朝ごはん先日、教育熱心ママ友達Aさんがこんな雑誌を見せてくれました。

――特集「朝ごはんを食べる子は学力が高い」――

どうやら学力点数と生活習慣の関連を調べた調査結果が紹介されているようです。

で、「だから朝ごはんは大事です。 きちんと食べましょう」と、推奨メニューまで載っています。

Aさん:「やっぱり朝ごはんは大事だよね~、つい手を抜いちゃうんだけど。」

私:「ほんと、ほんと。」

Aさん:「本当は和食がいいっていうもんね。 魚とか食べたほうがいいんだろうね。」

一緒に居合わせたテキトーママBさん:「ふーん、そうなんだ。 でも私にはムリだわ・・・。 いつもパンと牛乳よ。 食べない日だってあるくらい。」

私:「わかるわ~。」

しばらく経ってまた3人で集まったときのこと。

Aさん:「実はあれからがんばって毎朝しっかり和食にしてるのよ。」

Bさん・私:「すごい!!!」

Aさん:「でも別に成績があがるってもんでもないわね。 ちょっとがんばったから期待したのに。」

私:「Aさんちはもともと勉強できるし。 ちゃんとそれを維持できるのがすごいよ。」

Bさん:「・・・実はさ、うちは逆で、最近寝坊ばかりするから朝ごはん食べない日が増えていて、そしたら先週、先生から注意されちゃったのよね。」

Aさん・私:「え? なんて?」

Bさん:「なんだかうちの子授業中ぼんやりしているみたいで。 朝ごはんをしっかり食べさせてくださいね、だって。 反省したわ。」

なるほど、「朝ごはんを食べる子は学力が高い」のココロは「朝ごはんをきちんと食べるほど学力は高い」ではなく、「学力の高い子はちゃんと朝ご飯を食べています。 食べないと学力低下を招くこともありますよ」だったんですね。 ということは、おそらく「朝ごはんを食べないと集中力がなくなって授業中ぼんやりしていたりすることがあるので、学力低下につながることがあるということなのかも知れない」ということですね。

データが表す結果(事実)はあくまで結果に過ぎず、実はその裏にあるココロ(真実・インサイト)をきちんと理解することが重要です。 それを見誤ると、全く違った解釈になりかねません。

朝ごはんを食べさせると学力が上がる、そんなわけはないのは少し考えればわかることですが、データが示してくれるのは、「学力が高い」グループには「学力が低い」グループより「朝ごはんを食べている子がたくさんいた」、あるいは、「学力が低い」グループは「朝ごはんを食べない子がたくさんいた」、という事実同士の関連のみで、「どうしてそうなのか」は教えてくれません。

もう一つ、マーケティングリサーチでの例を挙げてみましょう。

新製品のコンセプト調査で、30代、40代の女性がほかの年代よりも多く、この新製品を買いたいと答えたことが分かりました。

製品開発担当者のCさん:「そうか! じゃあ30代・40代の女性が共感するようなCMを作ろう!」

調査担当者のDさん:「でもどうしてこの商品は30-40代の女性が受け入れてくれるのでしょう?」

Cさん:「うーん、よくわからないけどこの世代がいいって言っていることが分かれば十分だよ。」

Dさん:「少し気になるので、ちょっと調べさせてください。」

結局詳しく調べた結果、開発者が考えていなかった、小中学生の男の子のいる家庭でこの製品が役立つ場面が多くあり、お母さんたちが高く評価していることが分かりました。 なので、30-40代の女性が多かったんですね。

30-40代の女性が共感するCMと、小中学生の男の子のお母さんが共感するCM、なんだかずいぶん違いそうですよね。

本来であれば、コンセプトテストをする前にどんな人がどんな理由で買ってくれるはずだ、という仮説があるべきですが、仮説外の結果が出た場合、このように理由を探っていくと、数字の結果だけからはわからないことが出てきたりします。

というわけで、今日は、事実(ファクト)の裏にある真実(インサイト)、調査結果の裏にあるインサイトを理解しましょう、というお話でした。

K。