火神今日、宣伝会議さんのセミナーの講師をしてきました。

「コストマネージメントセミナー」の、一部、午前中の部分を担当したのですが、どこの業界もコストに対する意識が高まっているのでしょう、かなりの人気で、様々な業種の広告主の方を中心に50名近い方が集まりました。


しかし、なぜ、岡本がコストの話をするの???


前職時の私を知るほぼすべての方が、大きく首をかしげていることでしょう。 実際、このセミナーの案内は神戸の会社にも届いたらしく、誰もが「ありえない」と言っていたようです。

私が入ると、コストは上がることはあっても、下がることはない。

みな、そう思っているはず。 実際、そうでしたね、確かに。


はい、ご期待通り、「コストマネージメントセミナー」のオープニングにも関わらず、「コスト下げることばっかり考えてると、ろくなことないよ。」と。 受講者のみなさんもびっくりされたことでしょう、コストマネージメントセミナーじゃなかったの?って。 (幸い、怒っている人はいらっしゃらなかったようですが。)

「効率」が費用対効果なのであれば、マーケッターやクリエーターの仕事は、まず何をおいても「効果」を高めることであって、それで効率があがることを目指すべきです。 コストをやみくもに下げようとして、世の中に質の悪いコミュニケーションを出してしまうなど愚の骨頂です。 そんなやつはマーケッターの風上にも置けません。

マーケティングにおいて、効率とは、単発の施策の値段と反響だけではなく、強いアイディアによる波及効果と、ブランドエクイティーの積み上げによる累積効果も、効率の重要な要素ですから、マーケッターがやるべきことは他にたくさんあるわけです。


とはいえ、「正論」だけはいていると、みなさんがっかりされるので、制作上で投資すべきポイント、削減できるポイントを選ぶヒント、「サルでも読める見積書を作らせる」なども教えましたよ、ちゃんと。 私だって、やればできるんです。 少なくとも、しゃべることはできる!


その中で、ひとつみなさんにご提案したのは、「コンペなんてやめてしまえ!」。

誰もがコストを下げるために最も効果的だと信じているコンペを、コストマネージメントセミナーの講師が「やめてしまえ」なんて・・・。

コンペにも効用はあります。 アイディアを競うコンペなら、(私は大嫌いですが)、良いこともあるのかも知れません。

が、コストに関して言えば、大きく下がるのは1回だけ。

継続的に効率を上げたければ、コンペに費やしている膨大な時間とお金を、もっと有効に使ったらどうですか、という提案です。


例えば、代理店や制作会社、印刷会社のみなさんに、会社やブランドや、お客様のことをもっと深く知ってもらえるような機会を設ける。 その結果、制作の回を重ねるほどに、お客様の心に響く、ブランドのイメージを構築できるコミュニケーションができていくはずです。 効果と効率が上がります。


例えば、特定のパートナーと中長期的にお付き合いすることで、単発のコンペではできない、構造的なコスト削減のチャンスを、一緒になって見つける。 あるいは、投資と時間を要するコスト削減の計画を後押しする。 結果、大きなコスト削減につながるはずです。


それにしても、なんでもかんでもコンペ、という文化、どうにかならないものでしょうかね。 そこにこそ、ものすごい無駄があると思いますよ。

そもそも、コスト削減目的のコンペばっかりやっていると、誰も(まともな人は)寄りつかなくなります。 さみしいですよ、そうなると。


お。