消費者調査、できないですねぇ。 グループインタビューなんて正に3密。
いつになったらできるようになるでしょうか。 デプスも訪問調査もできないし、定性はかなり厳しいですね。
だからオンラインで、とWeb調査やオンライン定性をするのはどうでしょうか。
「ちょうどみんな家にいるし、暇だから・・・」と思いますが、たとえば主婦であっても通常とは全く違うストレス下にあります。 今実施することの意味、リスク、手法の特性もすべて考えた上での実施にしてくださいね。
自分のことを考えてもらったらわかると思いますが、かなり「いつもの私・いつもの我が家」ではないはず。 私たちは、今、調査はお勧めしていません。
さて、せっかく調査のできない今だからこそ、余った時間を使って調査担当者やマーケターがやるべきこと、できることをしていきませんか。
今だからこそできること、は、いろいろあると思いますが、その中で私のお勧めは、調査そのものをどうするか、ではなく、その一歩手前、課題解決のために何を知らないといけないか、今何を知っているのか、を整理してみることです。
当たり前のことですが、知るべきことを整理しないまま調査を行うと、あれもこれも詰め込んだ調査になるか、ぼんやりしすぎて役に立たない結果が出てきます。 課題解決につながる有意義なものにするには、調査以前に、まずは課題に対し何を知るべきで、手持ちの知見やデータは何で、そこからどこまでわかるのか。 分からないことが何で、そのために消費者に何をどのような形で聞くのが正しいのか、を整理しておくことが重要なのです。 当たり前、ですが、わかっていても普段落ち着いてできないことを、今だからこそ。
そして、実際に整理をしてみると、わざわざ消費者調査しなくても解決してしまうことも少なくないことがわかったり、逆に課題が大きい・複雑で、調査一本だけで解決できないことを確認できることもあります。
つまり、落ち着いてプロジェクト全体を見通し、その流れの中で調査をプランする必要があることが分かるわけです。
そのためのツールのひとつとして、「ラーニングプラン」をここではご紹介してみます。
ラーニングプランとは、自分たちが解決するべきビジネス課題に対し、どのようなプロセスで解決を図るのか、調査も含めた工程表です。
例えば、ということで、下の例を見てください。
新商品を開発するのに、まず調査、ではなく、何を知りたいのかを細分化して考え、準備します。 課題を「知りたいことリスト」として落としていきます。 知りたいことリストは小さいことから大きなことまでなんでもめいっぱい出してみて、それを項目ごとにまとめるのが有効です。
この作業、チームでできるなら、チームメンバー全員の知りたいことを集めてみるとよいです(ここでズレが生じる場合にはそこからスタートです)。
消費者を知りたい、というのも、じっくり考えてみると、実は多岐にわたります。 習慣・意識・価値観・購買行動、自ブランドや競合品に対する認知やイメージなどなど。 もしかすると別のカテゴリや商品群・サービスのことを知る必要があるかも知れません。
課題解決のために何を知るべきなのか。
とにかく考えて落とし込みます。
この段階では、調査でわかるのかどうか、というのは置いておいて、何を知りたいか・知るべきかのリストです。
さて、「知りたいことリスト」ができたら次は、それを知るための方法を決めます。
自分たちで調べられること、消費者に聞かないと分からないこと、社内の知見や経験、POSや市場データ、過去の調査結果の再分析から分かること、などがあります。 (実際にやってみないとわからないこと、というのも存在します。 それは「排除しきれないリスク」として認識しておきます。)
よくあるケースは、実は社内で色んな人が色んな知識やデータをばらばらに持っているが、自分が知らない、まとまっていない、というもの。 それらを集めてチームで見直すだけでも、たくさんの発見があるはずです。
また、ひとつひとつのタスクについて、どんな結果を求めているのかを想定しておくことも非常に重要です。 「求められる結果」の項目には、それぞれからどんなことが出てくるはずなのかをここに書いておきます。
このようにプランすると、調査がすべて、ではなく、調査は全体の流れの一部だということが、見えてくると思います。
この作業によって調査の優先順位を下げる・やめる、ということではなく、逆に調査の役割が明確になるので、より目的のはっきりとした良い調査ができることになりますし、過去のデータの掘り起こしやまとめ直しなどをすることで解決することも多々あるはずです。
そう、今はそうしたタイプの作業によい時間・環境でもありますよね。
世の中、まだまだ先が見えない状況ではありますが、平常に戻ったらすぐ動けるよう、今だからできることをしておきましょう。
K。