くだんのTVCMの続編ががんがん流れ始めたので(・・・)追記をあげるのではなく、実はTwitterでidouble kさんからコメントをいただきまして。 ひとつ前の、「だいまつみらう~す」の記事について「書かれている事は理解できるんだけど、何がダメか書いて欲しかった。」と。 加えて、idouble kさんは「正しくない商品名を言わせて、なかなか大胆なCMだなぁと、印象に残り、第3のエコカーを知ったので、特に不快ではなかったので。」とも。
まず、後半の意見ですが、それならば、まさに作り手の意図通りの反応ですので、関わった方々はよろこんでいると思います。 快・不快については、かなり個人的な感想ですので、私にはとっても不快だけれども、見る人によって、そうは思わない、ということで、とりあえず突っ込まないことにします。 誰がターゲットなのかさっぱりわからないので、何とも言えないのですが、主たるターゲットとなる人やその人に影響力を持っている人に強い不快感を抱かせていたとすると問題ですが、それもここではこれ以上の議論の材料はないですね。
「意図通り」については、まさに「自虐」の手法なんだと思いますが、idouble kさんが感じ、理解し、行動した通りの、自虐の手法のおもしろさにひかれて、答えである「第3のエコカー」の存在と意義にいきつく、という仕掛けなんでしょう。
私が前の記事で「マーケッターの仕事・クリエイティビティー」として採り上げた問題は、広告の表現手法の問題ではなく、広告を何度見ても、「そもそもこの車、何ができて何にいいのか、さっぱりわからない、いったい誰に買ってほしいのだろう?」ということです。
「いやいや、リッター30kmって言ってるじゃない」とおっしゃるかも知れません。
でも、それって単なる事実(機能やスペック)ですよね。 だから、何がどうしたの? です。 車が好き、あるいは、燃費を常に考えている人には、納得のいく事実なのかも知れませんが、多くの人にとっては、それが自分にとってどんな意味があるのか考えない限り意味のない数字です。
「第3のエコカー」にしても、なかなか粋な名前だと思いますが、それって何だろう? と考えたり調べたりしない限り、何のことかさっぱりです。 意味がわかると、へ~なるほど、なんですが、ちょっと難しすぎます。
ベネフィット、とか、便益とか言ったりしますが、この製品を買う可能性のある人にとって、どんないいことがあるのか、それが決定的に欠けていると思ったので、前の記事になった、というわけです。
電池+燃料車や電池車を買おうとしている、あるいは、だいぶ前に買って買い替えを考えている、おそらく燃費を数字で語られても実感できる人に、「冷静に比べてよ、こっちのほうが(安いし)燃費もいいよ」といいたいのか。
単に「燃費がいいので、維持費がかからずお得よ」というのであれば、すでに軽自動車の購入か買い替えを考えている人がターゲットですね。
車は動けばいいし、変な罪悪感なく安い車に乗りたい、という人なら、「ガソリン消費はそんじょそこらのエコカーに負けないし、安いよ」かも知れません。
あるいは、「エコカー」なんであれば、「地球の、将来のことを考えるなら」だったり、「こっちのほうが、実はエコだよ、賢い人はこっち選ぶよね」かも知れないし、「ちゃんとエコのこと考えてあえて軽自動車選んでる(かっこいい)人に見えますよ」ってのもあるかも知れません。
単純に、「エコを考えた時、3つ目の選択肢ができました」ってのも、考えられるかも。
(ちなみに、これらのことを、広告で「ちゃんと言葉で言っているか」ということを問題視しているわけではありません。 伝えようとしているか、ということです。 私がこの広告を見る限り、「ないよなぁ~」でした。)
こうした、ターゲットを決め、その人に合った「何がいいのか」を見つけるのが、マーケッターの仕事なんだけどなぁ、というのが、前回のぼやきだったわけです。
これを決めてあげれば、あれだけお金があるんですから、クリエーターたちがよってたかって楽しい広告を作ってくれます。
さてさて、この「それは事実か、ベネフィットか」というのは、実はかなり「解釈の問題」で、議論が分かれるところ。 行きすぎるとスカ食らいます。 実際に私も日々の仕事で、「どこらへんがちょうどいいベネフィットなのか」については、いつも悩んでます。 それを、「このへんだよな~」って決めるのは、結構どきどきする仕事。 でも、そこがマーケティングのおもしろさのひとつなんです。
お。