昨日、大阪心斎橋のスタンダードブックカフェという、一風変わった本屋さんとして有名なお店のカフェで開かれた「伝紋ws」のイベントと展示に参加してきました。 24日にワークショップがあって、展示そのものは来週まで続くようです。
何それ?
はい、詳しく・正しくは、こちらをご覧いただくとして、私なりに解説すると、ざっとこういうイベント・活動です。
伝紋とは、造語で、まぁわかりやすく言うと「あなた個人の家紋」です。 簡単なインタビューを受けて、自分のひととなり・こだわりなどについて話します。 すると数週間後に「家紋のデザイン案」ができてきます。 それで、気に行ったのを選んで完成させてもらう。 あとは、それを自分でどう使うかはあなた次第。 たとえば名刺を作ってもいいし、写真にあるような「あなたの家紋グッズ」に展開してもいいし。 私なら、まずは耐水ステッカーを作ってスノーボードに貼ります、例えば。
家紋には、あなたの思いやこだわりなどがデザインとして埋め込まれているので、それを使って自己紹介したり。 ま、「なんですか、これ?」っていうところから会話がスタートしますよね、まずは。
まず、作ってもらう側。 自分ってこんな人、こんな夢があって、こんなこだわりがあって、こういう生き方をしている・していきたい、というようなことを、自分でしっかり認識していないと、そもそも家紋をデザインできません。 そういう意味で、自分を見つめ直す、とてもいい機会があたえられてしまうわけです。
さらに、それらの情報を昇華・転換・置換・具現などして「家紋」というデザインになって返ってくると、その中にはきっと自分で気付いていなかった自分が見えてくる、(はず)。 ということで、さらに自分と言うものを考えるチャンスがでてきます。
いうなれば、自分のブランド化・ブランドマーケティングですね。 「家紋」は、たとえば、ブランドロゴであり、パッケージデザインであり、トレードマークですから。 「家訓」に基づいて作られて、「のれん」に染め抜かれた家紋で、そこには自身を老舗と見たときの「こだわり」が秘められている、ということです。
もうひとつの「力学」は、デザイナーを中心としたクリエーターにとっての学びの場である、ということ。 現段階で、家紋をデザインしてくれるのはデザインを学ぶ学生さんたちです。 彼らが、「自分が表現したいものを表現する」という次元から、「他人の思いを理解して、それを表現する」という別の次元に進むための、とてもいい機会になっているんですね。
これは、広告の世界も同じなんですが、突出した才能があふれる一部の「アーチスト」を除いて、ほとんどの「クリエーター」たちは、クライアントやブランドの課題や思いを表現物にのりうつらせることを求められているわけです。 そのためには、実は相手を理解し、相手の気付いていない真実・インサイトを見極め、それをデザイン化し、さらには、そのデザインの意図を相手に説明できる、というコミュニケーション技術が要求されます。 しかし、アート系のみならず、今、日本の教育でそうした技術を学ぶチャンスは非常に限られている。 それを鍛えられないまま社会に放り出されているのが現状です。
この「伝紋ws」という活動が、そうしたことを学び身につける機会を与えている、ということです。
さらなる「力学」。 これは、まだ実現していないので、私の感想・妄想に過ぎません。 それは「伝紋ws」をさらに高めていこうとしたとき、必ず今の、「デザイナー」と「依頼主」と「場」という3つの要素だけでは収まっていかないだろう、ということです。 そこには「聞きだす力」のプロ、情報を企画課題に置き換えるプロ、クリエーターの思いつきをふくらませたり方向付けしたりするプロ、意図を明確にし、言語化して説明するプロ、さらには家紋を3Dに展開してみたり、さまざまな素材に展開してみたり、という具体的な制作を担うプロ、あるいは、こうしたことのすべてを俯瞰しながらマネージしていくプロ。 人という意味ではなく、技術と経験、という意味で「プロ」としてみましたが、そうした才能と技術を育てる場になれる、ということですね。
さて、昨日参加しての、私の感想。 これはとてもとてもおもしろい取り組みで、なんとかNPO化するなどして継続し拡大していくべきもの。 でも、今の段階では、申し訳ないがまだ「アマチュア」の域を出てないように思いました。 素晴らしい枠組みなのですが、そこに必要な「プロ」を配していき、3つの「力学」がフル回転できるように仕向けていく努力が、まだまだ必要だなぁ、と。
まぁ、小難しい議論はさておき、おもしろ半分、というよりは、「おもしろ8割」くらいの気持ちで参加してみてはいかがでしょう? 現段階では、大阪でのイベントに参加していただくしか方法はないのですが。 (やがて、世界に羽ばたくかも、ですが。)
お。
ルイ ヴィトンのLV、APEの猿、グッドイナフのG、エルメスの馬、グッチのGG、本当に枚挙にいとまがない。
その一方でコム デ ギャルソン、ナンバーナインのようにあえて固定の(コム デ ギャルソン・プレイは別として)家紋を作らず、デザインで勝負している(もしくはしていた)ブランドもあり、それはそれで強烈なインパクトを持っているんだけれど、それはまた別のお話なのだと思います。
家紋作りがブランド作り。
プライベート家紋というか、パーソナル紋というか、個紋という考え方を流行らせるといいのかも知れませんね。
って、岡本さんはそう言っているのでしょうか?