えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

あまりに予想通りのお粗末な展開に、腹も立たなくなってしまっていますが、そういえばこの会社、大事な、つぶすわけにいかない会社だからということで、国を挙げて倒産の危機から救うことにした会社じゃなかったでしたっけ? 国を挙げて、ということは、国民の税金でということだと思いますし、そこら中の金貸しども(私たちの預金を運用しているひとたち)が債権放棄とかしてませんでしたっけ? そういえば、「さらに資金援助しないとつぶれるよ」という官僚の内部文書が(わざと)リークされてニュースになってましたっけ。


 
(「お。さんのブログは、いけてない広告見つけては、難癖付けるブログですよね」と、先日、誰かに見事に言い当てられてしまいました、そういえば。 そんなことはないんですけどね。 ただ、残念だなぁと思う広告を見つけると黙っていられない性質でして。 しかし、それにしても、これはひどい、と思います。)

うまくいっている会社が、ひま(金)つぶしに自社をほめたたえる企業広告を作って自己満足に浸っているのなら許せます。

もうけ過ぎてる会社が、うしろめたさを隠すために社会貢献的なアピールをするために広告という手法を使うのも、まぁ、許しましょう。

いけいけの会社が、他社にできないような大きな活動にチャレンジしていくために少し時代を先取りする意味で実験的な広告をやってみるのもいいことだと思います。

末端組織の社員たちや関係企業の人たちのモラル向上のために公共の電波を使うのも、その内容に一般の人が共感できるアイディアがあれば、そうした広告も手法としては認めてもいいと思います。

しかし、JALさんは、そんなことしてる場合じゃないでしょ。

しかも、その中味がこれじゃぁね。

「感謝を行動に。 
JALの決意です。」のコピーに「私たちこんなにがんばっています的な映像のコラージュ」の30秒。 (歌は「やっぱり」嵐!・・・。)

すれば? で、どうしたいの? 何が良くなるの? 何が私にとっていいの? どうして(
ANAじゃなくて)JALにしなきゃいけないの? 何か世の中にいいことがあるの? 何か反省したの? 見る限り、感謝もしてなさそうだし、行動ったって、全部あなたの仕事でしょ、それを見せることに何の意味があるの?

広告としての体を成していません。
反感を買うために作った広告だとすれば、完ぺきですね。 厚顔無恥って、こういうのを言います。

ちなみに、こういう広告、TVで流すだけで毎月数億の金が使われているはずです。 制作費だって数千万円するんだと思いますよ。 (もっとぼったくっていても驚きませんが。) 放映量はわかりませんが、例えば3カ月流すとすると、TVだけで約5~10億円の出費で~す。 (そうか、負債額に比べれば小銭か・・・。)

JALの再建って、どうすんだろうね?」

「さぁ、わかんないけど、間違いないのは、どうせDさんあたりが入って」

「くだらない企業広告作ってTVで流す?」

「だろうね。 くだらないね。」

「くだらないね。」

という会話が交わされたのは、きっと私の周りだけではないと思います。

そして、やっぱりそうなりましたね。

そろそろ、そういうの、やめにしませんか?

お。

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火神今日、宣伝会議さんのセミナーの講師をしてきました。

「コストマネージメントセミナー」の、一部、午前中の部分を担当したのですが、どこの業界もコストに対する意識が高まっているのでしょう、かなりの人気で、様々な業種の広告主の方を中心に50名近い方が集まりました。


しかし、なぜ、岡本がコストの話をするの???


前職時の私を知るほぼすべての方が、大きく首をかしげていることでしょう。 実際、このセミナーの案内は神戸の会社にも届いたらしく、誰もが「ありえない」と言っていたようです。

私が入ると、コストは上がることはあっても、下がることはない。

みな、そう思っているはず。 実際、そうでしたね、確かに。


はい、ご期待通り、「コストマネージメントセミナー」のオープニングにも関わらず、「コスト下げることばっかり考えてると、ろくなことないよ。」と。 受講者のみなさんもびっくりされたことでしょう、コストマネージメントセミナーじゃなかったの?って。 (幸い、怒っている人はいらっしゃらなかったようですが。)

「効率」が費用対効果なのであれば、マーケッターやクリエーターの仕事は、まず何をおいても「効果」を高めることであって、それで効率があがることを目指すべきです。 コストをやみくもに下げようとして、世の中に質の悪いコミュニケーションを出してしまうなど愚の骨頂です。 そんなやつはマーケッターの風上にも置けません。

マーケティングにおいて、効率とは、単発の施策の値段と反響だけではなく、強いアイディアによる波及効果と、ブランドエクイティーの積み上げによる累積効果も、効率の重要な要素ですから、マーケッターがやるべきことは他にたくさんあるわけです。


とはいえ、「正論」だけはいていると、みなさんがっかりされるので、制作上で投資すべきポイント、削減できるポイントを選ぶヒント、「サルでも読める見積書を作らせる」なども教えましたよ、ちゃんと。 私だって、やればできるんです。 少なくとも、しゃべることはできる!


その中で、ひとつみなさんにご提案したのは、「コンペなんてやめてしまえ!」。

誰もがコストを下げるために最も効果的だと信じているコンペを、コストマネージメントセミナーの講師が「やめてしまえ」なんて・・・。

コンペにも効用はあります。 アイディアを競うコンペなら、(私は大嫌いですが)、良いこともあるのかも知れません。

が、コストに関して言えば、大きく下がるのは1回だけ。

継続的に効率を上げたければ、コンペに費やしている膨大な時間とお金を、もっと有効に使ったらどうですか、という提案です。


例えば、代理店や制作会社、印刷会社のみなさんに、会社やブランドや、お客様のことをもっと深く知ってもらえるような機会を設ける。 その結果、制作の回を重ねるほどに、お客様の心に響く、ブランドのイメージを構築できるコミュニケーションができていくはずです。 効果と効率が上がります。


例えば、特定のパートナーと中長期的にお付き合いすることで、単発のコンペではできない、構造的なコスト削減のチャンスを、一緒になって見つける。 あるいは、投資と時間を要するコスト削減の計画を後押しする。 結果、大きなコスト削減につながるはずです。


それにしても、なんでもかんでもコンペ、という文化、どうにかならないものでしょうかね。 そこにこそ、ものすごい無駄があると思いますよ。

そもそも、コスト削減目的のコンペばっかりやっていると、誰も(まともな人は)寄りつかなくなります。 さみしいですよ、そうなると。


お。

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    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

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    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

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    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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