申し訳ないですが、私がクライアントなら、即オフエアーです。 あるいはそもそもこの広告を制作に進めてないなぁ。 (この広告のおかげで、ビジネスが伸びているのなら、完全に私の間違いです。 あやまります。)

TOSTEMという会社が誰を相手にこのCMを流しているのか、ちょっとわかりませんが、窓のリフォームを訴えているようにも見えますので、おそらく最終消費者に向けてるんでしょう。

だとして、私の印象は、「TOSTEMという会社の窓にすると、人生暗くさみしくなりそうで、いやだなぁ、この会社には頼みたくないなぁ」です。 当然、(もし私に窓を選択するチャンスがあったとして)、TOSTEMは選びません。 家が、じめじめしそうで。

 


洗練された広告は、えてしてハイリスクです。

ここで私は「広告はずべて、明るく、楽しく、清く、正しく、簡単でなければならない」と言いたいのではありません。 ただ、このような「考えないとわからないTV広告」を作って流す、という企ては、ほんの些細なことでもろくも崩壊します。 なので、そういう広告をやるのなら、覚悟を決めて、素晴らしいアイディア・表現に出会うまで根気よく試行錯誤し、綿密に作り、それでも出来上がりがもうひとつだったら、スパっとあきらめてスクラップ、もう一度やり直す、しかありません。 スタッフも厳選しないといけないでしょうね。

TOSTEMのこのシリーズは、なかなか完成度の高い仕事です。

それでも、です。 それでも、私に「随分暗い会社だなぁ、部屋がじめじめして暗くなりそうだなぁ」と感じさせてしまうんですね。

いやぁ、難しい。

 


私のおすすめ?

やる気があるなら石にかじりついてでも、何年かかかってもやりぬく。 それが許されるチーム・会社のリソースと文化があって、それが達成可能なセンスと見識のあるクライアントと、それを見事に仕上げることのできる一流スタッフがそろっているのなら。 イチロー並みの選手が9人いるチームみたいな。 普通は、無理です。

無理せず「広告はなるべく、明るく、楽しく、清く、正しく、簡単に」が無難です、残念ですが。 少なくとも「考えないとわからない広告」に代表される、洗練された広告は、きわめてリスクが高いし、できないひとにはできない、ということを知った上で挑戦されることをおすすめします。

(いやぁ、クリエーターの方々に嫌われそうな記事書いちゃったかしら。 でも、こういう「すべってる」広告多いんですよ、実際。)

お。