というご質問、札幌のホワイトナイトさんからいただきました。

大きなお題ですね、私ごときの手に負えるものではありません。 が、ちょうどいい機会にご質問いただいていて、実は先週金曜日から3回にわたって、宣伝会議大阪教室の上級コピーライター養成講座で「クライアントから見たコピーライター・クリエーター」というお話をさせていただいておるのですよ。

というわけで、必然的にこのお題については考えざるを得ない状況なのです。


「すべてのクライアントはこう考えている」とか、「コピーライターたるものこうあるべし」みたいなことを言える立場でもなければ、それができるような見識・経験も持ち合わせておりませんので、あくまで私個人が考えること、として、お読みください。 かつ、少し「概念的」なお話しになってしまいます、おそらく。


私は(かつてクライアントにいたころ)、コピーライターという肩書を持つ、あるいは、コピーライター出身のクリエイティヴ・ディレクター、という方々には、大きく分けて次の3つの仕事を期待していました。


「ブランドになりきって、語る。 
Shall We Haagen-Dazs?

あったり前ですね、「コピーライター」なんですから。

戦略をそのまま言葉にすればいいのなら、世の中にコピーライターは必要ありません。 しかも、それは理屈と手順で手に入るものではないので、私のように左脳しかないようなクライアントには、できない仕事です。

もし、私の意見が、少しだけ世の中一般の「コピーライターに期待すること」と違うとすれば、それは、ブランドになりきって、あたかもブランドが語るように、ブランドの人格の発露としてのコピーを期待している、ということでしょうか。

「ハーゲンダッツしませんか?」じゃ、お話しにならないわけです。 それじゃぁ、あんた誰?でしょ。

そういう見方で言えば、私はいつも「うまい言い回し」より、「ブランドらしい言葉づかい」を求めていたように思います。

以前にも記事にしましたが、ブランドには人格が宿っています。 その人格が、もっともよく出るのが言葉・言葉づかいです。 なので、「ブランドを育てる」ための、必要不可欠なものがコピーライティングです。 (「語らない」というのも含めて。)


「クリエーターとクライアントの通訳。 “このろくでもない、すばらしき世界。”」

コピーライターは言葉をあやつる方なので、(映像や音に比べて)左脳が太り気味のクライアントにとって、「クリエーター集団」の中では、もっとも友達になりやすいかも知れません。

提示されている広告案などが、なぜ戦略を伝えるのに有効なのか、どこがおもしろいのか、どこにクリエーターの思いや発想があるのか。 クライアントにはなかなか理解できません。

そんな中で、コピーライターが言葉を尽くして・端的に説明してくれると、とても助かります。

あるいは、もっと簡単な例を挙げれば、下手な絵コンテより、字コンテの方がよほどわかりやすい、ということですね。

宇宙人ジョーンズの地球(日本)生活日記のシリーズ広告が、なぜ缶コーヒーを売るのか。 絵コンテだけ見てたら、私には100年経ってもわからないでしょう。

クリエーターの頭の中には、すでに出来上がった広告があるのだと思います。 しかし、制作する前に、それを理解し感じるのは、クライアントの多くの人たちにとって至難の業なんです。 そこを橋渡ししてくれるのがコピーライター。

クライアントの頭の中には、戦略を達成したときにあらわれるべき結果が思い浮かんでいます。 しかし、多くの場合それは数字だったりするわけで、おそらくクリエーターの方々には感じ取ることが難しいのではないでしょうか。 そこを橋渡ししてくれるのがコピーライター。 (それはプランナーの仕事だ、という意見もあるでしょうが。)


「名前をつける。 “Impossible is Nothing”」

もしかすると、この役割が一番重要なのかも知れません。

概念としてしか存在していないものに、あるいは、説明しないとわからないものに、「名前」をつける。 名前が付くと、突然動き出す。 概念でしかなかったものに、命が宿ったり、思いや信念を伝えるニュアンスが備わってきたり。

「Nothing is Impossible」でもなければ、「Anything is Possible」でもなく、「Impossible is Nothing」。

具体的な「コピー」として世の中に出るものもあれば、社内にとどまる言葉であることもあります。

チームのスローガンとかって、プロジェクトの目標や将来像、取り組む姿勢に名前をつけるということですよね。 あるいはプロジェクトの名前そのものがすでにコピーライティングだったりするかも知れません、TSUBAKIのように。


3つに無理やり分けているだけで、結局同じことを言っているようにも思えますね。

すいません、まとまりがなくて。

無理にまとめると、ブランドの戦略と人格をお客様に伝える語り部、クライアントとクリエーターの思い・考えの語り部、概念と具現の語り部、ってな感じでしょうか?

余計にわからなくなった?

すいません。 まだまだ修行が足りませぬ。


お。