えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

今年の「消費者のためになった広告」賞が決まったようです。

そもそも、そんなものがあったのかと思ってらっしゃる方も多いかと思いますが、実はすでに49回なんですね。

今回は、Panasonicナノイーの新聞広告、東洋エクステリア サポートレール(手すり)の雑誌広告、そして東芝の企業広告(TV)の3つが「経済産業大臣賞」、まぁ、グランプリですね、を受賞したそうです。 前のふたつは、ネット上で情報が見つけられなかったんですが、東芝の電球のCMはYouTubeにありましたので、載っけておきます。


なかなか人気のあるTVCMのようですよ。 「へ~、そうなんだ。 へ~、そうするんだ。」と見てしまいます。

この広告を見て、あわてて家中の白熱灯の形を確かめてリストにして、白熱灯を大量に買いだめしてしまった私は、いかに蛍光灯が嫌いだとは言え、ちょっと問題のある反エコな人間ですね。 すいません。 でも、私に行動を起こさせた、そして、「この在庫が切れたらLEDにしよう」と思わせたという意味では、いい広告ですね、はい。 言い訳。

 

で、何が「複雑な思い・疑問」なのか? それが、いろいろあるんですよ。

 

そもそも「消費者のためになった」って、いうのが「?」。 ということは、世の中には消費者のためにならない広告があふれているということですかね。 あ、そうじゃない、と。 「もっともためになった」のを選んでるんですよね。 すいません、変なところにからんでしまいました。 あ、しかも、世の中には消費者に向けているわけではない広告もたくさんある、と。 そうですね、株主対策、リクルート対策、流通向け、社内向けなど、いろいろありますね。 しかし、「ためになった」って、なんか、ちょっと上から目線ですよね。 それは揚げ足取りだと、はい、すいません。

 

実際の話、メーカーのマーケティング・広告の仕事をしていたころ、 この広告賞をいただくのはとてもうれしかったんですよ。 消費財メーカーでしたから、やはり広告を流すことで売り上げが上がるのはうれしいし、ユーザーさんなどから「いい広告です」とか「ブランドが好きになりました」とかいう声をいただくと、疲れがいっぺんに吹き飛んだものです。 さらにそれがお客様の「ためになった」と選ばれて賞をいただけるのは、とても名誉なことですから。 きっとたくさんのお客様のアンケート調査などで選ばれたのだろうから、最高のごほうびです。

 

え? そういう風に選んでない、そうなんですか?

と、今回の選考メンバーを見てみると・・・。 本審査の審査員は大学の先生や消費者団体の代表など。 そうなんでしょうね、まぁまぁ納得。 12名中6名は女性のようです。 ちゃんと考えてる感じがします。

で、この人たちが月に1000作は新作が生まれていると言われるTVCMに加え、新聞・雑誌・ラジオ・Web広告に目を通す、わけはないですね。 モニター会社が選んだものと応募があったものから選ぶ、と。 なるほど、そして予備選考があって・・・。

と、予備選考のメンバーを見てみると、20名中7名が大学生・大学院生、4名が大学講師など、半分以上大学関係者じゃん。 なにそれ・・・。 3500作品ほどの応募作品をこの人たちが600弱まで絞るわけですね。 へ~~~~~、なんだそりゃ。

 

「複雑な思い」といえば、どういうわけか、この広告賞、いただくと広告主はとても喜ぶのに、クリエーターの方はなぜか「苦笑」されるんですよね。 全員というわけではありません。 とても喜んでいる方もいらっしゃいます、もちろん。

でも、何となく「苦笑」なんですね、広告業界では。
邪推かも知れませんが、「消費者と広告主のためにはなったかも知れないけど、クリエ-ティヴとしてはもうひとつためにならない広告賞」という印象です。。

選考のプロセスに疑問を感じているから、かなぁ。 確かに、通常の広告賞と違って、広告業界・クリエ-ティヴ系の方は審査員にいらっしゃらないようですが。

 

「作品としての芸術的な価値を評価しているわけではないから」? そもそも広告は芸術じゃないんですけどね、第一義的には。

そこまでいかなくても、「広告表現の新しさ・斬新さを評価されているわけではないから」? その気持ちは理解できます、なんとなく。

「なんとなく、ださい印象があるから」? あ、それ、わかります。 なぜですかね?

と、受賞作品をず~~っと見てみると、なるほど、表現が古くさかったり、そして何より、うまくいえないんですが、どうも「啓蒙的・お説教的」な作品や、「おせっかい」風なモノ、「私って世の中のためにがんばってるでしょ」みたいな自画自賛広告が多いように思います。 このせいかなぁ。 (確かに常連Panasonicさんは、相も変わらずPanasonic啓蒙節です。)

 

今度、誰かつかまえてじっくり聞いてみよ。

 

お。

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日常生活の中に宗教を持たないことが多い日本人にとって、原理・原則に従って生き方を決めたり、行動や選択の基準にしたりとかいうのは、少し苦手なんじゃないかと思います。 ルールを決めてそれに従うのは得意だし、前後の文脈・状況で判断を変えるのも素早いですが。 まぁ、かくいう私も、のっほほ~~~んと生きてますし。

(と、およそマーケティングとは関係のなさげな出だしになってしまいましたが、もうしばらくおつきあいください。)


さて、ある日、あなたはコーヒーを買いにスーパーに行きました。

ついでに、切れていたコーヒー用の砂糖を買うことにしました。

ここで問題。

コーヒー用の砂糖はどこに置いてあるでしょう?

(あなたが、買い物慣れしていて、その店のことをよく知っていたら迷わないでしょうが。)


答え: 味噌・塩のとなりに置いてあります、たいていの場合。 (と、うそを書いてはいけないと思い、昨日、家の周りにある大手スーパー5軒まわってきましたが、例外なく、すべてそうでした。)

コーヒー豆や紅茶、ココアなどが売っているところにはないことが多いのです。売り場

紙おむつは生理用品とペーパータオルとティッシュのコーナーにあって、ベビーフードは缶詰のコーナーにあります。
あなたが、もし、「よお~し、今日は気合い入れておいしいパスタを作るぞ!」などと思い立って買い物に行くと、インスタントラーメンの隣で麺をつかんで、鯖の味噌煮の隣からアンチョビとオリーブを取って、ごま油と並んでいるオリーブオイルを選んで、日高昆布の横に置かれたトウガラシをかごに入れ・・・。 もちろんニンニクは野菜売り場です。 あ、料理用のワインを買わなきゃ! と、料理酒とみりんの間をどれほど探しても、ありません。 おそるおそる店員に聞くと、「あ、お酒のコーナーですよ(あたりまえじゃないですか)。」と言われます。 え? さっきビール買いに行ってたのに・・・。 小振りの店でも数百メートル歩かされます。 郊外型の大きなお店なら、かなり激しい運動になりますよ。


ところで、多くのお店には「社訓」とか「社是」とかいう類のものがあって、裏の事務所の壁、
Faxの上あたりか、配電盤の横あたりに貼り付けてあります。 曰く「当店はお客様本位の経営に努めます。 お客様にとって、楽しく便利にお買い物をしていただけるよう心を尽くします。」とか。

そして、今日もお客様は店内でいい運動をさせられているのです。


どうしてそうなっているのか? それは、お店や問屋さんにとって在庫の管理がしやすいからです。 店の担当は売り場ごとに決まっていて、コーヒー売り場の担当者と調味料(砂糖)売り場の担当者が同じとは限らないのです。

つまり、全く「お客様本位」ではないわけですね。 売り場と在庫の管理という、売り手本位の店作りなわけです。

社是に書いてあるのなら、それを原則として、ちゃんと行動に反映させなければ意味がない。 あるいは、逆に「売り場と在庫の徹底管理と効率化によって、1円でも安く提供する」とか、「利益向上を最優先にがんばる」と書くべきです。


さてさて、すっかり説教臭くなってしまいましたね。

多くの企業・会社・お店には、社是や社訓、行動規範があり、また、創業者の教えみたいのがあったりします。 そして、ブランド・マーケティングの世界には、ブランド・エクイティーとか、フィロソフィーとか、ストーリーとかがあります。

一貫したブランドイメージを構築しつつ、成功を収めているブランドの多くは、驚くほど忠実にこれらの原則に則した行動=マーケティングをとっています。 ルイ・ヴィトンは、いついかなる時もルイ・ヴィトンらしさを失わない、けど、いつもファッショナブルです。 ハーゲンダッツは、いつでも「オトナが溺れるアイスクリーム」であり続け、でも、楽しい季節限定の味も味わえます。


しかし、冒頭のお店の話と同じように、ブランド・フィロソフィーは壁に貼られて日焼けしているだけで、使われていないことも多いのです。 世の中の情勢、競合の状況が厳しいから、(いつか、ひまなときにはやってみるけど)今はそんなことは言ってられない、と担当者が考えていることもあります。 あるいは、お客さんのいいなりになって、あっち行ったりこっち行ったり。

そのくせ、多くの食品雑貨小売店チェーンと同じように、みんな「これじゃぁ、どこも同じだ」と悩んでいます。

社是や社訓、創業者の言葉、ブランドのエクイティー、フィロソフィー、歴史などには、時代が変わっても必ず守るべき教訓やら原則やらが、必ず書いてあります。 あるいは、書いてなくても、その裏に必ずそうしたものが潜んでいます。

たまには、壁から外して、ホコリを払ってあげましょう。

 生き方だけでなく、マーケティングや経営も、「原理・原則に従って行動を決める」というやり方に少しこだわってみてはいかがですか。

え? スーパーで買い物がうまくなるこつ、ですか?
どこの問屋さん・業界から仕入れているか考えると、すぐ見つかるようになりますよ。 紙製品は紙問屋、乾物は乾物問屋、食用油は油問屋・・・。
やれやれ・・・。


お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋28年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

  • えとじや番頭

    えとじや番頭。消費者リサーチ歴15年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

  • えとじやお針子

    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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