えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

SOYJOY私はあまり間食をしないし、サラリーマン時代もほとんど残業をしなかったので、ちょっとしたエネルギー補給にサプリ系の食べ物を食べる、という習慣がありません。 幸いにして(今のところ)体重に気を遣う必要もないので、食べ物に対するカロリー意識は全く高くありません。
なので、「なぜSOYJOYが売れるのか」について、とやかく言える筋合いではないのかもしれませんが、それでも、見ているだけで「あれは売れるよねぇ」と思うので、今日はそのお話し。

結論から言ってしまうと、「人は食べ物を買う時、おいしそうだから買う」という、あたりまえのことをちゃんとやっているブランドだから、だと思います。

少 しおなかがすいた時のエネルギー補給の食べ物、ちょっとコンビニに行って見回してみると、(個人的に興味・関心が薄いから余計に)その数・種類の多さに びっくりします。 そしてその多く、いや、すべてが、いかにカロリーが低いか、太らないか(太りにくそうか)、余分なものを摂らずにすむか、ビタミンや繊維などがたっぷり摂れるか、などの機能を全面にうたっています。 そういや、機能食品とかいうんですよね、ああいうの。
その中で、ひときわ輝いているのがSOYJOYです。
もちろん、売れているから棚での扱いが大きい、というのはありますが、それを差し引いても目を惹きつけます。
それは、おいしそうだからです。

太らない、健康に対する悪影響を最小限に抑える・健康にいいものを摂取するための食べ物ですから、みなさん、いかに機能的に優れているかを一生懸命訴えます。
差別化ですね。
マーケティングの世界では、この差別化というのがとっても大切だと、こっぴどく教わります。 「私はここが(他のひとと)違うから、優れているので、(他のひとではなく)私を選んでください」、ということです、簡単に言うと。
法的な規制などもあり、直接「ここが、これくらい優れている」とは言えないことが多いので、そうなると、今度は原材料の優位さや、優位だというイメージを利用したり、レモン何個分とか、グリーンピース何千粒分だとか言います。 あるいは、健康に詳しそうだったり、こだわってそうな有名人や専門家や団体などが 推奨しているかのようなイメージを付けたりします。

ところが、この「差別化」に躍起になるあまり、大切なことを忘れてしまうんですね。
差別化って、結局は買う時の言い訳であって、買う理由ではないんですよ、多くの場合。
食べ物はおいしそうだから買うんです。
SOYJOY は、そのパッケージデザインがとってもとっても良くできているから、みんな買うんです。 味のベースになっている材料のおいしそうな写真、そして中味を ちゃんと見せていて、それもなかなかこんがりおいしそうです。 味の違いを区別するための色もうまく選択されています。 たいしたことないデザインに見えますが、とてもきちんと作ってあります。
もちろん、大豆がベースだとか、なんとなく「身体にいい」と認識されているフルーツなどを使っていて、機能食品の「言い訳」もちゃんと用意しています。
店頭勝負のマーケティングのとてもいい成功例だと思います。

(最近CMをがらっと変えましたが)はっ きりいって、あんなに大物タレントを多数起用したTVコマーシャルなんていらないと思いますよ。 (最初のころの、みのMたのCMよりは、ずっといいですが。) 知名度・認知率を上げるのに、間違いなく役立ってはいますが、あ そこまでお金を湯水のように使わなくても、、、。 まぁ、大きな会社だし、売れてるんだから、あれくらいの無駄遣いは痛くもかゆくもないんでしょうね。 少なくとも大手代理店さんとTV局とタレントさんは、喜んでいることでしょう。

食べ物・飲み物はおいしそうだから買う。
化粧品はきれいになりそうだから買う。
洗剤は汚れが落ちそうだから買う。
そういうことだと思いますよ。
差別化の迷路に入ってしまって見落としてません?

お。

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少し前の話になりますが、そうですね、およそ2・3年前から半年ほど前まで、やたらとエステーのTVコマーシャルを、しかも、かなり「?」なシリーズを見かけました。 特にここ1年余りのシリーズは、「いくらなんでも、、、」という感じでしたね。
ある日、一緒にTVを見ていた友人に、
「こんな広告やってたら、そのうち社長、くびになるよ、きっと。」
と冗談半部で話しかけたら、業界に詳しい友人、
「あぁ、あそこね、社長代わったらしいよ、最近。」
え! そうでしたか、、、。 友人によれば、先代の社長の息子さんが社長になったものの、結局、先代が再び社長に戻った、とか。
あらあら、、、。
(この交代劇が、このCMたちのせいだったのかは、全く知りませんが。)

壮大なスケールで「ニオイのない快適な生活」を「未来のお殿様とその家族」という設定で描くシリーズ。 お城の大広間らしきところで、奥の女中や家来衆、はては忍者も出てましたか、みんなでミュージカルばりに歌って踊って、「しゅ」と(消臭)する。
消臭プラグという商品ですね。
その後、なぜかロボットと暮らすお殿様家族の広告もありました。
(別の商品ですが、ともかくたくさん外人さんが出てきて、「消臭~力~」と歌いあげたりするシリーズもありましたね。 あと、よくわからない着ぐるみキャラクターが出てくる衣料用防虫剤の広告シリーズもありますが。 こちらはまだ続編のだ じゃれ編がオンエアされているようです。)
ともかく、スケールが大きく、大変お金のかかった作りの広告ばかり。 一視聴者として見ているだけなので、正確なことはわかりませんが、おそらく放映量もこの商品カテゴリーにしてはかなりのものだったのではないでしょうか。

あきらかに「金のかけすぎ」です。 何が言いたいのかわからない、という広告ではなく、なぜそれを伝えるのにその方法なの?という、ほとんど「悪ふざけの悪ノリ」なものばかり。 どうしてこういうことになったんでしょうかね。
まさか、大手広告代理店にだまされた、というパターンでしょうか?
それにしては、一応アイディアの筋は通ってるし、あらゆる広告がそうなっているし、シリーズ化されてるし、、、。 何か意図があったはずです。

「シュっ とやるだけで住空間の消臭ができる画期的な商品を使えば、家族が楽しく快適に暮らせる」ということを伝えるつもりなんでしょう。 それ自体、間違ってはい ません。 しかし、そのままじゃあまりに「あたりまえ」で漠然としていて、消臭効果のある製品が五万とある中、どうしてその商品だといいのか、全くわかり ません。
そもそものアイディアに新しさがないわけです。
いろいろやってみたけど、なかなかうまくいかない。 そうなると、表現を派手に、おもしろくするしかなくなります。
ということで、「画期的=未来の」、「家族=お殿様と家来・家族」、「楽しい=ミュージカル」、「住空間=お城の大広間」と、ド派手にしてみたんですかね。

エステーといえば、おそらくみなさんが覚えているのは「消臭ポット」のかわいいコマーシャルじゃないでしょうか? 思わず口ずさんでしまった方も多いはず。  きっとかなりの成功を収めたはずですよ、ビジネスとしても。 差別化が難しく、人の記憶の優先順位が低い商品カテゴリーで、あれは素晴らしいヒットでした。

そうか! それだ。 ユニークなネーミングとユニークな広告があれば、このカテゴリーでも商品は売れる。 その経験の拡大解釈、あるいは、ゆるすぎる解釈がもたらした、大投資劇だったんじゃないでしょうか? そして、新任社長の気合いの空回り?
ともかく、もう一度「消臭ポット」の広告を流すことをお勧めしますよ。 また売れますって。 あれはいい広告です。 (You Tubeで見つけられませんでした、子供たちが出てきて歌うだけのやつです。)

それにしても、この「TV広告は社長の道楽」という文化、いまだに目にする・耳にすることがありますが、もう高度経済成長期でもバブルでもないんですから、そろそろおやめになったらいかがでしょうかね? 大手代理店さんが儲かるだけですよ。

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや番頭。消費者リサーチ歴18年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

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    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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