えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

それは例えば、今夜、私が巨人ファンであることの幸せを再確認したように。
あるいは、そもそもどうしてブライトとアムロはあれほど長くパートナーとしてやっていけたのか。

わけのわからない出だしになってしまいました。
実はこのひとつ前の記事、NIKEのダルビッシュ応援ボールのお話で、「XXモーメント」をつかむとお客さんのこころをつかめる、というのを書いたのですが、ふくまりさん(友人)からそれに対するコメントをいただいて、ちょっと(急に)気付いたものですから、追加の記事を書くことにしました。ダル3

どうして「モーメント」をつかむと、お客さんのこころをつかめるのか?
それは、「モーメント」、つまりその瞬間・状況を共有すると、いきなりいろんな手続きを飛び越して、友達に(あるいは恋人に)なってしまうから、なんじゃないでしょうか。
その商品やサービスが(お金のひきかえに)何をもたらしてくれるのか、便益とかBenefitとかいいますが、それを飛び越える「絆」ができてしまうチャンスが生まれるということなんじゃないか、と思ったわけです。
ふくまりさんがコメント欄に書いた言葉を借りれば「同じ釜の飯」を食った仲。

ご自分の友人や恋人・配偶者との関係を思い浮かべてみてください。
どうして、その関係を持つに至り、それを持続しているんでしょうか? 彼・彼女が、あなたの友情・愛情の見返りに何かをくれるから、「あぁ、この関係は得だね」と思ったからでしょうか?
(ここで、「はい」と言われると先に進めないので、言わないでね。)
おそらく、何かの状況、楽しいことや苦しいこと、悔しいことを共有した、そういう瞬間・状況があったからじゃないでしょうか。 (じゃなきゃ、アムロはブライトを必要とするわけがない、、、。 ブライトさんは好きですけど、私は。)

さて、マーケティングの世界では(少なくとも私が勤めていた会社では)、たとえば「その商品・サービスの便益を強く欲したり意識したりする文脈でメッセージを受け取ると、メッセージ受容性が飛躍的に高まる」と言われています。
難しい言葉ですねぇ。
誤解を恐れずに、わかりやすく言うと、激しいスポーツの後で飲み物が欲しいときに特定の飲料ブランドの広告を見るとそれが飲みたくなる、ということです、たとえば。
多くの企業が、一生懸命これをやろうと知恵をしぼっています。
TVのコマーシャルはみんながお腹がすいたときに流したほうがいいんじゃないか。 もしかすると、通勤電車のほうが、雑誌より効果が高いんじゃないか。 などなど。 わかりますけど、、、、。
実は、私はかねてからこの考え方に大きな疑問を持っていました。 頭ではわかるんですが、なんとなく、感覚的に「おかしいぞ」という程度の疑問。
だって、そのマーケティングの理論通りに考えると(極論とわかりつつ)、「溺れかけてるときに、溺れている人や周りにいる人に浮き輪を売ると高く売れる」ってことでしょ?
少なくとも私は、そのブランド(商品・サービス)、そのときにはやむにやまれず買ったとしても、次は買いません。 心に「いやなやつ」という印象が強く残るからです。

どうも「便益にたいする受容性が高まる」というのが、間違いの元じゃないでしょうか。
「便益(何をしてくれるか)」ではなく、その商品・サービスの「人格=ブランド(どんな人か)」が問われる、ということなのでは?
だとすると、冒頭の、友人・恋人と「モーメント」の関係としっくりきます。

「あいつ(ブランド)、いいやつじゃん、だってあのとき一緒にいたもん。 だから、友達だよ、何ができるのか、よくわかんないけど。」

もしかしたら「モーメント」をつかむと、お客さんのこころをつかめる、というのは、そういうことなのかなぁ、と。

さて、あさっては敵地札幌です、気を引き締めていきましょう。

お。

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ダル1「ついこの間まで、6カ月先の仕事をするのが当たり前、9カ月先の仕事をすると褒められてたもんですよね。」
とは、先日、ランチをご一緒していただいた際に、元の同僚T裏さんが言ったひとこと。 私とほぼ同時期に退職した、いわば同期退職のT裏さんは、すでに新しい会社で6カ月。 ひたすらのんびり専業主夫をしていた私とは違って、すでにがんがんお仕事されているようですから、もう少し聞いてみましょう。
「日ハムが日本シリーズに出る、ダルビッシュは故障で日本シリーズに出られないかもしれない、じゃぁ、応援しよう、ということになって、何かやれ、と。 でも、1週間ですよ、1週間で企画から実現まで。」
なるほど、そういうことですか、それは大変です。

結局NIKEは、直径1.8mのボールを作って、トラックに乗せて、東京から札幌まで運んで、そのボールにファンのメッセージを書き込んでもらって、札幌ドームに持っていこう、ということになったそうです。 ダル2(加えて、原宿に建設中の新しいショップの壁にもダルビッシュの写真を展開する、というのもやっているようです。) まだ、シリーズは終わっていませんが、とりあえず応援メッセージボールは無事札幌に到着、応援メッセージをぎっしり乗っけてドーム2戦目、ダルビッシュの先発に間に合ったみたいですね。
そして、応援の甲斐あって、我が巨人軍は敗北を喫してしまいました。 まぁ、明日からは再び快進撃、の予定ですが。

でも、どうして。
(どうしてジャイアンツが負けたのか、ではなく)どうして、そんなに「あわてて」イベントをやらなければならなかったのか。

それは、スポーツが「その瞬間を目撃すること」の興奮を得るためのエンターテイメントだからです。
スポーツ(観戦)の興奮が、最高潮に達するのは、まさにその瞬間であり、それを、できればライブで、少なくとも生中継で見る・聞くことが一番なんです。
そして、その「瞬間」が終わった途端、その「興奮」はものすごいスピードでその鮮度を失っていきます。
その日の夜のスポーツニュースを(たとえ結果がわかっていても)ファンは見ます。 そして、興奮を思い出したり、生で見られなかったことを悔やみながら「すごかったんだろうなぁ」とうれしがります。 鮮度は低くても、まだ興奮を味わうことができる、賞味期限。
興奮がぎりぎり保たれるのは翌朝のスポーツ紙までです。 昨日はすごかったんだよねぇ、と、友人たちと興奮を分かち合う、鮮度は落ちていても、ファンには楽しい時間ですから。 (ゲームの直後、飲み屋で話すのが一番なんですが、まぁ、毎回そうもいきませんし。)
お昼ごはんのころには、もうすっかり賞味期限切れ。
その後、プレーヤーの裏での苦労などがドキュメンタリー風にTVや雑誌で語られることがあったとしても、それは「鮮度ゆえの興奮」とは違った次元のものになってしまいます。

だから、スポーツに関わる商品やサービスをマーケティングするとき、この「瞬間を目撃する興奮」に間に合わないと効果は激減してしまうわけです。
「ダルビッシュは投げられないかもしれない、でも、投げるかもしれない、投げてほしい」
ということになったら、たとえそれがわずか1週間前でも、そこには投資しなければいけないんですね。
そういえば、かつてNIKEは、ワールドシリーズに久しぶりに出場することになったメジャーリーグチームに「おめでとう」という広告を、試合が終わったその日のうちに仕上げて夜のスポーツニュースで流した、ということを聞いたこともあります。

T裏さんに教えてもらったんですが、こういうのを「スポーツモーメント」というんだそうです。 これを逃さないのが、スポーツマーケティングの効果を飛躍的に上げる鉄則なんですね。 かつて私たちが働いていたカテゴリとは、別世界のダイナミクスです。

でも、スポーツほど極端ではないかもしれませんが、それぞれの商品・サービスのカテゴリに、特有の「モーメント」ってあるんでしょうね。 それをつかむことに成功したブランドは、ユーザーの心をつかむことに成功するんじゃないでしょうか。
あなたの商品・サービスの「XXモーメント」、探してみても面白いかもしれませんね。

さて、明日からは東京ドーム。 3連勝で、またもう一度ダルビッシュが出てくる前に、原さんを胴上げしてしまいましょう。

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋28年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや番頭。消費者リサーチ歴15年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

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    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

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    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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