ふたつこのブログをご覧になる多くの方々にとっては、あまりに当たり前のことでしょう(しかも、すごい久しぶりに上げる記事がこれか?、と思われるかも知れません)が、先日、とあるマーケティング初心者の方にお話ししたところ、「なんか、腑に落ちました!」って言われたので、記事にしておくことにしました。

 

ブランドマーケティングを展開していきたい・するべき、と、なんとなく思っていても・社長に言われたものの、社内にそうしたノウハウや知見があるわけでもなく、世にある本を買って読んでみても、なんだか難しいことばかり書いてあって、じゃ、今日から何をどうすればいいのよ?と途方に暮れる。

もちろん、まずはターゲットとなるお客さんについて深く理解し、自分のブランドの基礎となる部分と将来のビジョンをきちんと言語化し、合意を形成し、文書化し、そしてそれらに基づいて、製品やサービスの本質を見直し、コミュニケーションなどの施策をレビューし、ブランド強化に資するものに改善していく・・・・

のが、本筋ではあるんですが、そういう難しいことを、時間をかけてやっていくのは、ひとまず「来年」に回すとして、とりあえず、今日、何をどうすればいいの?

 

その方は、最近マーケティングの部署に異動してきて、それまでは、少し営業、多くの時間を経理畑で過ごしてこられた方。

いきなりブランドだ、と言われても、そもそもマーケティングって、どこから手をつけたらいいの?なわけです。

そんな方が「何かアドバイスを!」と・・・・。

 

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「ブランドマーケティングって何をしたらいいのか、もうひとつよくわからないんです。」

- すごく簡単に言ってしまうと、ブランドマーケティングって、あらゆるマーケティング活動で、2つのことを同時に達成する・しようとする、ということなんですよ。

「2つのこと?」

- 即時的な効果が出るようにすること、と、それがあとあとまで響くような累積的な効果も期待できるようにすること、です。

「例えば、どういうことなんでしょう?」

- 新規ユーザーを獲得するためにサンプルお試し施策をSNSでやるとしましょう。

その施策は、まず短期的には、新規ユーザーさんたちに、サンプル応募に応えてもらわないといけないわけです。

短期的な・即時的な効果ですね。

これがひとつめの仕事。

「はい、それはよくわかります。 もうひとつ、というのは?」

- 応募してくれた方だけでなく、その施策は、サンプルに応募してくれないとしても、目にはします。 おそらく多くの既存ユーザーや、あるいは今はそれを必要としていないが、やがて必要になるような方の目にも触れますよね。

そのひとたちの頭・心に、「なんかいいブランドだな」とか「あ~、そういう考え方のブランドなんだ」、「ふ~ん、こういう人柄のブランドなんだね」、「このブランドのユーザーでよかったなぁ」というような印象を残すようにする。

これを、いくつかの施策や実際の商品・サービスに触れるたびに一貫して起きるようにする。

そうすると、この施策は、新規ユーザー獲得のための試用促進だけではなく、ブランドのベネフィット・イメージ・人柄を長期的に積み重ねていく効果を発揮します。

これが、長期的な・累積的な効果です。

「はぁ、なるほど。」

- これらを、どっちか片方だけやるのではなくて、常に両方やるようにする。 それがブランドマーケティングです。 常に、です。

「大変そうですね。」

- はい、大変です。

でも、ひとつの施策が、実施したときにも効果があって、複数の施策によって積み重なる効果も発揮できると考えれば・・・・

「お得。 なんか、積み立てみたいですね。」

- そういうことです。

 

「積み立てみたい」とは、なるほどですね。

エクイティ=「資産」なので、それを形成するために「積み立て」をする、というのは、確かにその通りです。

 

「でも、去年と同じことをやればいい、ということではないはずですが?」

- 同じことをやる、というよりも、同じひと(ブランド)だという印象を残す、と考えてください。

「ロゴやタレントさんを同じにするとか?」

- それもとても有効な手段のひとつです。

さらに重要なのが、ブランドの「人柄」。 メッセージの中身とその意図に一貫した考え方や哲学・価値観があるか、なんです。 それを、担当者や状況が違ってもぶれないようにするために、ブランドエクイティとかブランド戦略と呼ばれるものが必要になるわけなんですけどね。

「でも、どの広告もみんな同じになってしまいませんか?」

- ふむ。 でもそうすると、肝心の即時効果が薄れてしまいますね? それじゃ、2つを同時にやることにならない。

「飽きちゃいますし。」

- そうそう、そうなると累積効果もだんだん下がっていく。

「じゃ、ダメじゃないですか。」

- 多くの場合、マーケティング活動には、ひとを惹きつけるニュース性や新規性、あるいはどうしても私に必要だと感じさせる要素、身近さのようなものが必要です。 そうでないと、誰も振り向いてくれませんから。

それを達成しながら=即時効果、同時に、ブランドの「お人柄」みたいなものを積み立てていく=累積効果を発揮しないといけない、ということです。

「簡単ではない感じですね。」

- はい、どっちかにしてほしいと思ってしまいますが、常にその困難を乗り越えて2つの効果を高めていくのが、ブランドマーケティングなわけです。

では、ちょっと例を見てみましょう・・・・・・

 

ということで、このあと、有名なブランドたちの過去と現在の製品・サービスや広告などを見て、何が変わったかではなく、何が変わっていないか、をふたりで話し合いました。

 

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という、他愛のないお話しなんですが、すごく腑に落ちたと何度も言ってくださって、私もうれしかったです。

 

「いや、なんか腑に落ちた気がします。

今度、サービスのリニューアルが予定されているんですが、ついつい「今までと、何が、いかに違うか」ばかりに頭が行ってましたね。

即時効果と累積効果、常にふたつのことをやる、ですね。

考えてみます。」

- 楽しみにしてます。

 

お。