“You get what you deserve to get.”
とても好きな言葉で、前職のころから、よくセミナーなどでもお話しします。 このブログでもおそらく何度か書いたことがあるでしょうか。
訳しにくい言葉なんですが、強いて訳すと「あなたは、あなたの身の丈に合ったものしか手に入れることができない」ということでしょうか。 で、これがマーケティングとどう関係するの?
「なんで、うちの代理店は、いいアイディアを持って来ないのだろう?」
「どうも、ここのデザイン会社は、言われたこともわかってないのか、見当違いのものが多いね。」
「仕方ない、また、コンペだな、こりゃ。 あそこは、だめだ。」
もし、あなたがそんな風に思うことがあるとすれば、それはたいていあなたのせいですよ。
という意味です。
(なお、受注側でお仕事をされている方、もし、なるほどと思ったら、この記事を発注者にシェアするのをためらう必要はありませんよ。 誰しもが経験していることなので、「こいつ、こんな記事送ってきやがって、全部俺のせいだと思ってるんじゃないか、けしからん。」とは思いませんので。 大丈夫、なはずです。 そもそも、これを書いている私が、今や受注側にいるわけですが、誰か特定のクライアントについて書いているわけではありませんので。)
そうなんです、誰もが思い当たる経験をお持ちですよね。
外部に仕事を頼んでもいいものがなかなか出てこないのは、ほとんどの場合、頼んでいる自分の指示や期待がはっきりしていなかったことが最大の原因である。
その時には気付いていなくても、経験を重ねるうちに、「そうだよな~」って。
問題は、じゃ、どうすればいいのか、ですよね。
以下のようなポイントに沿って、いくつか、私なりの考えというか、ヒントを書き連ねてみます。 (たぶんシリーズ記事になるなぁ、と思いつつ。)
1. そもそも、なぜ、他人に頼むのか。
2. 丸投げしない=あなたは、あなたの役割を果たす。
3. (オリエン、ではなく)ブリーフ。 その役目。
4. コンペなんてやめてしまえ~。
(あ、やっぱり2~3回くらいに分けて書かないと、ものすごく長くなるなぁ。)
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1. そもそも、なぜ、他人に頼むのか。
ちょっと立ち止まってこれを考えてみると、案外見えてくるものがあります。
アウトソースすることの利点、まで広げてしまうと、話がでかくなって、私の手に負えなくなるし、そんなことは書けませんが、例えば、発生する費用や投資のリスクを回避したり資産の効率化をはかったり、あるいは制作・生産コストを抑える、とかあると思います。
でも、きっともっと大切なことは、自分(や自分の会社)にはない、クリエイティビティーと、経験と知識とネットワークの蓄積を利用するため、なんじゃないでしょうか?
もっとわかりやすく言うと、自分にはできない、か、自分でやるよりずっといいものができるから、その道のプロに頼む、ということです。
相手に対するレスペクトを、とかいう、精神論だけを話してるわけではありません(それも大切ですが)。
まず、ここで、あなたがはっきりさせるべきは、「自分でやれば、いいものができる、または、出来上がりのイメージがはっきりしていて、それさえ手に入ればいい、けれども、それを自分でやる時間や技術や資産がないので、他人に頼む」のか、「自分には思いつかない・作れないソリューションが欲しいので、他人に頼む」のか、です。
前述したように、たいていは後者ですが、別にクライアントがクリエイティブ(創造力がある)であってはいけない、というルールはないので、前者でもかまいません。
ただし、その場合は、ちゃんとそのように相手に頼む、ということが大切です。
そして、相手が別案「も」出してくれることを期待するのか、それは「大きなお世話」なのか、もはっきりさせる。
「なんかいいもの持ってきてよ」と口では言っておきながら、自分のやりたいことははっきり決まっていて、会議を重ねながらそれに近づいてくるまで、ねちねちと相手を「誘導」していると、受注側のやる気は地中深くにもぐってしまいますので、時間とコストばかりかかって、挙句の果てはあなたがイメージしていたものより悪いものができあがります。 「なんで、ちゃんといいものを持って来ないんだ、あそこの会社は?」、って、あなたのせいですって。
さて、たいていは後者=「自分には思いつかない・作れないソリューションが欲しいので、他人に頼む」です。
この場合は、あなたにいい解決策があるわけではないので、そもそも何を解決してほしいのか、その結果どうなってほしいのか、を、あなた自身がはっきりさせなくてはいけないことになります。
次の項目はそれを考えてみましょう。
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2. 丸投げしない=あなたは、あなたの役割を果たす。
一方の極端が「四の五の言わず、私の言う通りにこういうのを作ってこい」と具体的な指示を出すことだとすれば、もう一方の極端が「なんか、おもしろいもの、持ってきてよ、なんでもいいからさぁ」と丸投げしてしまうことです。 (「わたしは丸投げなんてしてない」と、思ってるあなた、もしかしたら、「ほぼ丸投げ」しているかも、ですよ。 だって、世の中、これが、すごい多いんだもの。)
受注側の責任が、発注者の抱える課題に対して有効と信じる解決策を提示し、実現することを手助けすることだとすれば、発注者の責任は、課題をはっきりさせることに尽きるわけです。
つまり、丸投げ、というのは、諸課題の抽出・発見と主たる課題の決定すらも受注者に任せてしまうことですね。 そうしておいて、「いや、それはなんか方向性が違うなぁ、きみ、わかってないねぇ」とか言っちゃいけないわけですよ。 あんたのビジネスなんだから。
もちろん、外部ならではの目・視点というのはあって(弊社はそれでお金をいただいているわけですが)、それによって新たな発見があったりするのは事実ですが、それも、発注者が考える課題が、発注者なりにはっきりしていてこそ、建設的な議論になるんです。
ということで、発注者は、外部に依頼するに当たって、最低限、次のようなことをはっきりさせておきましょう。 (あるいは、部内・課内で合意を形成しておきましょう。)
Ø 自分のビジネスが直面している・これから直面しそうな問題と、今回のプロジェクトによって解決すべき課題
Ø それが解決されることによってもたらされる将来像や、社内外に与えるインパクト
Ø 「何を」「誰に」伝えるのか(コミュニケーション上の戦略的項目)
Ø 自分のビジネスやブランドが、長期的に育てていきたい戦略的な要素
これがあれば、あとは、外部のプロが「どのように」伝えるのか・解決するのかを考えてくれます。
あなたがあなたの役割を果たせば、相手は相手の役割を果たしてくれる、というわけです。
「あの事務所は、いつも同じようなレベルのものしか出せないのかね~?」って、あなたがそうさせてるんですって。 丸投げ禁止!
では、こうした情報をどのように相手に伝えれば、全力でいいものを作ってくれるようになるのか。 次回は、そのあたりから書いてみます。 (やっぱり、つづく。)
お。