benefit4最近、ドモホルンリンクルのCMが元に戻りました? 先日、久しぶりに、前のシリーズの広告をTVで見かけたのですが、もし、元に戻したのだとすると、うれしいことです。 しかし、新しいほうのシリーズもオンエアしているみたいで、かなり「?」な広告なだけに、心配してます。 「こりゃきっと売り上げ下がるだろうなぁ。 なんか、勘違いしちゃったんだろうなぁ。」と。 もちろん、今まで通り何も変えなくていい、と言っているわけではありませんが、確かに前のシリーズはとてもよくできていましたからね。 間違いなく日本を代表する化粧品ブランドなんですから、がんばってください。 TSUBAKIみたいにへなちょこにならないでください!

さて、シリーズ記事も4つめです。 (そろそろ飽きてきました? このへんでK。の記事をはさみたいところですね。)

前回の記事は、本筋の話と関わりない、広告賞の話を交えてしまったために、ちょっとわかりにくくなってしまっていたと反省しています。

そこで、前回のまとめから始めましょう。

前回の記事の要点は、女性にモノを気に入ってもらって買うかどうかを検討してもらうために必要なコミュニケーションは、なかなかシンプルに行かない、実は3つのポイントをすべて抑えていないといけない、女の子は欲張りね、でした。 こう少し具体的には、

かわいい、あるいは、かっこいい、素敵、などと思ってもらうことは、必須。

加えて、「それが私に具体的に何をしてくれるのか、簡単だけど納得のいく説明」をしなければならない。 これも必須。

しかも、「それが私の生活にどんな素敵な結果をもたらしてくれる可能性があるのか」に思いをはせてもらわなければならない。 これも必須。

この3つ、すべてがバランスよくそろって、初めて彼女の心は前に動いてくれる。

ということです。

この欲張りな3つのお願い、もう少し覚えやすく解説すると、女性の心を動かして財布のひもをゆるめてもらうためのコミュニケーションは、「センス(感覚)」と「マインド(頭)」と「ハート(心)」に響かないといけない、ということです。


「センス(感覚)」とは、例えば、かわいい・かっこいい・おいしそう・気持ちよさそう、など、感覚的な要素です。 その製品やサービスそのものの機能とは無関係なことも多く、CMだったりパッケージだったり、中味の色や手触りだったり、ハガキの紙質だったり、男性ナレータの声質だったり。

「マインド(頭)」は、そのままですが、頭で理解される論理的情報ということで、具体的な機能として何をしてくれるのかなどの要素ですね。 論理的要素、といっても、別に論理的整合性のある正しい情報、という意味ではなく、機能的便益と呼ばれるものや保証・推奨などを含む「頭でわかる」情報だと思ってください。

「ハート(心)」は、気持ちで受け止める・判断する情報のことで、私はあまり好きな言葉ではないのですがマーケティングで「情緒的便益」なんていう情緒もへったくれもない呼び名で呼んだりするものはこれに属します。 私は「生活や気持ち、ときに人生観・価値観におよぼす影響」というくらいの感じでとらえていますが。 それほど大仰なものではなく、「私の生活にどんないいことが起こるかもしれないの?」みたいなことです。

(あれ? 「ソウル(魂)」は? とおっしゃる方がいるかも知れませんが、マーケティングにソウルが出てくることはなかなかないので、この際、触れません。)

もうひとつ、大事なポイント。 「センス(感覚)」と「マインド(頭)」と「ハート(心)」に響かないといけない、の「響く」というところです。 説明したり説得したり、という、ハードなものだけが要求されているわけではないことが多く、むしろそうしようとすると「よくわかんない」と心を閉ざされてしまったりすることもあります。 また、良かれと思ってしっかり見せると、「なんかこわい」とか「うそっぽい」とか言われてしまうことも。 響くことが大事なんです。 そのために、しっかりとした説明が必要なときに限って、ちゃんと説明する。

まぁ、そんな小難しい話ではなく、

「この歯ブラシ、なんか、気持ちよさそうな色と形だね。 へぇ、すごく歯垢が落ちるんだって、歯医者さんがいいって言ってるみたい。 検診でどきどきしなくて済むかも、って? いいじゃん。」

とか、そういう程度の話なんですが、この内容とバランスのとり方が案外難しく、「いい塩梅」を見つけるためには、そのカテゴリの経験と、あとはともかく相手の女の子のことをよく知る以外ないのが難点、もとい、マーケティングのおもしろいところです。

ドモホルンリンクルは、製品やコンセプトなどだけでなく、以前のシリーズの広告は、本当によくできていて、多くの35歳以上の女の子たちの、感覚と頭と心にびしびし響いているわけですよ。 そのバランスも絶妙で、ホントにいい仕事です。 今回私が見かけたのが、一時的な「再放送」ではなく、今後もあの路線でいい仕事を続けてくれることを願います。

さて、そろそろシリーズ記事も終わりにしましょうか。
次回は最終回、「いい言い訳をあげよう」にします。

お。