えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと


申し訳ないですが、私がクライアントなら、即オフエアーです。 あるいはそもそもこの広告を制作に進めてないなぁ。 (この広告のおかげで、ビジネスが伸びているのなら、完全に私の間違いです。 あやまります。)

TOSTEMという会社が誰を相手にこのCMを流しているのか、ちょっとわかりませんが、窓のリフォームを訴えているようにも見えますので、おそらく最終消費者に向けてるんでしょう。

だとして、私の印象は、「TOSTEMという会社の窓にすると、人生暗くさみしくなりそうで、いやだなぁ、この会社には頼みたくないなぁ」です。 当然、(もし私に窓を選択するチャンスがあったとして)、TOSTEMは選びません。 家が、じめじめしそうで。

 


洗練された広告は、えてしてハイリスクです。

ここで私は「広告はずべて、明るく、楽しく、清く、正しく、簡単でなければならない」と言いたいのではありません。 ただ、このような「考えないとわからないTV広告」を作って流す、という企ては、ほんの些細なことでもろくも崩壊します。 なので、そういう広告をやるのなら、覚悟を決めて、素晴らしいアイディア・表現に出会うまで根気よく試行錯誤し、綿密に作り、それでも出来上がりがもうひとつだったら、スパっとあきらめてスクラップ、もう一度やり直す、しかありません。 スタッフも厳選しないといけないでしょうね。

TOSTEMのこのシリーズは、なかなか完成度の高い仕事です。

それでも、です。 それでも、私に「随分暗い会社だなぁ、部屋がじめじめして暗くなりそうだなぁ」と感じさせてしまうんですね。

いやぁ、難しい。

 


私のおすすめ?

やる気があるなら石にかじりついてでも、何年かかかってもやりぬく。 それが許されるチーム・会社のリソースと文化があって、それが達成可能なセンスと見識のあるクライアントと、それを見事に仕上げることのできる一流スタッフがそろっているのなら。 イチロー並みの選手が9人いるチームみたいな。 普通は、無理です。

無理せず「広告はなるべく、明るく、楽しく、清く、正しく、簡単に」が無難です、残念ですが。 少なくとも「考えないとわからない広告」に代表される、洗練された広告は、きわめてリスクが高いし、できないひとにはできない、ということを知った上で挑戦されることをおすすめします。

(いやぁ、クリエーターの方々に嫌われそうな記事書いちゃったかしら。 でも、こういう「すべってる」広告多いんですよ、実際。)

お。

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IMG_6714どこの業界も、その業界ならではの難しい専門用語があります。 もちろん、マーケティングにもいやというほどあります。 というか、あるようです。 マーケティングの勉強をしたことがないので、実は私はよくわからないのですが。


便利なんですよね、ああいう難しい言葉って。 実はな~~~んにもしてないし、何も議論してないし、何も考えてないし、実は問題すらよくわかってなくても、専門用語を使うと「仕事している気になる」んです。

「それって、まさにXXX的問題だよね。」

とうフレーズ、XXXに難しそうな言葉を入れると、会議を回せたりします。

くだらない仕事をやり過ごしたいときに、これほど便利な道具はありません。 ぜひ、みなさん、使ってください。 たとえ少し用法が間違っていても、意味がずれていても、どうせ誰も気付きゃしません。


しかし、ことが自分の大事な仕事となると、そうも言っていられません。 責任逃れの海を泳ぎきることが仕事の中間管理職以上の方々はそれでいいのかも知れませんが。

では、どうすれば、この「専門用語でわかったふり」を避けることができるのでしょうか?


とっても、簡単です。

その言葉を「使用禁止」にすればいいんです。 「XXX」という言葉は使用禁止、でも、XXXについては、しっかり話し合う、というルールを作って、簡単な言葉だけで議論すればいいんです。

それをルールにした途端、会議は実のある議論を生む場に変わりますよ。

(ちょっとゲーム感覚もあって楽しいし。)


かつて私が社内の若いマーケッターたちを教育していたころ、よくこのゲームをやりました。

例えば、広告のビッグ・アイディアを、きっちりと把握して、それについての好き嫌い・良し悪しの判断を、自分の上司あるいは広告代理店に伝える、という課題。

ビッグ・アイディア、が、ここではやっかいな専門用語です。

先日記事にしたペプシマンの広告を例に使ってみました。)

「このペプシの広告のビッグ・アイディアですが、はたして消費者の共感を得られるのか疑問です。」

お前は評論家か?


で、「ビッグ・アイディアという言葉は使用禁止、でも、必ずビッグ・アイディアについて議論すること」というルールを導入します。 最初、みんな四苦八苦するんですが、やがて、こういうふうに語れるようになります。


「このペプシの広告の中にある、『なんとなく疲れてだらっとしているときに、すぐにあらわれて、シュワッと助けてくれる』というアイディアは、ちょっと疲れていたりやる気が出なかったりしたときに飲む炭酸飲料の効果を端的に語っているので、お客さまも『そうそう、そうなんだよねぇ』と感じてくれると、私は思います。」
 

はい、よくできました。 論点がはっきりしましたね。


とは、なかなかいかないかも知れませんが、「専門用語を使って仕事した気になる」病からは少し逃れられると思いますよ。

さらに、上級編のアドバイスは、あなた自身が専門用語を忘れることです、使わないようにすることです。 そして、使った人に、「すいません、わかるように話してください」と言うことですね。


お。

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    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

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    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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