続きの記事みたいな感じになってしまいます、ので、とてもとても基礎的なお話しですが、ひとつ前に、マーケティングの役割は、「認識や感情を変容させ、行動が変わるように仕向ける」ことだと書きました。 さらに、その認識や感情を、うまく捉えることで、戦略やプランがぐっと良くなるので、それこそが、マーケターの仕事だ、とも。

例えば、「必要かもと感じている⇒必要だと知っている」と。

 

意識変容この「⇒」に当たる部分が、マーケティングの戦略だったり、具体的な施策だったりするわけですね。

ある広告を見て、とあるDMに接して、SNSでにぎやかな話題に触れて、ある人の意識が変化して、使用や購買の行動につながる。

それが「⇒」です。

なので、みなさん、この開発に(思い付きに)時間とお金を費やし、または、外部の専門家にコンサル料をお支払いしたり、大手広告会社に大枚をはたいたりする。 (んで、失敗したら、また別のことを考える。)

もちろん、それこそが、世の中に出て、人々の目に触れるものなので、とっても大事なんです。 手を抜いてる場合ではない。 お金も時間もかけるべきです。

でも、より効果的な「⇒」を生み出すために必要なことを、探り出し、定義し、決めることのほうが、ずっと大事だと思うんですよね。

AB」のABについて、良く知り、「なるほど~」な言葉にまとめ、「よし、それで行こう(それ以外は気にしない)」と決めること。

それを(鮮やかに)やってのけるのが、マーケターなんじゃないか。

 

さて、じゃ、どうしたらいいのか、ですよね。

以前、K。が書いた人気記事「買わない理由を聞いても、あなたは何もできない」でも議論しましたが、やっちゃうんですよねぇ。

(話を単純にするために、「A(まだ買っていない)B(買った)」という恐ろしく単純な意識・行動の変容を例にしますが、)

とても多くの(まじめな)マーケターたちが、Bに変化しなかったひとに「どうして買わないんですか?」と聞く・・・。

もちろん、答えは出ません。

では、何をすべきなのか。

 

以下、(ほぼ)鉄則です。

Bのひと(なるべく最近、意識・行動が変化したひと)に会いに行って、どんなひとなのかを知り、そのひとが、どういう状況で、何をきっかけに、どういう気持ちで、その変化を乗り越え、今、どう考え感じているのか、以前とどう違うのかを知る。

Aのひと(意識・行動が変化しなかった・していないひと)に会いに行って、「どうして変化しないのか」を聞くのではなく、どんなひとなのか、Bのひとと似ているのか、違う感じのひとなのか、どんな生活をしているのか、何を大事に思って生きているのか、あなたの製品・サービスのカテゴリについて、どう考えているのか、を知る。

 

つまり、買わなかったひとに、買わなかった理由を聞くのではなく、どんなひとなのか、代わりに何をしているのかを知る、買ったひとに、なぜ買ったのか、どこが良かったのかを聞くよりも、どんなひとなのか、何が変わったのか、そのきっかけは何だったかを知る、ということ。

まぁ、ブログで何度も書いていますが、「答え」を聞きに行くのではなく、答えにつながるヒントや状況を理解しに行く、ということですね。 答えは、あなたが考えること。 あなたはそれでお給料をいただいているわけなので。

 

 

「糖質0%『えとじやスナック』」、もうひとつ売れないので困っています。

担当者アキヲ君は、「A:知ってはいるけど買っていない ⇒ B:買って食べた」と行動の変容を規定したうで、意気揚々と調査に出かけます。

Bさんに、「なぜ買ったんですか?」と聞くと、「最近、糖質を気にしているので」と答えます。

(ほら、やっぱり!)と、今度は、Aさんに聞きます。

Aさん、なぜ買わないんですか?」

「あ、いや、別に・・・。 糖質とか、よくわからないんで。」と。

(ほ~ら、やっぱり!)

と、アキヲ君、「糖質とは!」という広告を大量出稿、そして大量出血。

 

ある日、アキヲ君はどこか遠くに転勤してしまい、代わりにハルナさんが担当に。

彼女は思います。

(もっとBさんのことを知りたい。)

そして調査に出かけます。

Bさんの普段の生活や、バッグの中身、コンビニでの買い物、冷蔵庫の中などを、そしてそもそも、Bさん自身の姿を観察しました。

(あれ? Bさん、冷蔵庫にも部屋にも、すぐ食べられるお菓子があちこちに置いてあるぞ。 しかも、ちょっと疲れたときには、とか言って、しょっちゅうアイスクリームとか食べてるし。 え? 昨夜はコンビニのかつ丼だったの?)

 

ハルナさん、(これはもしや?)と、Aさんにも会いに行きます。

Aさん、「なんかね~、ちょっとおなかすいたりしても、我慢するようにはしてるんです。 夕食に響く気がするし、何より、間食って良くない気がして。 でも、やっぱり時々は食べちゃいますよ、お菓子。 昔から食べてるチョコレート菓子ですね、やっぱり食べなれてるし。」と。

でも、よく観察すると、部屋の中に他のお菓子が無いわけではないし、コンビニで、新製品チェックとかもやっているようです。

「糖質とかは、気にされますか?」

「いや、よくわからないんで。 難しそうだから、あんまり気にしないようにしてます。」

 

そこで、ハルナさん、下記のようにまとめなおしてみました。

A:知ってはいるけど食べていない。 糖質とか言われてもよくわからないし、せっかく食べるのにおいしくないとがっかりなので、間食は我慢しつつも、結局は食べるので、せっかく食べるときは確実においしそうなものを選ぶ。

B:買って食べている。 「えとじやスナック」は、小腹がすいたとき、罪悪感を抱くことなく食べられるので、とっても便利~。 他の、明らかに太りそうなお菓子ばかり食べてると良くなさそうなので、それらの間に「えとじやスナック」を挟んで気分的にリセットしている。 おいしいし、気に入ってる。

 

 

どうでしょう?

なんか、やるべきことがはっきりしてきませんか?

 

そうでもない?

例がわかりにくい?

すいません・・・・。

 

お。