えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

先日「ネタをください」という、大変身勝手なお願い記事を書きましたが、ありがたいもので、早速いくつか反応をいただきました。 ありがとうございました。

今日は、その中のひとつ、poさんのを取り上げます。



「いいよねぇ、あのコマーシャル、結構好き。」

「あ、わたしも。 じんとくるよね。 でも、どこの会社のだっけ?」

「え? え~~っと、覚えてない。 どっかの保険屋さんじゃなかったっけ?」


よく耳にする、あるいは、自分でもやってしまう会話ですね。

例えば、小田和正の優しい歌に合わせて、家族(特に子供たち)の幸せそうな写真がスライドショーのように現れては消えていくコマーシャル。

さて、どこの保険会社でしょう?

知るか!


今日お話しするのは、みなさんここのところ、TV・民放を見ている限り、いろんなシリーズを散々見たんじゃないでしょうか? 「ねことアヒルが力を合わせる」やつです。

とても好きな広告です。

もちろん、あの歌。 いいですねぇ、かわいくて。

微妙なリアリティを醸している「ねこ」もいいし。

好きなところを挙げていくと、結構きりがない感じです。


その中から特筆すべきものを挙げるとすれば、限られた広告スペースの中で、多くのことをバランスよく伝えていること(放映量の多さでカバーしている部分はありますが)、そして、差別化や突出したことをやりにくい保険の世界で、ほぼ唯一「ブランド」を築きつつあること、の二つでしょうか。


今のご時世、広告コミュニケーションにはたくさんの役割が課せられます。 評判になりさえすればいい、とか、認知だけ上がればいい、とか、イメージアップでいいよ、とか、もう過去の話です。 不況の中、しかもだんだんメディアとしてのパワーが落ち続けるTVに、大金を投入しているわけですから、当たり前です。

ひとつの広告はひとつのことを伝えるのが一番。

なんてことは、そろそろ「古いクリエーター」の昔話?

それはわかりませんが、ともかく「一度にたくさん伝えろ」といわれても、簡単なことではありません。 それは事実。


「Aflac まねきねこダック」シリーズは、TVという「感覚のメディア」では伝えることが非常に難しい、先進医療に対応する保険の新商品の概略を、少なくとも印象付けることに成功しています。  それを決して暗くない表現で、しかも(ぎりぎり)ふざけていない形で、歌に乗せて。 あっぱれ1。


そして、「保険について考える・考えなおすきっかけになる人生のイベント」を題材にしていくことで、見ているものに「気づき」を与えることにも成功しています。 あっぱれ2。


それは結果として、「保険とは万一に備えるもの」という位置づけから、「保険とは人生を祝福するもの」という位置づけに押し上げることにも寄与しています。 保険の広告といえば、「急に死んだり病気になったりするかもよ」という「脅し」の広告ばかり(小田さんの歌のやつも、結局脅しです)なのに、あきらかにこのシリーズは「祝福」しています。 (じゃなきゃ、クリスマスバージョンやお正月バージョンなんて作りませんわな。) あっぱれ3。


少し前、展開していた、がんとの闘いを経験した人たちの体験談シリーズで、それまでの「なんでそこでアヒル? ふざけてるの?」というイメージを払しょくすることには成功しましたし、確かに他の保険会社との差別化はできていたかも知れませんが、結局「脅し」の範疇をでることはできなかった。 それを「保険とは人生を祝福するもの」という「とらえなおし」に成功したため、Aflacは、日本の他の保険会社が横並びで「あたりさわりのない、具体的に何もわからない・印象に残らない、あるいは、印象には残るけど公共広告みたい」なコミュニケーションを続ける中、唯一の「ブランド」になれたわけです。 あっぱれ4。


Aflacさん、がんばってください、この後、ぶれてしまわないように。

日本の大手保険会社のみなさん、いつまでもさえないことやってると、置いてかれますよ。


と、どれほど理屈をこねてみても、結局のところは、あの、歌、ですね、あれは困ります、脳内エンドレス再生がとめられなくなるし。


お。

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お久しぶりでございます。 なんと前回のアップから3週間もあいてしまっていました。 年末年始、遊んでいたのか? はい、もちろんそれもございますが、実は大変にしつこい風邪をひいてしまいまして、何度もぶりかえし、12月は3週間ほど寝たり起きたりだったんですよ。 インフルエンザではありませんでしたが。


 


ともかく、本年もよろしくお願いいたします。 ぜひ、今まで同様、「ひまつぶし」としてご愛顧のほどお願いいたします。

 


2010年、新たな年の最初の記事、とか、考えるとプレッシャーなので、あんまり深く考えず、最近流れている広告で大好きなのを取り上げてみます。 大量に流れているので(関西だけじゃないですよね?)、みなさん御存知かと思いますが、一応。
 

Google
かな、とか思ってました? 違います。 (まぁ、あれも嫌いじゃないですよ。 すごくいいアイディアなんですがねぇ、ちょっと「考えさせ過ぎ」で見てて疲れます。)

もっと、ぼけ~~っと見てて楽しい、Glico歴史的名品「プッチンプリン」のTVCMです。

いい広告です。

これにタイトルを付けるとしたら?と、YouTubeを見てみたら、やはり「プッチン大統領」という名前をつけてらっしゃいますね、何人かの方が。 そうですよね。 それが、この広告の良さを物語っています。

 


(しかし、またしても英語に訳しにくい題材を選んでしまいました。 英語の練習に、と、始めた英語版ブログですが、これ、きっと「プッチンプリンとは何か」とか「プッチン・プッツン・切れる」も解説しないといけないんでしょうね、英語版では。 やれやれ。)


この広告には、いくつかの優れた点があります。 ちょっと理屈っぽいかも知れませんが、整理してみます。

 


まず、なんといっても、その製品のすごさ、そして、戦略的にも、そのすごさにちゃんと焦点を当てていること。

すごさ、それはすなわち、「プッチン」とやると、皿にぽてっと出てくる、あの楽しさです。 あれには、人を幸せにする力があります。

Glicoが、おそらく世界に、そして歴史に誇っていい大発明です。 (ホントにそう思ってますよ、ちなみに。 決してちゃかしているわけではありません。) 

「駄菓子」(あえて、そう定義します)が持つべきもの、楽しい・おもしろい(&甘い)、を完全な形で体現している製品。

それを真正面からとらえ、広告の中心に据えている。 それがひとつ目のポイントですね。

 


そして、次のポイントは、その戦略をとてもうまくアイディア化していることです。

アイディアの構造そのものは、わりと単純なもので、「プッチン」とやることで雰囲気や流れが変化する、その変化の落差を表現の基軸にすることで「プッチンの力」を大きく見せる、というやり方です。

しいて説明するとすれば、「プッチンプリンのプッチンは、プッチン(ぷっつん)切れている人さえ瞬時に幸せな気持ちにしてしまう楽しさです」ということでしょうね。

そんなバカな、と思いながらも、あの快感・幸せを知っている人には「でも、そうなんだよねぇ、あれって」と思わせる、そういう力があります。

 


具体的表現も、なかなか良くできていますね。 あの「大統領」、きっと南米の(あの)大統領あたりをイメージしているんでしょう、誰もが持っている共通の幻想としての「事実」に基づいて作られていて、素直に笑えます。 表情やしぐさ、作り、フィルムの感じも素敵です。

しかも、以前、最初のころに記事にしましたが、「食べ物はおいしそうだから買うという当たり前」を、ちゃんとはずしていないところも、プロの仕事だなぁ、と思います。

 


ただ、大好きなだけに、「惜しい!」のは、あの瞬間、まさにカップの裏側を「プッチン」とやる瞬間が描かれていないんですよ。

賛否あると思います。 それは言わずもがなでしょう、とか、それ見せちゃったら「当たり前」過ぎ、とか、「つまらない予定調和だ」というつまらない意見も聞こえてきそうですね。

でも、私は見たい。

歴史的発明。 一回に一度しか味わえないあの快感。 あのために買うんですよ、プッチンプリンは。 たとえ、結局カップから直接食べることになってしまっても、買うときはあの瞬間を思い浮かべて買うんです。 その快感のために世の中に存在しているブランドなんです。

だから、私はその瞬間を見たい。

 


それを差し引いても、好きですけどね、かなり。

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋28年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

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    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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