xperia先日、取引先様と事務的なメールのやりとりをさせていただいていたときに、担当の方のファーストネームを知るチャンスがあって(すいません、いきなり本名出しちゃって)、「夏葉さん」とおっしゃるのですが、なんともきれいな名前だなぁ、と。 おそらくご両親が付けられたのだろうと思いますが、さわやかで、きりっとした、気持ちのいい名前ですよね。

ちなみに、私の名前は「晋介」といいます。 おじいちゃんの名前をいただいたのですが、これにも一応意味はありまして、「助け合いながら前に進む」という意味だそうです。

さて、名は体を表す、となっているか、わかりませんが、結局コンサルという仕事をしていることには何となく運命を感じなくもないですね。


あくまで一般的な傾向ですが、男性の名前は直截的な意味を持つものや直喩(アナロジー)が多く、対して女性の名前は音・響きとか色とか匂いとか、雰囲気重視の暗喩(メタファー)的名前が多いように思います。 あるいは、選ばれた字に直截的な意味があっても、あくまで「響き」優先だったり。



さて、数あるマーケティングの醍醐味の中で、私がほとんど携わったことがないのが、「ブランドに名前を付ける」ことです。 親(マーケッター)が子供(ブランド)の将来を思って、その夢や社会的役割や存在意義を託す、という重要な仕事なのに、です。

理由は至極簡単で、外資だったから、です。 ほとんどのブランドはすでに海外に存在していたブランドで、名前は、オリジナルがよほど変でないかぎり、そのまま使わされましたから。 なんとも貴重な体験をミスしてきたわけです。 また、日本人にとって意味を持たない名前のせいで、なかなかおぼえてもらえずに、随分苦労もしましたし、実際かなり「無駄」な投資をさせられたこともあります。

ただ、たとえ日本人にわからなくても、やはり(たいていの)名前には意味があって、それがマーケティング上の大きな指針になったりします。 名付け親にはなれなくても、育ての親ですから、マーケッターは名前を大事にしなくてなりません。

以前にも「名前をつけるということ」について書きましたが、名前は、ブランド・マーケティングにとって、とっても大切なことですから。


育ての親しかしたことのない私には、効果的なブランドネームの開発方法、なんてトピックには歯もたちませんので、あくまで、私の思いつき・観察と感想を書き連ねてみます。


ブランドを創った・始めた人の名前が付いている場合、困った時・迷った時はその創始者のストーリーに戻ります。 私が関わったブランドで言えば、Vidal SassoonとかMax Factorですね。 創始者の思いとか哲学とかに立ち戻るわけです。

一方、Panteneなど、成分の名前が付いたものの場合は、その成分が発見・開発された所以や背景を探ると自ずから答えにたどり着けたりします。

以前も書きましたが「TSUBAKI」なんて、会社のアイデンティティーがそのまま名前になってしまったわけで、純血種って感じです。 有利なことも多いし、可能性もあるし、でも、できることに制限が多い、運命を背負った名前です。

ともかくストレートに「この商品は何をするのか」が一発で伝わるパターンの名前もあります。 小林製薬さんの多くの商品がそうですね。 かなり古いですが「あっと片付け」は、今でも大好きな名前です。

車の名前などは、「響き」優先で、そのうえで意味も通る、みたいなパターンが多い気がします。 その中で、Fan CargoCubeなんかいい名前ですね。 Muranoは、いい意味なんですが、どうしても「村野」さんの車みたいで、プラスには働かなかったんじゃないでしょうか。 Poloも、ちょっとつらいですね、違う意味とイメージが伝わってしまって。 他方、数字と記号だけにして、社名=ブランド名というパターンも多いですが、その場合、ハードで男性っぽい、スペック重視みたいなイメージになります。


名前なのに頭が小文字、という違和感を逆手にとって、「視覚的なブランド名」で大成功は、言わずと知れたiMac - iPod - iPhone
iPad。 「i」の本当の意味は知らないんですが(どなたか教えてください)、先進的なイメージと、インターネットによるサービスを(ちょっと変わった感覚で)楽しめる端末、みたいな印象、そして、もしかしたら私だけかも知れませんが、ちょっと「かわいい」。 「私=I」ではなく、「わたし=i」みたいな? 無理?


さて、Xperia(正式にはXPERIAがブランド名でXperiadocomo用のサービス・機種の名前らしいですが、ここではXperiaでいきます)は、いい名前なんでしょうか?

意味とか由来がわからなくて、Twitterlevel_nekoさんに教えていただいたのですが、docomoの公式サイトのFAQに簡単なひとことが載っていました(ちゃんと探せなかった私って、やっぱり、、、。 曰く「これまでにない体験(experience)をお客様へご提供することを可能にする商品につけられるソニー・エリクソンのブランドネームです」だそうです。


Ex
Xにすることで、なんとなくカッコよさ・先進性・未来的・未知のものみたいな印象を狙っているんでしょうね。 X-BoxとかX-MenX-Fileとか。 なんか、戦闘機とかハイテク兵器みたいな感じもします。 ともかく、Ex=外へ、という意味なので、動きのある響きです。

Experience=経験・体験ですから、Xperienceで先進的体験?

ちょっとわからないのが、peria。 インテリア、カフェテリア、ガレリア、エリア、とか? (今、パエリアとかドリアとか言ったやつ、死刑。) 120%勝手な解釈ですが、「~する場所」みたいなことなんでしょうかね。 わかりませんが、少なくとも「音・響き」は少し女性的あるいは静的な印象。

もはやこじつけの上塗りですが、「先進的体験を提供する場」??


いい名前なんですかね? 意味なんてわからなくても、覚えられる字数で、頭のXが視覚的に先進的。 でも、なんとなく男性的な雰囲気が前に出てる気がする。 私にはiPhoneがとっても女性的なイメージなので、いいポジショニングなのかも知れません。

まぁ、合格の範囲?


(ともかく、いつか、名前を付ける仕事をしてみたいなぁ、、、と。)


お。