今回はちょっと変わったテーマで。 クリネタとして「大阪」が特集だったので、それに合わせて、私も「大阪式マーケティングとは」みたいなことをつらつらと書いてみました。
よかったら、どうぞ。
クリネタ No.9 ~活字で読むデザインマガジン
販売元:ワニブックス
発売日:2010-04-20
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関西人でない私が、しかしすでに20年以上関西に住んでいて、なんとなく感じていたことをまとめただけの文章で、データもなければ根拠もない「個人的感想・解釈」ですが。
お。
ひねくれマーケッターのひとりごと
今回はちょっと変わったテーマで。 クリネタとして「大阪」が特集だったので、それに合わせて、私も「大阪式マーケティングとは」みたいなことをつらつらと書いてみました。
よかったら、どうぞ。
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関西人でない私が、しかしすでに20年以上関西に住んでいて、なんとなく感じていたことをまとめただけの文章で、データもなければ根拠もない「個人的感想・解釈」ですが。
お。
何人かの方から、いくつかご質問をいただいております。 そのひとつに対する、直接の答えと、それに関するマーケティング話を。
「docomoのGoogleケータのCMだとか、WINDOWS7のCMだとか、AppleのiPhoneのCMだとかは、いずれもバタくささという点で共通しているのですが、あれは効果的なんでしょうか? (中略) 日本の企業はなかなかやらないああいったテイストを、外資企業がそろって作ってしまう力学はなんなのだろうと気になりました。」
という質問でした。 佐々木さんからのご質問です。
なかなか見てますね。 FRISKやNIKE、XEROXとかもそうでしょうか、バタくさいテイストです。 (って、みんな気づいてるんですよね、なんとなく。 はい、見ている人は気づいてますよ! というのは、マーケッターの方々へのメッセージ。)
いくつかの質問が入っていますので、整理してみます。
1.バタくさいCMはどうしてできているのか?
2.バタくさいCMに、そのねらい・効果みたいのはあるのか?
(3.どうして日本の企業はあまりやらないのか?)
ですね。
1については、私は専門ではありませんので、コマーシャルの制作会社で長年プロデューサをしているSound By Sの阿部さんに聞きました。 しかし、(話も長いが)答えが長~~~いし、専門用語やら業界用語、隠語、実名を伴う愚痴が多かったので、私のほうでまとめ直しました。
そのうえで、2についてお答えします。 3については触れていくようにします。
ごくごく簡単に言ってしまうと、あのバタくさい広告は、欧米のディレクター(監督)やカメラマン、スタッフなどが作っているからです。 なので、バタくさい。 すいません、単純な答えで。
撮影の方法や、レンズの選び方、照明(ライティング)の仕方、その裏にある考え方が違うことによる違いなんです。
もう少し詳しく話しましょう、阿部さんの受け売りですが。
アングロサクソンに代表される白人種の瞳は、有色人種のそれと違って、非常に光度、特に紫外線に弱く、直接的なライティングを嫌います。 その結果、壁に光を当てたりする、間接照明のような照明が好まれます。
比して、日本では直接被写体に光を当てるのが好まれます。
結果、ハリウッド映画もそうですが、海外のCMは、見たいものだけが見える、日本のCMなどは、画面の中にあるものすべてが明るく見える、という違いが生まれます。
これに伴い、カメラのレンズも違います。 欧米では長いレンズを使って=被写体深度の浅い=ちゃんと狙ったものはちゃんと写るが少しでもずれるとボケる絵を撮ります。 日本では短いレンズで、光のあたっているところは余さず撮ってしまいます。 望遠レンズと広角レンズといえば、私たち素人にもわかりやすいでしょうか。
この二つが大きな理由ですが、その他にもいろいろとある小さな違いの積み重ねが、結果として出来上がったフィルムのテイストの違いとなって出てくるわけです。
これがどういうわけか、日本では撮れないんです。 なんでもできる器用な人種なのに、どうやら同じことはなかなかできないようです。 業界の構造・業界を支える技術・知識・経験・人材・徒弟制度・美学の総合的なものなので、やろうと思ってできるもんじゃないんですね、きっと。
ですので、ああいうバタくさいテイストのCMが作りたかったら、海外で海外のスタッフで撮影するしかありません。 結果的に日本の企業のCMにはなかなか見られない、というわけです。
では、そのマーケティング的なねらい・効果、についてはどうでしょうか?
ここに挙げた、ちょっと懐かしいフィルム、1990年代のハーゲンダッツアイスクリームのコマーシャルです。 懐かしいですね。 90年代当時、世の中にこうした質の高いバタくさい映像が、映画ではなくCMに出てくるようになって、「なんか、かっこいいねぇ」だったものです。 私がかつて担当していたVidal Sassoonの新発売時のCMも、バタくさいフィルムでした、実際ハリウッドで撮影したものでしたし。
さて、ハーゲンダッツは、もちろん海外のブランドですが、実はTVのコマーシャルは日本が最初だったのですよ。 ですので、このバタくさいCM、実は日本のハーゲンダッツが、日本の消費者をターゲットに、日本でオンエアするために作ったんです。
そこには、きっと「バタくさくあるべき」というマーケティング上のねらいがあったのだと思います。
そしてそれは見事に達成されたわけですね。
そんじょそこらにある子供向けの安いアイスクリームではなく、(ヨーロッパで作られたに違いない)オトナのための高級(洋モノ)アイスクリーム、というイメージは、まさにこのフィルム1本で私たちの心に鮮やかに刻み込まれました。 のちに日本以外でも同じ手法でTVCMを流すようになったと聞いています。
Vidal Sassoonも同じですね。 実は当時まともに大きなマーケティングをしていたのは日本だけ、本国イギリスではすっかりマイナーなサロンのシャンプーだったのに、あのフィルムのおかげで、バブル真っ盛りの日本に海外の高級ヘアケアブランド日本上陸、という印象が出来上がったわけです。
TVを見ている人が映像や音楽からなんとなく受け取る感覚的印象、って文字情報以上に大切です。 ですから、ハーゲンダッツなどの場合、バタくささを効果的に利用した、とてもいい例だと言えます。
ただし、そこにたいした意図もねらいもない、というケースもあります。 単にアメリカやヨーロッパで流している広告を流しているだけ、だったり。 また、日本の企業がそういうフィルムをなかなか作らないのは、わざわざそうする理由があまりない、ということなんでしょうね。
さて、ブランド・マーケティング上の課題となるのは、時には日本で作ったり、また海外で撮影したりしているときに、結果として、フィルムの肌触り以上の「感覚的印象の異なる複数の人格」を作り上げてしまっていないか、ということです。 海外、それもアメリカで撮影するって、大変なんですよ。 お金もかかるし、時間もかかる。 スタッフやタレントさんのスケジュールが合わない、などなど。 で、ついつい、いいか、日本で、ということになります。 それは仕方ないことだとは思いますが、しかし、2種類の違った路線のコミュニケーションが混在したとき、あるいは前後したとき、見る人たちの中に、はたして同じ「人格」として認識され、蓄積されるのか?
あるいはもっと単純に、「なんか、安っぽい、この会社、最近、手抜いてるよね、なんとなく」と思われてしまうかもしれません。 見てる人は気付いてますからねぇ。
お。
日常生活の中に宗教を持たないことが多い日本人にとって、原理・原則に従って生き方を決めたり、行動や選択の基準にしたりとかいうのは、少し苦手なんじゃないかと思います。 ルールを決めてそれに従うのは得意だし、前後の文脈・状況で判断を変えるのも素早いですが。 まぁ、かくいう私も、のっほほ~~~んと生きてますし。
(と、およそマーケティングとは関係のなさげな出だしになってしまいましたが、もうしばらくおつきあいください。)
さて、ある日、あなたはコーヒーを買いにスーパーに行きました。
ついでに、切れていたコーヒー用の砂糖を買うことにしました。
ここで問題。
コーヒー用の砂糖はどこに置いてあるでしょう?
(あなたが、買い物慣れしていて、その店のことをよく知っていたら迷わないでしょうが。)
答え: 味噌・塩のとなりに置いてあります、たいていの場合。 (と、うそを書いてはいけないと思い、昨日、家の周りにある大手スーパー5軒まわってきましたが、例外なく、すべてそうでした。)
コーヒー豆や紅茶、ココアなどが売っているところにはないことが多いのです。
紙おむつは生理用品とペーパータオルとティッシュのコーナーにあって、ベビーフードは缶詰のコーナーにあります。
あなたが、もし、「よお~し、今日は気合い入れておいしいパスタを作るぞ!」などと思い立って買い物に行くと、インスタントラーメンの隣で麺をつかんで、鯖の味噌煮の隣からアンチョビとオリーブを取って、ごま油と並んでいるオリーブオイルを選んで、日高昆布の横に置かれたトウガラシをかごに入れ・・・。 もちろんニンニクは野菜売り場です。 あ、料理用のワインを買わなきゃ! と、料理酒とみりんの間をどれほど探しても、ありません。 おそるおそる店員に聞くと、「あ、お酒のコーナーですよ(あたりまえじゃないですか)。」と言われます。 え? さっきビール買いに行ってたのに・・・。 小振りの店でも数百メートル歩かされます。 郊外型の大きなお店なら、かなり激しい運動になりますよ。
ところで、多くのお店には「社訓」とか「社是」とかいう類のものがあって、裏の事務所の壁、Faxの上あたりか、配電盤の横あたりに貼り付けてあります。 曰く「当店はお客様本位の経営に努めます。 お客様にとって、楽しく便利にお買い物をしていただけるよう心を尽くします。」とか。
そして、今日もお客様は店内でいい運動をさせられているのです。
どうしてそうなっているのか? それは、お店や問屋さんにとって在庫の管理がしやすいからです。 店の担当は売り場ごとに決まっていて、コーヒー売り場の担当者と調味料(砂糖)売り場の担当者が同じとは限らないのです。
つまり、全く「お客様本位」ではないわけですね。 売り場と在庫の管理という、売り手本位の店作りなわけです。
社是に書いてあるのなら、それを原則として、ちゃんと行動に反映させなければ意味がない。 あるいは、逆に「売り場と在庫の徹底管理と効率化によって、1円でも安く提供する」とか、「利益向上を最優先にがんばる」と書くべきです。
さてさて、すっかり説教臭くなってしまいましたね。
多くの企業・会社・お店には、社是や社訓、行動規範があり、また、創業者の教えみたいのがあったりします。 そして、ブランド・マーケティングの世界には、ブランド・エクイティーとか、フィロソフィーとか、ストーリーとかがあります。
一貫したブランドイメージを構築しつつ、成功を収めているブランドの多くは、驚くほど忠実にこれらの原則に則した行動=マーケティングをとっています。 ルイ・ヴィトンは、いついかなる時もルイ・ヴィトンらしさを失わない、けど、いつもファッショナブルです。 ハーゲンダッツは、いつでも「オトナが溺れるアイスクリーム」であり続け、でも、楽しい季節限定の味も味わえます。
しかし、冒頭のお店の話と同じように、ブランド・フィロソフィーは壁に貼られて日焼けしているだけで、使われていないことも多いのです。 世の中の情勢、競合の状況が厳しいから、(いつか、ひまなときにはやってみるけど)今はそんなことは言ってられない、と担当者が考えていることもあります。 あるいは、お客さんのいいなりになって、あっち行ったりこっち行ったり。
そのくせ、多くの食品雑貨小売店チェーンと同じように、みんな「これじゃぁ、どこも同じだ」と悩んでいます。
社是や社訓、創業者の言葉、ブランドのエクイティー、フィロソフィー、歴史などには、時代が変わっても必ず守るべき教訓やら原則やらが、必ず書いてあります。 あるいは、書いてなくても、その裏に必ずそうしたものが潜んでいます。
たまには、壁から外して、ホコリを払ってあげましょう。
生き方だけでなく、マーケティングや経営も、「原理・原則に従って行動を決める」というやり方に少しこだわってみてはいかがですか。
え? スーパーで買い物がうまくなるこつ、ですか?
どこの問屋さん・業界から仕入れているか考えると、すぐ見つかるようになりますよ。 紙製品は紙問屋、乾物は乾物問屋、食用油は油問屋・・・。
やれやれ・・・。
お。
「No.1ブランドになるためには?」という大きなタイトルをつけてしまいましたが、そんなたいそうなことに答えがあるわけもなく、まぁ、そのヒントみたいなことを書いてみましょうか。