好き先日の「嫌いの出どころとゆくえ」という記事に、ある方から反応をいただいて、ちょっと考えさせられたので、少し議論を展開してみようかな、と。


いただいた質問・反応とは、おおむねこんな感じでした。

「マーケティング上の判断に「好き」とか「嫌い」とかいう、主観的なものを中心に据えるのはおかしいのではないか? できうる限り客観的な判断(リサーチなど)をするべきではないのか?」


う~~~む。 これが、若い方からの質問ならわからなくもないのですが、結構経験を積んだ方からだったので、ちょっとびっくり、でした。

いやいや、あなたの好き嫌いの判断が大切だからこそ、会社はあなたに高い給料を払っているのですよ。 リサーチとかで判断できるんなら、世の中にマーケティングという仕事はいらないじゃないですか。

はい、あなたが、自分の好き・嫌いで決めてください、お願いします。


リサーチが大事でないと言っているわけではありません。 とても重要です。 が、物事の決定・判断をリサーチにゆだねるのはおかしい、と。

量・質を問わず、リサーチなどは、マーケッターの判断をより鋭いものにするための、日ごろの足腰作り。 そこで鍛えた「身体」で、本番に臨む。 正しい判断ができるかどうかは、日ごろの鍛錬次第。 バッターボックスに入るのは、あなたひとりです。


(さらには、会社の壁に貼っておいて、社員の人気投票をする、なんていう暴挙のうわさも聞きます。 派遣の女の子たちを集めて、疑似グループインタビューをやったり、、、。 「都市伝説」であってほしいと願うばかりですが。)


「でも、自分は40代のおっさんで、18歳の女の子に向けたプランの良し悪しは判断できないんじゃないですか?」

いえいえ、それでもやっぱり「自分の好き」に従ってください。


1.「自分の好き」に従うと、後悔が少なくて済みます。 当たっていればうれしいし、はずれたとしても、自分が決めたことだから、と割り切れます。 リサーチのせいだ、とか、(ホントは嫌いだったのになぁ)とか、不毛な思いに責められずに済みます。 だいたい、マーケティングなんて、はずれのほうが多いんですから、学んで次に活かせば、それでいいんです。


2.日ごろの鍛錬を通じて、ターゲット・お客様を、ともかく理解し、好きになってください。 そうすることで、あなたの「好き・嫌い」が、ターゲットの「好き・嫌い」と一致する確率が上がってきます。 大丈夫、50過ぎのおっさんでも、10代の女の子のことは、必ずわかるようになります。 同じ人間ですから。 知りもしないのに、無理に「10代の女の子になったつもりで」とか思わないほうがいいですよ。 なので、「知る」努力を重ねてください。 雑誌を見、話を聞き、理解を努め、ターゲットを好きになってあげてください。 やがて50のおっさんの心にティーンの心が「憑依」するようになります。


3.正しいリサーチなんてものは、めったにあるもんじゃないので、リサーチにゆだねると後悔します。 リサーチの精度を上げようとすると、すごいお金かかりますし。 あなたの(会社の)大切なお金ですから、大事につかってください。


4.間違ってた!と、気付いたら、素早く動きましょう。 「うまくいかなかった」とき、あなたの前には学ぶべきもの・改善すべきことが山積みのはず。 すぐに活かしましょう。


そして、マーケティングとは、多くの人たちに支えられている行為なので、


5.あなたをささえる、代理店のクリエーターたちは、好き嫌いをはっきりして、自分の判断を素早く下せる人のためなら、かなりの苦労を耐えてくれます。 失敗しそうになったり、間違っていたことが分かったとき、彼らは全力であなたを助けてくれます。 「私個人はいいと思うんだけど、リサーチしてみないとなんともいえないねぇ」というクライアントにはついてきません。


ということで、好き・嫌いをはっきりさせ、その思いに忠実に判断を下すマーケッターは、本人の当たり・はずれ以上の結果を出せるマーケッターになれます。


お。