えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

びっくりサラリーマン生活にピリオドを打って(打たれて)はや1年あまり。
大学卒業以来、ひとつの会社しか経験していなかった、しかも、本社が東京じゃ無くて関西、で、外資という、まぁ、とても奇妙な会社でしたから、「日本の社会」に初めて放り込まれたこの1年は、「聞いてはいたけど、そうだったのね!」という驚きがたくさんありました。


とても限られた範囲での経験と観察ですが、今日は、そんな「驚き」を書きなぐってみます。 いつか、しっかり記事にしたい、ネタメモみたいな記事ですが。



1.「仕事での信頼関係=飲みにいく関係」だと思っている人が、こんなにたくさんいるなんて!


そんなの死語だと思っていました。

もちろん、私も仲の良い方とは、クライアント・エージェンシー関係であろうとなかろうと、食事に行ったり、飲みに行ったりしましたし、今でも東京に滞在する日は、おつきあいのある・できた方々と、食事をご一緒させていただいています。 そういう話ではなく、セミナーで「クライアントとの信頼関係を構築しなさい」というポイントを挙げた時に、(ふむふむ、そいつは飲みに行かないと)と思った人が多かった、という驚きです。 そういうのは昭和で終わったんだと思っていました。

そんなもので信頼関係なんてできませんよ。

信頼関係は、仕事の過程と結果から生まれます。

「でも、やっぱり、ときどき飲みにいったりするでしょ?」

いいえ、関係ありません。 仲良しだから飲みに行くんです。


2.コンペばっかりやん。 なにこれ? やめたほうがいいですよ。


前職では、あまりコンペというのに関わりませんでした。 少ない経験ながら、コンペをして良かったと思ったことはほとんどありませんでした。 世の中にはコンペが多い、というのは、聞いてはいましたが、これほどとは、、、。 しかも、なんですか、10社以上とかいう、バカげたコンペもあるんですね。 その時間と費用だけで、プロジェクトひとつかふたつ、できますやん。

もう少し状況を知ってから言うべきことなんでしょうが、

「コンペなんて、99害あって1利くらいしかないですよ、やめましょう。」

(少なくとも、目的と頻度は考えなおすべきだと思います。)


3.丸投げ? クライアントはもう少し仕事したほうがいいですよ。


「マーケティング部」とかいう名刺持ってる人が、戦略も立てずに、オリエンとか称して代理店さんたくさん呼びつけて、製品のスペック自慢だけやって、「あとは、よろしく」。 しかも、多いんですね、そういうの。 あの人たちは、普段仕事で何をやっているのでしょうか? とても興味があります。 仕分けてあげたくなりますね。

You get what you deserve to get.」という言葉があります。 訳しにくいんですが、「あなたはあなたの身の丈に合ったものしか得ることはできない」みたいな感じでしょうか。

「もうひとついいアイディアが出てこない」と代理店に文句を言っている方、その原因はあなたの「丸投げ」です。


4.会議でモノを決めてはいけない???


これは、大企業でしかみかけたことがないので、私のような弱小コンサルには大した問題ではないのですが、あまりに驚いたので。

前職では、会議というのは結論を出すところ・決定を伝えるところ、でした。

そんな私がとある超大企業の会議に出る機会があり、まさにカルチャーショック。 みなさん、一番偉い方のスピーチを聞いているだけ。 まとめもしなきゃ結論も出さない。 最初は出来ないのかと思ったのですが、どうやら、「会議で結論を出すのは、適切ではない」し、偉い人が言う言葉は「察するべき」であって、「こうですね?」とか「そうは思いません」とか言っちゃいけないんですね。 すっげぇ!

あまりに苛立った私は、「はいはい、では次回の会議までに、私はこれをやっておきますから、あなたはこれ、あなたはこれをやってください」って、まとめちゃったら、全員「どん引き」。 完全な静寂。 担当者さんなんか、泡吹いてました。 (もちろん、その後、私が呼ばれることはなく、、、。) でも、おもしろかったぁ。 植木等気分。


5.みなさん、優しいし、話が早い


これは、米系大手外資の弊害なのかも知れませんが、前職では、みなさん常に「戦闘モード」で会話しますし、その割に決定に関しては妙に民主的で、スピードがやったら遅い。

もちろん緊迫したやり取りや、熱い議論はあるんですよ、でも、ケンカ腰なやりとりは少ないですね。 あ、それと、経験の少ない若い人たちがぎゃぁぎゃぁ議論し合うということがないのも一因ですか。 それはそれで、いいところがあるんですが、「うるさい、黙れ」と思うこともしばしばでした。

議論のための議論が少なく、「わかりました、じゃぁこうしたらいいんじゃないの?」という解決策の話が早い。 「じゃ、やってみようか」みたいな。 「コピー書けばいいんでしょ? あとはそれから考えたら?」って、、、、。 すごい。

あるいは、あれは、相手も米系外資代理店だったから、かも、、、。 あ、絶対そうだ、、、。


6.みなさん、よく勉強してらっしゃる、、、、んですが


「必要な知識は会社・上司が教えてくれる」 vs 「自分で本屋に行って探す」。

前職は、マーケティングの学校とあだ名され(揶揄され)ている会社でしたからね。 しかも、そこで教える立場でしたから。

とても多くの方が、マーケティングについての本を、専門書・教科書的なものから実用書まで、しっかり読んでらっしゃいます。 私は生まれてこのかたマーケティングの本を読んだことがないので、会話がかみ合わなくて、、、 すいません。 それでコンサルなんてやってるの?という、疑問がみなさんの顔に貼りついています。

(でも、マーケティングなんて、本を読んでも何もわかりませんよぉ~~。)


7.「マーケティング」という言葉は嫌われている


中堅企業の経営者、特にオーナー会社の方にたくさんお会いして、最大のショックはこれだったかも知れません。 画面左のプロフィールのところにも書きましたが。 「マーケティング=金かけてTV広告たれ流すもの」という印象を強く持たれている方もあれば、「マーケティング=リサーチして理屈こねて金使うばっかりで、モノを売らない」と断言される方も。 大いなる誤解、ですが、真理を突いているとも。 そもそも「マーケティング」とは何をするものなのか、の、ちゃんとした答えを誰も持っていない。 おかげで私も随分と、ない頭をひねって、自分なりの定義を考えたりする、いい機会に恵まれました。 どんな定義? それはまた今度。

あと、とても多くの会社で「マーケティング部」は、マーケティングをするところではなかったりするんですね。 広告は社長の道楽、みたいな文化も、まだ生き残ってますし。

すくなくとも、私のクライアントには、「マーケティングという言葉は嫌いだ」と言われないように、がんばらなくては。


まだまだあるんですが、今日はこの「7つの驚き」でおしまいにしておきます。


お。

コメントはFacebookアカウントでも受付けています。

私はハーゲンダッツが大好きです。

甘いものはあまり食べませんが、そういう意味ではなく、ブランド・マーケティングの教科書として、大好きです。

今まで、頻繁に「成功例」として、あるいは「ブランドを育てるとは」みたいなお話しをするときに、使わせていただいてきました。


しかし、それも過去形になってしまうかもです。 悲しいことですが。


そして、「ブランドはこうやってダメになっていく」ケース・スタディーとして有名になるかも知れません。 悲しいことですが。
ここ数年とこれからの数年は、あれよあれよとブランドが崩壊していく5年間として記憶される、そんな気がしてなりません。

誹謗中傷のためにこの記事を書いているのではなく、本当に好きなブランドが、なんとか、立ち直ってほしいから書いています。


「何のことやら?」という方のために、最近の広告を2本ほどご紹介しておきましょう。

 
かつて90年代にブランドを確立したころの広告は、例えばこちら。
 


おそらくビジネスが停滞しているか下がっているのでしょうね。 真の原因がわからないままに、せめて短期的な売り上げだけでもなんとかしようと、よかれと思って、やっているのでしょう。

私も会社にいたころ、同じような状況をさんざん経験しました。 同じ「ニオイ」がします。

若い新しいユーザーが入ってこない、古くからのユーザーの中で存在感が下がっている。 調査をすると「古臭い」とか、「なんとなく新鮮さがない」とか言われてしまう。 じゃぁ、新しい商品だ、新しい広告だ、新しいイメージだ、ということになる。 あれもこれもやってしまう。

そんな状況ですね。


こういうのを「えとじやマーケティング用語」で「イメチェン」といいます。 「変わりたいのはわかるんだけど、それはちょっと、、、、痛い、、なぁ」ってやつ。


私の苦い経験から「予測」すると、こうして「あたふた」すると、12年後に売り上げはガタ落ち。 真っ青です。 せっかくの努力もむなしく、「新しい」というイメージは全く構築されず、「特にイメージはない」というイメージが出来上がる。 (さらに新しさを求めて、大きなコンペとかやってしまって、ますます泥沼、の可能性も。)

 


では、どうすればいいのか? 残念ながら「これをすればいいんですよ」という解答を持ち合わせていませんが、少なくとも、「鉄則」はあります。


「ブランドの基本に立ち返る」 


誰のため、何のため、なぜ、ブランドが存在しているのか、に、立ち戻ることです。 時代やマーケットが変わってしまっても、変えてはならない基本要素を絞り込み、そして、それを愚直に実行する。 古臭いといわれても、基本を変えない。

「古臭い」を「新しい」に変えることはできませんが、「古臭い」を、例えば、「さすが王道」に転換することはできます。

「同じ味でつまらない」を「いつも新しい味の発見があって楽しい」に変えることは困難ですが、「やっぱり最後はここに戻るね」に転換することはできます。


「ハーゲンダッツ = 食べるという行為のすべてが、オトナが耽溺する儀式」

おそらくこれ自体に古いも新しいもないと思うんですがね。


愚直にコツコツとブランドを作る、のはサントリーさんの得意技のはず。 一日も早く、あるべき姿に戻ることを心の底から期待しています。

「悲しいケーススタディー」ではなく、「正しいケーススタディー」であってください。


お。

コメントはFacebookアカウントでも受付けています。

    ブログ新着情報を facebook twitter で受け取る
  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

  • えとじや番頭

    えとじや番頭。消費者リサーチ歴18年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

  • えとじや店員

    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

  • えとじやお針子

    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

Facebook えとじや
記事検索
Twitter えとじや
  • ライブドアブログ