ある日、一緒にTVを見ていた友人に、
「こんな広告やってたら、そのうち社長、くびになるよ、きっと。」
と冗談半部で話しかけたら、業界に詳しい友人、
「あぁ、あそこね、社長代わったらしいよ、最近。」
え! そうでしたか、、、。 友人によれば、先代の社長の息子さんが社長になったものの、結局、先代が再び社長に戻った、とか。
あらあら、、、。
(この交代劇が、このCMたちのせいだったのかは、全く知りませんが。)
壮大なスケールで「ニオイのない快適な生活」を「未来のお殿様とその家族」という設定で描くシリーズ。 お城の大広間らしきところで、奥の女中や家来衆、はては忍者も出てましたか、みんなでミュージカルばりに歌って踊って、「しゅ」と(消臭)する。
消臭プラグという商品ですね。
その後、なぜかロボットと暮らすお殿様家族の広告もありました。
(別の商品ですが、ともかくたくさん外人さんが出てきて、「消臭~力~」と歌いあげたりするシリーズもありましたね。 あと、よくわからない着ぐるみキャラクターが出てくる衣料用防虫剤の広告シリーズもありますが。 こちらはまだ続編のだ じゃれ編がオンエアされているようです。)
ともかく、スケールが大きく、大変お金のかかった作りの広告ばかり。 一視聴者として見ているだけなので、正確なことはわかりませんが、おそらく放映量もこの商品カテゴリーにしてはかなりのものだったのではないでしょうか。
あきらかに「金のかけすぎ」です。 何が言いたいのかわからない、という広告ではなく、なぜそれを伝えるのにその方法なの?という、ほとんど「悪ふざけの悪ノリ」なものばかり。 どうしてこういうことになったんでしょうかね。
まさか、大手広告代理店にだまされた、というパターンでしょうか?
それにしては、一応アイディアの筋は通ってるし、あらゆる広告がそうなっているし、シリーズ化されてるし、、、。 何か意図があったはずです。
「シュっ とやるだけで住空間の消臭ができる画期的な商品を使えば、家族が楽しく快適に暮らせる」ということを伝えるつもりなんでしょう。 それ自体、間違ってはい ません。 しかし、そのままじゃあまりに「あたりまえ」で漠然としていて、消臭効果のある製品が五万とある中、どうしてその商品だといいのか、全くわかり ません。
そもそものアイディアに新しさがないわけです。
いろいろやってみたけど、なかなかうまくいかない。 そうなると、表現を派手に、おもしろくするしかなくなります。
ということで、「画期的=未来の」、「家族=お殿様と家来・家族」、「楽しい=ミュージカル」、「住空間=お城の大広間」と、ド派手にしてみたんですかね。
エステーといえば、おそらくみなさんが覚えているのは「消臭ポット」のかわいいコマーシャルじゃないでしょうか? 思わず口ずさんでしまった方も多いはず。 きっとかなりの成功を収めたはずですよ、ビジネスとしても。 差別化が難しく、人の記憶の優先順位が低い商品カテゴリーで、あれは素晴らしいヒットでした。
そうか! それだ。 ユニークなネーミングとユニークな広告があれば、このカテゴリーでも商品は売れる。 その経験の拡大解釈、あるいは、ゆるすぎる解釈がもたらした、大投資劇だったんじゃないでしょうか? そして、新任社長の気合いの空回り?
ともかく、もう一度「消臭ポット」の広告を流すことをお勧めしますよ。 また売れますって。 あれはいい広告です。 (You Tubeで見つけられませんでした、子供たちが出てきて歌うだけのやつです。)
それにしても、この「TV広告は社長の道楽」という文化、いまだに目にする・耳にすることがありますが、もう高度経済成長期でもバブルでもないんですから、そろそろおやめになったらいかがでしょうかね? 大手代理店さんが儲かるだけですよ。
お。