えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

IMG_6834このブログ、一応、週に1回くらいのペースで記事を上げるつもりでいるんです。
が、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、並行して「英語版」も作ることにしてしまって、ここ数日、自分の書いた記事の英訳に追われておりました。 半年以上も使ってなかったので、英語頭はぎっしぎしに錆びついてて、、、。 ようやく、あとひとつで追い付きます。
なんで英語版?
すごく単純な理由でして、英語を忘れたくない、けど、退職以来すっかり使うチャンスがなくなって、なんとか無理にでも使わないと忘れちゃう、というだけです。 はたして、英語版を誰かが読みにきてくれるのか? はたして、あんまり誰も来ないのに続けられるのか? ちょっと自信ないですが。

さて、今日はちょっと小ぶりのネタで。

私はサッポロビールが好きです。 (つまり、サッポロはNo.1にはなれない? さて、どうでしょう。 → 理由はこちらの記事をどうぞ。)
あんなに「ビール作りがうまい」のに、「マーケティングがへたくそ」、むしろ好感を持ってしまいます。 最近も、いろんなブランドの言ってることをごった煮にしたようなブランドを、しかも、TVCMも大量投下して発売したようですね。 70%オフ、って、中途半端な、、、、。 でも、きっとサッポロさんのことですから、おいしくないと出せないから、70%くらいがベストだと判断したんでしょうねぇ。 またやっちゃった感じです。
がんばれぇ! (本気で言ってますよ、ちなみに。)

プレミアムビールの世界でも、今やすっかりPremium Moltsにやられちゃって、ご本家YEBISUも気合を入れてかからないと。 私が住む関西ではYEBISU以外のサッポロさんのビールはなかなかお目にかかれませんから、関西のサッポロファンのためにも、これだけは死守してくださいね。

そのYEBISU、秋の限定「琥珀エビス」のパッケージデザインが、なかなか秀逸だったので、とりあげてみました。
こういうの、デザインをする人を泣かせるんですよ。
「期間限定ものだとわかるように」
「YEBISUの仲間だと、一目でわかるように」
「でも、味が違う、特別なものだとわかるように」
「プレミアム感を損なわないように」
「もちろん、お店で目立つように」
「YEBISUらしさを損なわず、できれば、それを強めるように」
「琥珀の味や風味を想像できる・感じられる色合いで」
そんなことをいっぺんにやることが要求されるわけですから。
IMG_6846それを、とってもうまくこなしちゃいました。
好きです。
(かなりひいき目ですよ、もちろん。 サッポロ好き、YEBISU好き、その上、使ってる色も好きな色ですから。
そして、最大の敵、Premium Moltsは、1種類で押しているのに、しかも、Moltsが金色を奪いつつあるのに、黒に緑に、白に、そしてえんじと、ばらばら出してる場合か? という戦略的な疑問は横に置いておいて。)

えんじの色合い・質感もいいですが、何よりいいなぁ、と思ったのは、デザインをちっちゃくしたこと。 これが、上に挙げた多くの課題をいっぺんに吹き飛ばす解決策になっていますね。
限定っぽさとプレミアム感は、わりと仲良しな感じだから、なんとかなるとして。 YEBISUらしさも、自分のブランドの持つ力を信じて、あえてデザインをちっちゃくして。
小さいほうが高級そう、というのは、世の中では常識ですが、商売の世界では勇気のいる決断です。 ひとりでも、ちょっと偉い人が、「これじゃぁ店で見えないでしょ。」ってごねたらおしまいです。
結果、色と質感がより感じられるようになって、さらに効果的。
あっぱれ、です。
(実は、味の話をすると、緑のYEBISUが好きで、金はちょっと甘いかなぁという私に、ちょっと琥珀YEBISUの味はいまいちだったんですが、許しちゃいましょう。 YEBISUファンですから。)
お正月あたりに、全YEBISUがこのデザインになるとかっこいいなぁ、と想像をふくらましつつ、今日もYEBISUをいただきました。

お。

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それは例えば、今夜、私が巨人ファンであることの幸せを再確認したように。
あるいは、そもそもどうしてブライトとアムロはあれほど長くパートナーとしてやっていけたのか。

わけのわからない出だしになってしまいました。
実はこのひとつ前の記事、NIKEのダルビッシュ応援ボールのお話で、「XXモーメント」をつかむとお客さんのこころをつかめる、というのを書いたのですが、ふくまりさん(友人)からそれに対するコメントをいただいて、ちょっと(急に)気付いたものですから、追加の記事を書くことにしました。ダル3

どうして「モーメント」をつかむと、お客さんのこころをつかめるのか?
それは、「モーメント」、つまりその瞬間・状況を共有すると、いきなりいろんな手続きを飛び越して、友達に(あるいは恋人に)なってしまうから、なんじゃないでしょうか。
その商品やサービスが(お金のひきかえに)何をもたらしてくれるのか、便益とかBenefitとかいいますが、それを飛び越える「絆」ができてしまうチャンスが生まれるということなんじゃないか、と思ったわけです。
ふくまりさんがコメント欄に書いた言葉を借りれば「同じ釜の飯」を食った仲。

ご自分の友人や恋人・配偶者との関係を思い浮かべてみてください。
どうして、その関係を持つに至り、それを持続しているんでしょうか? 彼・彼女が、あなたの友情・愛情の見返りに何かをくれるから、「あぁ、この関係は得だね」と思ったからでしょうか?
(ここで、「はい」と言われると先に進めないので、言わないでね。)
おそらく、何かの状況、楽しいことや苦しいこと、悔しいことを共有した、そういう瞬間・状況があったからじゃないでしょうか。 (じゃなきゃ、アムロはブライトを必要とするわけがない、、、。 ブライトさんは好きですけど、私は。)

さて、マーケティングの世界では(少なくとも私が勤めていた会社では)、たとえば「その商品・サービスの便益を強く欲したり意識したりする文脈でメッセージを受け取ると、メッセージ受容性が飛躍的に高まる」と言われています。
難しい言葉ですねぇ。
誤解を恐れずに、わかりやすく言うと、激しいスポーツの後で飲み物が欲しいときに特定の飲料ブランドの広告を見るとそれが飲みたくなる、ということです、たとえば。
多くの企業が、一生懸命これをやろうと知恵をしぼっています。
TVのコマーシャルはみんながお腹がすいたときに流したほうがいいんじゃないか。 もしかすると、通勤電車のほうが、雑誌より効果が高いんじゃないか。 などなど。 わかりますけど、、、、。
実は、私はかねてからこの考え方に大きな疑問を持っていました。 頭ではわかるんですが、なんとなく、感覚的に「おかしいぞ」という程度の疑問。
だって、そのマーケティングの理論通りに考えると(極論とわかりつつ)、「溺れかけてるときに、溺れている人や周りにいる人に浮き輪を売ると高く売れる」ってことでしょ?
少なくとも私は、そのブランド(商品・サービス)、そのときにはやむにやまれず買ったとしても、次は買いません。 心に「いやなやつ」という印象が強く残るからです。

どうも「便益にたいする受容性が高まる」というのが、間違いの元じゃないでしょうか。
「便益(何をしてくれるか)」ではなく、その商品・サービスの「人格=ブランド(どんな人か)」が問われる、ということなのでは?
だとすると、冒頭の、友人・恋人と「モーメント」の関係としっくりきます。

「あいつ(ブランド)、いいやつじゃん、だってあのとき一緒にいたもん。 だから、友達だよ、何ができるのか、よくわかんないけど。」

もしかしたら「モーメント」をつかむと、お客さんのこころをつかめる、というのは、そういうことなのかなぁ、と。

さて、あさっては敵地札幌です、気を引き締めていきましょう。

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや番頭。消費者リサーチ歴18年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

  • えとじやお針子

    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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