IMG_1633弊社がお仕事の打診をいただいて結局前に進まないパターンのひとつに、「そもそもあなたの担当商品を廃盤にするか社内の別のブランドの一部にしてしまったほうが会社にとってずっと効率がいいし長期的には正解ですよというのがあります

当然のことながらその商品を担当する方が声をかけてくださっているわけで、「なんとかしたい。 きっとブランド化することでもっと売れるに違いない。」と思われたからこそこんな零細コンサルに連絡をくれたんですよね。 なのにそんな・・・。

しかし残念ながらこういうケースは少なくないんです

相手にそうした決断をする権限と勇気があると前に進むこともあるんでしょうがたいていの場合

売れないから売れるようにしてくれって頼んでるのに、『売るのをやめればいいとは何事だ けしからん

となるわけです

そりゃそうですね・・・。 すいません

 

でもなぜそういうひとりで生きていくには小さすぎる弱小製品(群)が、かくも多いのでしょうか

 

まずみなさん新商品を出すのがお好きです。 しかも出した結果売れなくてもそのままおいておくのホントにお好きですよね。 カタログに載ってるだけ育てるわけでもなく飼い殺し実に多い

そしてまた春が来て君は新製品をどっと出す

 

みなさん特に日本企業のみなさん、「XXの総合メーカーになるのお好きです。 「総合に見えるようにわざわざ利益の出ないサブカテゴリに新製品出したりNo.1でもないくせに確実に縮小傾向に市場にしがみついたり自社に有利な条件や資産がないにも関わらず飽和状態にある近所のカテゴリに進出したり

私は百貨店症候群とも呼んでるんですがともかくカタログや本社の受付横のショーケースが充実しているとすごい会社になった気になれるというメンタリティなんでしょうか

もしかすると、数が多い・仕事が多い・忙しいことがいいことだと思ってる? そんなわけはないですよね・・・。

 

さらにもうひとつたぶん日本企業もしかしたら日本の文化の特徴()だと思ったりもするんですが(良いところ得意なところ重要なところを伸ばすより)悪いところ苦手なところ足りないところを直すほうが好きというのも働いています

これはもう確信に近いですね発想がそこにあることがとても多い

どこの企業におじゃましても感じるんですがみなさん悪いところを直して平均的に良いものにするのが大好きです。 癖というかほぼ無意識にそう考えてしまうようです。 でもそれってわざわざ特徴のない普通のひとになるためにがんばってるわけですよ。 算数はそこそこできるから苦手な国語を克服しようって感じなのかしら 算数がんばればいいのに

出来の悪いかわいい製品やサービスが生かされ続ける

 

結果とても多くの会社が売れない動きの遅いSKUを大量に抱えてあらゆるところに非効率を発生させてしまうわけです

 

そしてそれは生産や管理上の無駄だけじゃなくマーケティングにおいても同じ

商品の数種類が多ければ担当者の人数や時間も必要だし販促費用などの目に見える無駄だけでなくやむを得ないときのパッケージの変更などの手間もかかる。 そして、何か施策を打とうにもスケールが小さすぎて担当者しか知らないマーケティングプランがひっそりと実施される (例えば鳴かず飛ばずのTwitterアカウントとか個人の晩ご飯の写真よりいいね!」が少なそうなFBページとか、サイバースペースの片隅、窓からろうそくの灯のような明かりを放つホームページとか、ターゲットが絶対に見ないケーブルテレビで大声をあげるTV宣伝とか、ようけありまっせ

そもそも冒頭の例のようにやめてしまったほうがいい商品に優秀な担当者が就いて日々頭を悩まし挙句の果てにコンサルまで雇う羽目にもなる

同じお金を遣うのなら大きなあるいは重要なビジネスに投資したほうがいい

同じ働くのならその人も重要なあるいはインパクトの大きいブランドビジネスプロジェクトを担当したほうがいいと思うんです

 

リストラということばはほぼ人員削減=首切りという意味でつかわれますが本来はRe-structureすなわち構造や仕組みを再構成再構築するという意味のはず

会社に非効率と不採算が積み重なってひとが(あなたが)リストラされてしまう前に自社の製品群をすっきりと再構成再構築して動きの遅いSKUや弱小商品弱小ブランドをがんがんリストラしてみる=廃盤にする他の商品ラインナップの一部に吸収合併するいくつかのブランドをまとめて大きなブランドにするいっそ他社に売るのがいいんじゃないでしょうかね

? いち担当者の仕事じゃないって? そんなことないと思いますよ

そういうのを管理部門発想でやったり手遅れになって企業再生のメスが入るまで待つよりマーケティング発想でやることで、「切り捨てスケールメリットだけじゃなくブランド資産の強化という効果を出せるんじゃないかなと思ってみたりするわけです

部長私の愛する商品実はリストラすると会社の効率が上がって利益が出るだけでなくこっちのブランドがこんなに強くなります。 これがそのシミュレーションです!」というのはかなり立派なマーケティングの仕事だと思います