友人であり、「赤箱」でおなじみの牛乳石鹸の宮崎さん(副社長)のFacebookのエントリが、あまりに「なるほど~」で、それは、私が何度も「ブランド」について語ってきたことを、ものすごくすんなり説明してくれるものだったので、それが、よりによって、「うんこ」という言葉ではあるものの、ここに書いておくべきかな、と思って、ちょっとしたまとめ記事的な感じで綴っておきます。


まず、そもそもの彼のエントリを引用します。


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うんこ「利益はうんこである」という言葉。 これは数年前に長野の山奥にある、とある食品会社の会長さんがおっしゃった言葉ですが、急に今、思い出しました。 とある食品会社さんとは、皆さんも多分ご存知の、あの寒天の会社さんです。 会社の利益を「うんこ」呼ばわりする会長さんって、すげーなって思った記憶があります。 あの頃は若かったのか(?)あまりピンと来なかったけど、最近はようやくその真意がわかるようになった気がします。


人は、うんこを出すことを目的として食事を摂ったり、栄養を摂ったりするのではなく、成長するため、健康でいるために、さらには生き延びていくために食べるんですよね。

これを企業に当てはめてみると、企業の目的っていうのは、やっぱり「利益を出すため」ではなく、ビジネスを継続させたり、成長させたりすることっていうことに気づきますね。


その会長さんのおっしゃるところでは、企業の目的は「存続すること」であって、決して利益を出すことではないとのこと。 存続することで、雇用を創出し続け、税金を払い続け、社会に貢献し続けるってことなのでしょう。


あまり、うんこ、うんこって書きたくないので、以下は「う○こ」としますが、体から出てくるう○こっていうのは、確かに成長のために栄養分を体に取り込んだあとの残りかすですよね。 だとすると、う○こって大きい方がいいのでしょうか?小さい方がいいのでしょうか?


しっかりと成長のための栄養を体内に取り込んだ後の残りかすであるならば、う○こは、決して大きくなくてもいいような気がします。 我が家の便器で流せる程度の大きさでいいはずです。


企業も、利益を2億円とか5億円とか10億円出すとか、金額的な目標を掲げますが、無理に金額の目標を達成しようとすると、将来の成長のための栄養を体内に吸収するってことを見失う危険性がありますね。 うこの大きさだけに一喜一憂することなく、しっかりと成長のための栄養を体内に吸収しなくてはならない、そういう視点を鍛えることが私にとって必要なのではないかと考えた次第です。

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なるほど~。

ちなみに、元ネタは、長野の伊那食品工業の塚越寛さんが、著書「リストラなしの『年輪経営』」にも書いておられるものです。 TVなどでも取り上げられたりしていたようで、結構有名な言葉のようですね。 私は勉強不足(もとい、勉強しないの)で宮崎さんのエントリを読むまで知りませんでした。


宮崎さんも、塚越さんも、企業経営というコンテクストで話されているんですが、実は、このたとえ話は、そのまま「ブランド・ブランド作り」にも当てはまります。

売り上げと利益、というのは、ブランドマーケティングにおいて、あくまで「う〇こ」、すなわち結果であって、努力のごほうびに過ぎない。 目的・目標は、ブランドを作り育てることであり、お客さんに愛され、ともにブランド作りをしてもらうこと、である。

「ブランド化して、ブランド力を高めると、高く売れるから利益がたくさん出るかもしれないから、そうしよう」では、目的・手段・結果があべこべになってしまい、あるいは、「手段としての似非ブランド」であることがバレバレになってしまい、うまくいかない。

ということですね。


もちろん、株主や銀行にお金を返さないといけない。 これは間違いないんですが(株式会社という制度そのものに疑問を感じなくはないですが、それは話がでかすぎるので、控えます)、それも、あくまでも「うんこのおすそ分け」なんですね。 きちんと健康な生活をしていれば、毎日、立派なう〇こがちゃんと出るはず。 そういうことなんだよな、と。


あ~、すっきり。


きれいごとに聞こえるかも知れません(う〇こが? あ、すいません、くどいですね)が、こういう考え方・哲学を持ってやっていかないと、必ずどこかでお客さんを、そしてブランドそのものを裏切る施策をやってしまうんだよなぁと、自身の(苦いものも含めた)経験や目撃してきたことを振り返るにつけ、強くそう思うわけです。


なお、以前、同じようなことを、わかりにくくシリーズで書いたことがあります。 これらの「悩み」も、「う〇こ」理論で考えればよかったんだよなぁ。

  ブランドマーケティングって何だろう 1 - 目的か手段か。
  ブランドマーケティングって何だろう 2 - 原則か文脈か。

  ブランドマーケティングって何だろう 4 - しくみと文化


他に、最近、れ。がまとめてくれたフランスの老舗ファミリービジネスの取材と、それからの考察も、この「う〇こ」理論を念頭に読むとすっきりします。

  「ファミリービジネス」という「ブランド」?

  今さら聞けない、「Is consumer a boss?」~ブランドにとってお客さんって・・?

お。