サラリーマンマーケッター時代、長く女性が主たるターゲットの商品ばかりをやっていたし、今でもお手伝いさせていただいている商品やサービスの多くは女性ターゲットです。 かれこれ20数年ですね。 そんな中で、なんとなくそうだよな、と自身の経験則にしていたことをいくつか書いてみようかな、と。
なので、それが正しい・証明されていることなのか、あるいは、常にそうなのか、すべての女性にとってそうなのか、とか、問い詰めないでください。 いとも簡単に崩れます。
まずは、無難な(?)ところから。 でも、この話をしないと、次の話ができないので。
無難な、と書いたのは、この話は他でもよく聞くことだから、ですね。 なので、たぶん、嘘ではないだろうと。
何もすべての女性がこうで、すべての男性はこう、というわけではないのですが、傾向として、女性はその製品やサービスが、結局彼女に「何をしてくれるのか」で買う・買わない、あるいは、興味を持つ・持たないを決めます。 いわゆる「ベネフィット」ってやつですね。
一方、男性はその製品やサービスの性能やスペックで決める傾向があります。 もちろんベネフィットも重要なんですが、何をベネフィットだと感じるか、も少し違うように思います。
少し乱暴かも知れませんが、例をあげてみましょうか。 (実は車のことはよくわからないんですが。)
「ABCエンジンでXXkmの驚異の超低燃費を達成!」
これは、多くの女性にとってさっぱり「?」です。 おそらく、興味すら持たれないでしょうね。 「だからどうしたの?」です。
では、なんて言えばいいのか。
この先はどんな女性をターゲットにするのか次第ですが、例えば、近所でもちょっと遠くでもすいすい行ける、とか、ガソリン代がいくらか少なくて済むので週にあと1回は外でおしゃれなランチを楽しめる、とか、少なくとも月にいくら安くなるとか、同じ量のガソリンであとどれだけ出かけられるか、は言ってあげないとだめですね。
(では、男性はベネフィットを必要としていないのかというと、そんなことはないんですが、今日は女性の話が中心なので、割愛。 まぁ、例えば、低燃費ってかっこいいんですよ、みたいなことが必要になるでしょうか。)
ん? そうすると、女性に語りかけようとすると、
「ABCエンジンでXXkmの驚異の超低燃費を達成! これでガソリン代が安くつくので週に1回友達とちょっとおしゃれなランチを食べにいけるかも。」
って言わないとだめなんですか?
そんなたくさん伝えるのは無理ですよ。
と考えてしまうのが、クライアントの悲しい性。 そもそも彼女たちはスペックに興味が無いということを思い出してください。 なので、前半が全部必要なくなります。
「そ、そ、そんな、そこが、そここそが弊社の血と汗の結晶なんです!」
気持ちはわかりますが、相手が欲しいと思っていない情報を与えてもしかたないので無駄なことはやめましょう。 それはメーカーの当然の努力ということで、流通など男性を相手に売り込むときの情報として使っておけばいいんじゃないでしょうか。
こういうスペックや機能を、相手は聞いてもいないのに一生懸命語ってしまっている例は、実はたくさん見かけます。 特に、電気・電子機器や車などに多いような気がしますね。 やはりカテゴリがもともと男性的だからなんでしょうかね。
「クラス最高スピード」とか、「超高速回転」とか、「超音波振動」とか。
でも、軽自動車や携帯電話、家電など、うまいコミュニケーションをしているブランド・会社も多いです。 やはり、よくご存じ、ということでしょうか。
さて、当然、次の疑問が出てきますね。
「XYZ成分Q%配合!、とか、化粧品などによく見られる、原料・材料を前に押し出すコミュニケーションは、女性相手だし、しかもうまくいっているじゃないか、それはどうなるんだ?」
はい、では、こちらについては次回。
お。
追記: この記事を書いた直後、とある自動車ディーラーに行ったら、初老の女性がディーラーの営業をエンジンから足回りまでのスペック談義で打ち負かしている現場を目撃。
世の中、いろんな方がいらっしゃるということで・・・。
旦那さんはおまんじゅう食べながらぼんやり外を眺めてらっしゃいました。