出張で現地に足を運ぶことも難しい今日この頃。 在宅勤務も進みつつあり、遠隔でコミュニケーションをとりながら仕事をする機会が増えたのではないでしょうか。
遠隔だと、今までのように、“あれどう思いますか?”とか、“これでいいですか?”などと気軽に話をすることもままなりません。 もちろん、電話やテレビ会議で話すことはできますが、参加者全員のスケジュールを合わせてつなげるもの一苦労。
そんな時、メールを使って議論をしたり合意をとったりできれば、仕事はもっとはかどるはず。
でもこれが意外に難しい。
実際、思ったように進めることができずに苦戦していませんか?
例えば、
- ・メールをしても相手から一向に返事がこない。(返事にそんなに時間のかかる内容ではないはずなのに…)。
・3つ質問したのに、返ってきた答えは1つだけ。
・提案してもそれに対する意見や質問はなく、ただ「わかりました」とだけ返ってくる。(ありがとうございました、だけのときも…)
・なぜか1問1答形式。 会議の日程や参加者を決めるだけなのに、メールを何往復もしないといけない。
・1つのスレッド(タイトル)に別案件も入ってきて、どれがどれかわからなくなってしまう。
さらには、
- ・みんなで意見交換をしたいので複数人にメールをすると、直後に一人ひとりから電話がかかってくる。
また、
- ・情報を知る必要のある人を㏄に入れてメールをしているのに、自分だけに返事が来る。
・逆に、驚くほど㏄リストが増えて戻ってくる。
などなど。
挙げだすときりがありませんが、みなさんもこういったもどかしい経験をされているのではないかと思います。
普段メールは、“通達”などの一方通行のコミュニケーション、もしくは、1対1での指示や連絡事項に使うことが多い(今までは多かった)のかもしれません。 あるいは、一応見ておいてくださいね、くらいのもの。
だから、双方向、しかも複数人で意見交換をしたり何かを決めたりとなると、どうしてもハードルが高くなってしまうのかも。
どうしたらメールを使って効率的に仕事を進められるのか・・・
マーケティングの話題でもなければ、ビジネスメールの専門家でも何でもないですし、今まで、そういうものを教わったこともないのですが、経験上、思うところをいくつかあげてみます。
ちなみに、えとじやメンバーは、前々からメールで仕事を進めることにはかなり慣れっこ。
クライアントや調査会社さんと、メールでやり取りさせていただくことも多いですし、以前の勤め先では、仕事仲間がいろんな国にいるので、メールで仕事ができなければ始まらない環境だったおかげもあります。
弊社内のコミュニケーションも主にメール(私は在宅勤務にも関わらず、この6年間、店主と電話をした記憶がないくらい、ほぼメールです)。
では、やっている人には当たり前、でも、今まで意識していなかった人には是非試してみて欲しいちょっとしたコツを、いくつか。
まずは、
1.メールの用件を明確にする
受け取った人に何をしてもらいたいのか、何のためにそのメールを書くのかを意識します。
意見やアドバイスが欲しいのか、相手に何かを決めて欲しいのか、合意が欲しいのか。 または、指示をしてその通りに動いてもらいたいのか、単に情報共有なので返事は不要なのか、などなど。
基本的なことですが大事です。 決めてから書き始めるクセをつけるとよいでしょう。
例えば、
「件名:予算の承認をお願いします」
「(書き出し)XX様、
YYプロジェクトの予算に関して、以下の3点について承認をいただきたくメールしました。」
という風に。
用件に沿った、メールのタイトルや書きだしにすると、受け取った人は何をすればよいかわかりやすくなる、ので、返信しやすくなるはずです。
なお、ありがちな「メールのやりとりが、本来の意図と違うスレッドになる・もともとの話題以外の話題になる」ケースですが、それも必要・重要なものの場合は、別のタイトルをつけて、別のスレッドにして、分離させましょう。
次に、
2.誰に送るのが一番効果的か(仕事が進むか)を考える
一人に送る方がよい場合もあれば、㏄を入れる方がよい場合も。 状況によって様々です。
電話と違い、複数人同時に意見や情報を共有できるので、必要に応じて効果的に使えます。 ただし,“念のため”と言って誰でも彼でも含めると、不要なメールを増やしてしまうので、必要十分かどうかには気を付けてください。
㏄リストはそのままで返信してほしい時は、「ご返信の際は、全員へ返信でお願いします」とひと言添えればより親切かもしれません。
最後に、
3.文面は提案書を書く感覚で(特に合意が必要な場合)
提案書と言っても詳細なものではなく、ごく簡単な簡潔なものを。
問題・課題や現状、取り得る選択肢、合意をとりたい事柄、といった具合です。 いつまでに返事が欲しいかも必須です。
例えば、
「○○の納期が1週間遅れる件について、今週中に対策が必要です。
以下2案のうち、①で進めたいと思いますがよろしいですか。 木曜日までにお返事ください。
案① 納品日を分けて、半量を期日通り、残りを10日遅れで納品する。
案② 人員を増やして全量期日通りに納品する。ただし、追加費用xx万円。」
という風に。
日本企業間でのビジネスメールのお作法としては失礼にあたるのかもしれませんが、私はわかりやすくするために箇条書きをよく使います。
わかりやすいメールを書くことは、自分の頭の整理にもなります(書くことで論点や選択肢がより一層整理されるってことありますよね)。 反対に、わかりやすいメールが書けないということは、まだ十分に整理できていないという証拠。
返事をする方も、自分の意見がはっきりしないことには返信できません。
そう考えると、メールでのビジネスコミュニケーションって結構シビアなのかもしれません。
会議だと、長い時間議論をしても結局何が決まったのかわからないというのもよくあります。 会話だったら、(いい意味でも悪い意味でも?)言葉を濁してうやむやにしたり、あいまいな返事をしたり、無言で考え込んでも成り立ちますが、メールだと双方、そういうわけにはいきませんよね。 記録にも残りますし。
ちなみに、なかなか返事が返ってこないという問題。
返事をする側だけでなく、送る側の責任も少なからずあるのではないかと思います。
長い・要点がわかりにくい・自分宛てに書かれているのか曖昧なメールには、返事がしにくいですもんね。
特に、これから在宅勤務が進むと1日に受け取るメールの数が増えてきます。 その時に、スルーされないためにも、タイトルや書きだしをわかりやすくする、何をしてほしいかはっきり伝える、期限を決めるなどの工夫は不可欠です。 また、普段からむやみやたらと㏄を入れていると、いざという時に(大事なメールだと気づいてもらえず)無視されかねないので要注意。
一方で、返事をする側は、意見や状況がはっきりするまで返事を保留する人もいますが、私は、“まだ結論が出ていない・考え中・調査中”なので、“いついつまでにはお返事します”と、ひとまず状況を知らせておく方が良いのではないかと思います。 メール上の無言は無視とも捉えられかねないので。
自分の考えや、やってほしいことをいつもよりストレートに伝え、メールを通して人を動かす。 それに対して、自分の意見や賛否を相手にわかりやすく言葉にして返す。
メールで仕事をするということは、単にツールの置き換えではなく、今までのコミュニケーションスタイルを変えるということなのかも。
そういう気持ちで取り組むと、少しはメールでのやり取りがスムーズになるのではないでしょうか。 むしろ、メールのほうが仕事を進めやすい、ということもあるはずです。
メールをうまく使うことができれば、仕事はもっとはかどるはず。 しかも、頭が整理できて、コミュニケーションスタイルの幅を広げられるとなれば、遠隔になってしまったこの機会に活用しない手はないですね。
片や、対面でのコミュニケーション。 このまま在宅勤務が定着したら、「会って話す」ということが今までよりもずっと貴重になってきます。 とりあえず話す、だらだら話す、話したけど何も決まらない、といったことに費やしている時間はなくなるかもしれません。
ニューノーマルでは、対面でのコミュニケーションのあり様も変わるのではないかと思います。 (店主は、たまにそういう講義みたいなのもしているようですし、)この話は、またいずれ。
和。