広告業界では。
邪推かも知れませんが、「消費者と広告主のためにはなったかも知れないけど、クリエ-ティヴとしてはもうひとつためにならない広告賞」という印象です。。

選考のプロセスに疑問を感じているから、かなぁ。 確かに、通常の広告賞と違って、広告業界・クリエ-ティヴ系の方は審査員にいらっしゃらないようですが。

 

「作品としての芸術的な価値を評価しているわけではないから」? そもそも広告は芸術じゃないんですけどね、第一義的には。

そこまでいかなくても、「広告表現の新しさ・斬新さを評価されているわけではないから」? その気持ちは理解できます、なんとなく。

「なんとなく、ださい印象があるから」? あ、それ、わかります。 なぜですかね?

と、受賞作品をず~~っと見てみると、なるほど、表現が古くさかったり、そして何より、うまくいえないんですが、どうも「啓蒙的・お説教的」な作品や、「おせっかい」風なモノ、「私って世の中のためにがんばってるでしょ」みたいな自画自賛広告が多いように思います。 このせいかなぁ。 (確かに常連Panasonicさんは、相も変わらずPanasonic啓蒙節です。)

 

今度、誰かつかまえてじっくり聞いてみよ。

 

お。

エステー(化学)よ、どこへ行く?

少し前の話になりますが、そうですね、およそ2・3年前から半年ほど前まで、やたらとエステーのTVコマーシャルを、しかも、かなり「?」なシリーズを見かけました。 特にここ1年余りのシリーズは、「いくらなんでも、、、」という感じでしたね。
ある日、一緒にTVを見ていた友人に、
「こんな広告やってたら、そのうち社長、くびになるよ、きっと。」
と冗談半部で話しかけたら、業界に詳しい友人、
「あぁ、あそこね、社長代わったらしいよ、最近。」
え! そうでしたか、、、。 友人によれば、先代の社長の息子さんが社長になったものの、結局、先代が再び社長に戻った、とか。
あらあら、、、。
(この交代劇が、このCMたちのせいだったのかは、全く知りませんが。)

壮大なスケールで「ニオイのない快適な生活」を「未来のお殿様とその家族」という設定で描くシリーズ。 お城の大広間らしきところで、奥の女中や家来衆、はては忍者も出てましたか、みんなでミュージカルばりに歌って踊って、「しゅ」と(消臭)する。
消臭プラグという商品ですね。
その後、なぜかロボットと暮らすお殿様家族の広告もありました。
(別の商品ですが、ともかくたくさん外人さんが出てきて、「消臭~力~」と歌いあげたりするシリーズもありましたね。 あと、よくわからない着ぐるみキャラクターが出てくる衣料用防虫剤の広告シリーズもありますが。 こちらはまだ続編のだ じゃれ編がオンエアされているようです。)
ともかく、スケールが大きく、大変お金のかかった作りの広告ばかり。 一視聴者として見ているだけなので、正確なことはわかりませんが、おそらく放映量もこの商品カテゴリーにしてはかなりのものだったのではないでしょうか。

あきらかに「金のかけすぎ」です。 何が言いたいのかわからない、という広告ではなく、なぜそれを伝えるのにその方法なの?という、ほとんど「悪ふざけの悪ノリ」なものばかり。 どうしてこういうことになったんでしょうかね。
まさか、大手広告代理店にだまされた、というパターンでしょうか?
それにしては、一応アイディアの筋は通ってるし、あらゆる広告がそうなっているし、シリーズ化されてるし、、、。 何か意図があったはずです。

「シュっ とやるだけで住空間の消臭ができる画期的な商品を使えば、家族が楽しく快適に暮らせる」ということを伝えるつもりなんでしょう。 それ自体、間違ってはい ません。 しかし、そのままじゃあまりに「あたりまえ」で漠然としていて、消臭効果のある製品が五万とある中、どうしてその商品だといいのか、全くわかり ません。
そもそものアイディアに新しさがないわけです。
いろいろやってみたけど、なかなかうまくいかない。 そうなると、表現を派手に、おもしろくするしかなくなります。
ということで、「画期的=未来の」、「家族=お殿様と家来・家族」、「楽しい=ミュージカル」、「住空間=お城の大広間」と、ド派手にしてみたんですかね。

エステーといえば、おそらくみなさんが覚えているのは「消臭ポット」のかわいいコマーシャルじゃないでしょうか? 思わず口ずさんでしまった方も多いはず。  きっとかなりの成功を収めたはずですよ、ビジネスとしても。 差別化が難しく、人の記憶の優先順位が低い商品カテゴリーで、あれは素晴らしいヒットでした。

そうか! それだ。 ユニークなネーミングとユニークな広告があれば、このカテゴリーでも商品は売れる。 その経験の拡大解釈、あるいは、ゆるすぎる解釈がもたらした、大投資劇だったんじゃないでしょうか? そして、新任社長の気合いの空回り?
ともかく、もう一度「消臭ポット」の広告を流すことをお勧めしますよ。 また売れますって。 あれはいい広告です。 (You Tubeで見つけられませんでした、子供たちが出てきて歌うだけのやつです。)

それにしても、この「TV広告は社長の道楽」という文化、いまだに目にする・耳にすることがありますが、もう高度経済成長期でもバブルでもないんですから、そろそろおやめになったらいかがでしょうかね? 大手代理店さんが儲かるだけですよ。

お。
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プロフィール
お。"

えとじや店主 お。
  岡本 晋介

* 世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する、腕利きコンサルタント、になるのが夢です
* それに向けて、現在、鋭意努力中

* 1988年、大手外資メーカーのマーケティング部に入社、以来21年、ブランド・マーケティング一筋でした
* 7年間、いくつかの商品(ブランド)を担当、コンセプト開発、新製品導入から広告制作、マーケティングプラン・投資の決定、消費者リサーチと、あらゆるマーケティング仕事に携わりました
* その後14年間、マーケティングの社内コンサルタントに「社内転職」、2~3人しかいない部署でしたので、一度に10以上のブランドの担当を務めました
* 関わった「子供たち」は、かなり多数ですが、主なものとしては、アリエール、パンテーン、イリューム、Vidal Sassoon、SK-II、ボールド、レノア、ジョイ、Max Factorなどその他多数(どこの会社か、ばれてますね、これじゃぁ、、、)、「子だくさん」です
* 各ブランドのコミュニケーション戦略・企画のアドバイスをしながら、マーケティングや関連部署、担当代理店などの人材育成・教育・指導にもあたっていました

* 2009年夏に退社。
* マーケティングなんでも相談所「株式会社えとじや」設立。
* コンサルのかたわら、マーケティング関連のセミナー・研修などの講師をやってます
* そうそう、性別は男性、年齢は40代前半、です

* 「ブランド・マーケティングで世の中の問題を解決する」って?
* 実はブランド・マーケティングとは、有償・無償を問わず、お客さんを相手にコミュニケーションをとらないといけないすべての業種に適応できる考え方
* でも、世間では「大手の企業が金をかけてやるもの」と誤解されてしまっているのが、悲しい
* 「へぇ~、こんなこともブランド・マーケティングで解決できるんだぁ、ありがとう!」って言ってもらうのが夢です

* 趣味ですか?
* スノーボードを14年やってます。 最近5年ほどは、ニセコを中心に年間20~30日雪山で過ごしながら、ときどき軽いバックカントリーを楽しんでます
* 音楽、ロックやらブルースやら、を聴くのは大好き
* あとは、陶芸・料理・草刈り・薪割り・読書、たま~~に自転車、ですかね
* どんな人柄?
* 難しい質問ですねぇ。 自分ではよくわかりませんが、人にはよく「ひねくれもの」・「物知り」・「説教好き」と言われます。 サラリーマン時代から「サラリーマンに見えない」と言われてました、まぁ、社会人としての常識に欠けるという意味なんでしょうね、、、

twitter : etojiyaokamoto
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