というのも、この数ヶ月、えとじやの皆様には生存確認されてしまうほど、学位論文を提出するため必死になっており、学術的には四六時中マーケティングを考えていましたが、実務的にはちょっとの間、距離を取っておりました。

先日、やっと〆切当日に論文を提出し終え、さてなにを書こうかとこの数ヶ月を振り返ったところ、なーんにも考えていなかったので、むしろそれについて書こうと思います。

 

実務を離れて、プライベートな時間『なのに』マーケターがしてしまう行動ってあるんじゃないかと思い返した結果、みっつ(やっぱりw)ありました。

 

まず、何をおいてもマーケター特有の行動が出てしまうのが、テレビの前。 ふと最近テレビ見てないことに気づき、テレビを見ないといけないような軽い強迫観念を覚えます。 もちろん見るのは、番組じゃなくてCMの方。 夜遅く帰ってきたとしても、わざわざテレビをつけます。 録画予約すると、ついついCM飛ばしちゃうし、予約した番組も、忙しくてついつい見るのが遅くなって、そのCMすでに終わってることもしばしばなので。 

CMになったらリモコンでチャンネルを変えるのではなく、CMをやっているチャンネルを渡り歩く。 私の周りのマーケターたちは、個人的にはそんなにテレビを見るのが好きじゃない人が多いようで、そもそもテレビを見るのが仕事だと思っている。 あるいはCMを見る以外に、マーケターがテレビを見るもう一つの動機は、最近きはじめている女の子やタレントをチェックするため。なので、マーケターがCMじゃなくて番組を見ている場合、誰が出ているのかをチェックしています。 私は前職P社でビューティカテゴリの仕事をしていたので、アイドルとか女優さんとか、最近誰がよく露出しているのか、かなりがんばって憶えようとしています。ただでさえ人の名前を覚えるのが不得意なのに・・・。

 

ちなみに、前職の広告開発に関連する研修を受けると必ず自主練するように言われるので、CMを見るときは、伝えたかった広告アイデアはなにか、自分がブリーフィングするならどうするか、をシミュレーションするという初期行動があります。 前職のマーケターたちが、自分たちや他人の作ったCMについてぐちゃぐちゃ言っているのも、大体このことを話しています。

そして、この行動はトレーニングを積み重ねるほど、強化されます。  経験の浅いマーケターだと、このCMのアイデアはこうじゃないかとか、自分だったらこうするとか、すぐに口に出して人に言いたくなるのですが、弊社お。さんとか、神レベルになると、私が自分なりの考えにたどり着くまでの時間内に、広告アイデアどころか、そのブランドのヒストリカルリール(過去のCM集)まで思い出して、ケーススタディを作っちゃうくらいです。 たぶんCMを見るイコール、広告アイデアにする回路が自然に駆動されているのかと。


つまり、その一、「オフの時間、マーケターはテレビを見る。(仕事として。)」

 

つぎに、他人が、なにか買ったとか、なにかを最近始めたとかいう話を聞くと、すぐ飛びついて、「なんで?」と質問攻めにあったこと/したことがあるはず。 マーケティングをかじったことがあればみんなそうしてしまう、超初級のついやってしまうことですね。


しかしここで、マーケターとリサーチャーで、質問の仕方が微妙に違うように思います。
 リサーチャーがプロービング(probing)の質問をするのに対して、マーケターの質問は、だいたいプルーヴィング(proving)なんです。

リサーチャーは、他人の話を聞くことや、なぜについて他人にどう聞けばいいか、経験豊かなので、相手が自分の意思決定について根掘り葉掘り話してしまっていると気づかないような質問の仕方で、深掘りしていきます(その巧みな質問のし方は例えばこういうこと 。

リサーチャーが上手にするような、「こないだ、シャンプー変えました」「お店で目立つ場所に置いてあって」「そういえばCMでやってたのを思い出して」「これなら私でももう少し髪伸ばせそうかなって」のように、表面的な発言から、その人が気づいていなかったような思考まで深掘りしていくための質問が、probingというアプローチ。 

それに対してマーケター。

「こないだ、シャンプー変えました」 「なんで?」 「お店で目立つ場所に置いてあって」 「どこらへんか覚えてる?」 「なんか、通路だったかな。。」 「え、それっていろんなブランドが置いてある棚のとこじゃなくって、棚の端のところで、通路に向いてるとこかな?」 「たぶんそうだったと思うー」 「で、なんでそれにしたの?」 「そういえばCMやってたなあって思いだして」 「その店頭のディスプレイになんかついてた? 女優さんとか見てCM思い出したのかな? そのディスプレイについてたなにかでCM思い出した????」 ちょっと極端なパターンですが、オフの時はむしろ生来のアグレッシブさを隠そうとしないので、大体こんなややこしい話をしてしまいます。

Provingとは、日本語では、証明するという意味です。 この場合、証明するというか、証拠探し、って感じでしょうか。 マーケターは、アイデアを戦略や実際のプランに落とし込んだりするので、その戦略やプランがお客さんの行動や心理に刺さっているか、確かめたくなってしまいます。 そのため、他人の発言ひとつから、いろんな仮説を立て、それが合っているのか間違っているのか、その中のどれが合っているのか確認したくなり、仮説を検証するようなprovingの質問をしてしまいます。 


つまりその二、「オフの時間、マーケターは他人の話に質問しているけど、内容はあまり聞いていない。(自分の仮説が検証されたらそれで満足。 結局、ちょっと仕事してる。)」
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最後は、「オフの時間に目新しいプロモーションやプランに遭遇すると、ついついそのことを誰かにしゃべりたくなる。」

例えばサンプリングを受け取ったり、新しい店頭POPを見つけたり、Yahoo!のトップ画面に新しいバナー広告を見つけたり、日常の生活の中で遭遇するマーケティングのプロモーションですが、忙しいと実際に自分が消費者としてプロモーションを受けられることが実はあまりありません。 (特に神戸にいるからかな??!)

自分がプランしているのにもかかわらず、その施策はもちろんのこと、他のブランドがやっている同じプロモーションも体験したことがないなんてこともあります。 (最近、どんどん新しいプロモーションのプランが、広告代理店さんから出てくるし。) 私がP社にいたとき、Foursquareなんて自分ではやったことないけど、やろうかなんて話も上がったことがあったし、結局いまでも自分ではやったことないけど、Ameba Piggを使ったプランもやりました。 

そんな状態なので、目新しいプロモーションに遭遇したり、ミーティング上ではよく話すプロモーションに、自分自身が初めて遭遇すると、ついついそのことについて誰かにしゃべりたくなります。 こないだ三宮歩いてたらこんなサンプルもらったとか、こないだ見たXXのサイネージ、結構すごかったよ~とか。 私はこないだ、心斎橋大丸のフルーツジュース屋さんで、同階にある和菓子屋さんのカタリナクーポンをもらってびっくりしました。 カタリナ、ついに百貨店進出?!と思って、早速しゃべろうと意気込んでいたら、相手のマーケターはもっと強敵で、「スーパーで今日、初めてカタリナもらった!」と興奮しておりました。 


つまりその三、「オフの時間、マーケターはマーケティングプロモーションのリアル体験にやたらはしゃぐ。 (で、仕事の肥やしにする。)」

 

以上三つの、「マーケターのオフの時間の過ごし方」でした。 結局なんか仕事してないって?? お。さんも書いていますが、マーケターは四六時中ブランドのことを考えている生き物なんです。 以前FBでシェアしていましたが、お。さんが研修先の企業の方からいただいたコメントがありました。


「なんと!、マーケッターはいつもどこでもブランドのことをかんがえながら動いているってすごいですねえ。

宿題対応して、改めて敬服します。

頭で考えて、机で作るものではないって思いましたね。

 

ターゲットがどんな人間なのか、どんな考え方をもっているのか、考え方と連動する行動もあるけど連動しない行動もある。

その中で、ターゲットをひきつけるためのブランド育成のために、汗と、足で稼がなくてはならないものあるんですよね。

そうした製品を開発提供し長生きさせるためには、製品を設計するものたちも、ブランドをつくる仕事をしている人たちと一体とならないとあきませんなあ。

YOU GO, WE GOなんですよね。」


格好よく言っていただければそのようなことなのですが、つまるところその実態が、この三つの行動です・・・。 

 

れ。