えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

さて、極意の長旅も終盤に入りました。

いよいよブランドについて考えてみます。 今回は、わりとシンプルです。

(そのはずです。 が、少し中上級向きな内容かもしれません。)

 

1回目に、ひとはSenses/Heart/Mind/Soul/Behaviorからできていると捉えると、いろいろ理解しやすいですよ、というお話をしました。 今回のブランドの話はそこと直結します。

なお、2回目は、Senses/Heart/Mind/Soul/Behaviorモデルで捉えて、表面的な理解を超えて、深読みできるようになりましょう3回目は、カテゴリーを売り手都合の市場の分類ではなく、ひと(とモノ)をとりまくと生活領域と捉えるといいですよ、という内容でした。

 

今回は、前回一旦離れたSenses/Heart/Mind/Soul/Behaviorモデル、それでブランドを考えてみようという試みです。 (ここから来られた方、以前の記事を全部読んでいただく必要はありませんが、今回の内容をすんなり理解いただくために、第1回だけ、ざっと目を通していただくことをお勧めします。 もちろん全部読んでもらえるとうれしいです。)

 

極意4中村

~ブランドとはひとである、を考えてみる~

 

多くの方がご存じで、おそらく便利に使っているであろうWHO/WHAT/HOWのフレームワーク、もちろん私も日ごろこれを使って説明したり整理したりしていますし、無茶苦茶シンプルで、誰にでもすぐ理解できちゃうので、ホントに便利なんですが、実を言うと、私、心の奥底では、ここ25年ほど(つまり最初から)、なんかちょっと違うんだよなぁ~って、思ってるんです。

間違っているわけではないんです、もちろん。 ややこしくない、わかりやすい、使いやすい、予備知識とかいらない。 その通りなんですが。 しかも自分でも使ってるし。

でも、もう一方で、「ブランドには人格があるんです!」って言ってて、なのにWHATっておかしいでしょ。 WHO/WHOじゃないとおかしいでしょ。 (細かい? いや、そうなんですけどね。)

そして、とてもとても重要な要素の多くが、HOWだとされてたり、HOWだと誤解されてたりする。 しかもHOWと規定してしまうと、あたかも大切でないもの、あとでなんとかなるものと思われる傾向がある。 少なくとも開発が後回しになりがち。

 

このもやもや、Senses/Heart/Mind/Soul/Behaviorモデルで考えると、私は、(少なくとも私だけは)すっきりするんで、今日はちょっとみなさんに見ていただこうかな、と。 かえってややこしいじゃん、と言われてしまうのを覚悟で。

 

 

ブランドとは単なる機能の集合(だけ)ではない、

ブランドには機能的なベネフィットだけでは終わらない感情的・情緒的な価値がある、

むしろそっちのほうが大事なことが多い、

ブランドにはそれぞれこだわりがある、

ブランドにはそれぞれ特有の信念や価値観がある・なければならない、

ブランドは便利なだけではなく信用する・好きになる・愛する対象になりうる、

ブランドには理屈で説明できない理由で好きになる何かが(たくさん)ある・・・・。

こうしたことを理解するために、じゃぁ「ブランドって人格がある=ひとなんだよね」と考えて、モデルに当てはめて考えてみるわけです。

作業としては、とても単純です。

 

1回で議論したモデルがこちらで:

えとじやフレームワーク顧客

それをそのままブランドに置き換えてみると、こうなるのかな、がこちら:

えとじやフレームワークブランド
 

 それぞれどこに入れるべきか、ちょっと迷うところもなくはないんですが、少なくともブランドを構成する要素のほとんどは、カバーできるんじゃないかと思います。 ので、迷ったら間に書いておくくらいのノリでいいと思ってます。

さらには、製品機能の優位性だとか、今どき情緒的なことって大事だよとか、それはデザインの問題だよね、それって広告のトンマナだよね、とか、戦略的重要度ではなく、個々の役割で分類してしまうことで見失いがちな全体像が捉えられるんじゃないか、と。

特に、物理的なベネフィットや機能こそが最重要と考えてしまいがちなカテゴリーでは、戦略的だとみなされにくい要素を、ちゃんと把握できると思います。

 

一応、ひとつずつ簡単に解説しておきますね。

 

まず、おそらく最もすんなり理解できるはずの、Mindから。

ここには、理屈・論理にまつわるものが類別されます。

代表格が、機能的ベネフィットですね。 また、その他に、製品機能、機能的な役割やしくみ、価格・流通などに関する特徴もひとまずここに入ります。 ただ、多くの製造業の方はここに技術や特許、配合、原料、成分なども入れたくなると思いますが、それはホントにブランドにとって本質的に大切な要素かどうか、考えてから入れてくださいね。 ここでは詳しく論じませんが、大抵は「誰も気にしてないし、重要でない」か「今必要だから使っているけど長期的な要素ではない」ので。 つまり、もしかするとBehavior なのかも知れないということ。 SK-IIにとってもピテラは、間違いなく戦略的なMind要素(でありブランド全体に影響する要素)ですが、ELIXIRにとってのレチノールは、たぶんBehavior です。

 

 

次はHeartを見ましょうか。

こちらは、マーケティング界隈では、エモーショナルベネフィット、とか、感情的便益、情緒的便益、あるいは、ライフベネフィット・生活便益などの様々な名前で呼ばれているものたちが属する分野で、要するにひとはブランドからこういう感情を得ているんだよなぁ、です。

いい父親であることを実感できる、とか、すっきりさわやかな気分にしてくれる、とか、そういうのです。

 

ただ、この辺りからは、分類が難しい、あるいは、少し議論・熟慮が必要になってくるものも登場してきます。

例えば、私は、ブランドの持つ~提供する社会的価値の多くは、ここに入ると思っていますが、モノによっては他の分野に入れるべきかも知れません。

あいまいな言い方ですいません。

ちょっと例を挙げて説明してみると、「環境に配慮した製品設計・機能」だけを考えると、論理的=Mindに入れていいんですが、「環境を考えている、ちゃんとしたひととして見られる」になると、感情=Heartになってきます。 「環境に配慮した設計思想と行動原則(にほれ込んで使う)」みたいなレベルになると、これは価値観=Soulに分類すべき、ということになりますし。

 

 

そして、Senses、感覚・感性と呼ばれる分野。

実は、私自身、日ごろのマーケティング思考・実践の中で、一番強く意識するよう心掛けているのが、この分野です。 そして、ブランドの、マーケティングの戦略を考えるときに、わりと見逃されがちになっていたり、(HOWのひとつだと解釈されて)軽く扱われたり、また、考えることが中心のマーケターだけでは進まない分野、つまりデザインなどの分野の方と協業しないと戦略が見いだせないことがある領域だったりするところです。

ブランドの手触り、肌触り、たたずまい、感覚的魅力、センス、おもしろさやかわいさ、かっこよさに関わるものたち。

ここで注意が必要なのが、ここに入るのは、戦略的・長期的なもので、実際のデザインや広告などの表現要素の多く、トーンなどはBehaviorにすぎない(=HOW)ということでしょうか。

逆の注意点は、デザインはBehavior なんだから、しょっちゅうガラッと変えていいんだ、というのもありますが。

 

多くの方は、Appleの製品は、なんか、こう、かっこいい・素敵だなぁ、手になじむ、絵になるなぁと思ってらっしゃると思います。 (私個人としては、あまりそう思わないんですが、多くのひとがそう感じるのは理解できます。) で、例えば歴代のMaciPhoneをさかのぼっていろいろ見てみると、実はデザインそのものは結構変わってる。 でも、その時代時代に、「なんか、こう、かっこいい・素敵だなぁ、手になじむ、絵になるなぁ」と思われてたんだろうことはわかりますよね。 それです。 それをつかみ取って=言語化して、ここに入れるわけです。

 

ひとつ、ちょっと議論の余地がある要素が、一般に「経験的ベネフィット」と呼ばれているもの、それがここに入るのか、ということですね。

経験的ベネフィットは、様々な要素が包括的に働いていることが多いので、それぞれの要素はMindHeart、場合によってはSoulに属するものだったりする。 そのうちで、主となるモノをどこかできちんと捉えておけば、それでいいんですが、私の経験上、わりとこのSensesに要があることが多い、あるいは、Sensesの領域だと意識してまとめたほうが、うまく戦略として捉えられる、と考えています。

 

 

さて、Soulに行く前に、すでにちょこっと触れたので、Behaviorを考えておきましょうか。

これは至極シンプルでして、人の目に見える、感じることができる、ブランドのふるまいすべて、です。 他の4つの要素が、実質として発現したもの、ということでもあります。

マーケティングコミュニケーションの分野においては、パッケージデザインやパッケージコピー、広告、店頭販促物、などの具体的な表現がこれに属しますし、製品開発マーケティングの分野では、製品パフォーマンス、製品の見た目や手触り、使い心地、使い勝手などがBehaviorになります。 ZMOTFMOTSMOTなどと呼ばれるものたち(広告など・店頭・最初の製品実体験)は、みな、このエリアにおけるお客様との接点で起きる活動と現象・結果、です。

WHO/WHAT/HOWのフレームワークで言うところのHOWですね。

 

留意しておかないといけないのは、「ひとが直接認識したり経験したりできるのは、Behavior だけだ」ということ。 どんなにすばらしい意図や戦略や技術があっても、ひとに感じてもらわなければ、無人島のごみ拾いなわけですから。

(だから、Behavior 要素は、ともかくていねいに、きちんと作る、です、余談ですが。)

 

 

ブランドとはひとである、ブランドには人格がある、というのが、そうだよね~、と納得できるのは、次のSoulのせいなんだろうと思います。

ブランドにはSoulがある、ゆえにブランドはひとである、みたいな。

ここには、ブランドキャラクター(見た目ではなく、ひととなり、という意味)が入ります。 あるいは、ブランドの人格、信念、こだわり、価値観と言い換えてもいいです。

すでにちょうど2年前になりますが、音部さんの京都での講演に寄せていただいたときに、彼が「大義」ということばでひも解いてくれたもの、それがSoulです。 (そのときのつたない要約は、こちらの記事です。

ブランドの戦略を考えるうえで、おそらく最重要の要素です。

(でも、きちんと捉えて正しく言語化するのが難しいから、後回しにされてしまったり、あいまいなまま放っておかれたり、せっかく決めたのにちゃんと使われてなかったりするんですけどね・・・悲しいわ。)

 

 

さて、すでにブランドアイデンティティやブランドエクイティなど、ブランドの戦略的要素をまとめたものをお持ちの方にとっては、すいすい埋まっていく作業だと思います。 (すいすい埋まらないとすれば、何か問題があるはず。)

 

 

そういうのない、または、すいすい埋まらなかったという方は、せっかくの機会なので、まずは重要か、本質的かと悩まずに、どんどん埋めてみましょう。

そうすると、まず、自分が自身のブランドのどこを理解できていないかが見えてきます。

Sensesのところに書くことないなぁ」というのは、おそらくありえないケースなので、それはすなわち理解できていない・見落としているか、あるんだけどちゃんと把握・言語化できていないか、一貫性のある戦略的・本質的なものが欠けている=改善のチャンスか、のいずれかです。

「おいおいSensesのところが満員だぞ」というのは、かなりの確率でBehaviorに当たる=長期的・本質的でない「部分たち」を詰め込んでいるからだと思います。 それら全体が、あるいは一部が、どんな感性・感覚を体現しているのか考えて、そっちを書くようにします。

Mind分野ばっかりてんこ盛りだぞ」という方も、少なくないでしょうね。 ブランドの本質に関することなので、まず問うべきは「本当にそんなにたくさんのことがお客さんに認識され受容されているのか?」=自分たちはそれらを提供していると思っているが、お客さんはそう思ってるのか? そしてそれらは長期的に重要なことなのか? むしろ多すぎて自分でチャンスを狭めていないか? 機能や特徴ばっかりで、ベネフィットがない・少ないのではないか? などを問いかけてみるべきでしょう。

Heartは埋まってるけど、ホントにこれ?」もよく出会います。 そういうとき頻出する単語が、信頼・信頼感、安心感、のようなぼんやりしたものたち。 ホントにそれはちゃんとベネフィットとして提供し、享受されている・されるべきものなのか? ブランド特有のものなのか? 信頼、安心、って、どんな信頼・安心なの? などなどを突き詰めてみましょう。

 

 

そうしてある程度まとまってきたら、次の作業。

これがわりと高度な思考作業なので、うまく説明できるか自信ないんですが。

(モデルそのものはシンプルなんですが、ここを体得するのは、結構難しいのかも。 その意味でマーケティング中上級者向けなんだろうなぁ。)

 

全体を(ぼんやり)見渡して、「このひと、どんなひと?」と考えてみます。

 

 

ちょっとやってみましょうか。

えとじやフレームワークブランド

すっきりした(意図的に、ちょっと安っぽい)味のアイスキャンディー(氷菓)で、子どもでもお小遣いで買える手ごろな値段、しかも、なんと当たり付き、というのがMind

Heartは、すっきりした気分にさせてくれる、どこか懐かしい気分にもさせてくれる。 (当たるかどうかちょっとわくわくする、当たると妙にうれしい、のもそうですね。)

しかし、それだけではなく、暑い夏の日の午後、遊び疲れたとき、でも、今の楽しさから離れたくない、「楽しかったね」と言わなくてもその気持ちを共有できる、ま、いいか、悪くないよね、と思わせてくれる、ちょうどいい時間つぶし、その時間を友人と共有できること、さらにはその思い出(実際にその出来事を経験していなくてもそう思えてしまうノスタルジー)、という情緒的な意味が、このブランドのとても大切なHeart要素ですが、これはSensesにもかかってくる経験的ベネフィットなのだと思います。

Sensesに当たる特徴は、なによりその食感=どストレートの味・食べ心地もそうですが、ぺらっぺらの青いパッケージと漫画のキャラクターのイラストが醸し出す、得も言われぬ安っぽさと親しみやすさももちろん重要な要素ですし、広告やコラボや販促にも、一貫してこの感性は実現されています。 うまく言語化できてるかわかりませんが、私は「古くないのになつかしい、安っぽいのにそれでないといけない、がきんちょのおもちゃ」と理解しています。

そして、このブランドのコアだと私が(勝手に)思っているのが、その人格・大義=「がきんちょ(の頃)の楽しい時間、夏休みも遊びの時間も、いつか終わることは知っている、でも、この時間がずっと続いたらいいのになぁ、世の中そうだといいのになぁ」、とそんな風に世の中を見ている・とらえているんだと理解しています、これがSoul

 

どうでしょう? どんなひと=ブランドですか? かなり、いいやつですよね。

友達にしたい、あるいは、昔、そういう友達いましたよね。

困ったことがあったとき、決して解決策をくれたりアドバイスしてくれたりはしないけど、一緒にいてくれると、もうちょっとだけがんばれそうな、そういうひとじゃないでしょうか?

難しいことを考えたり話したりしなくていい、「な?」、「ああ」でだいたい済んでしまう仲の友達。

 

ものすごい強いブランドであることは、誰も反対しないと思いますが、その強さはどこから来ているの?というのを、歴史や販売力、価格や競合状況のせいにしなくても説明できます。

あの、笑ってしまうような限定フレーバーのばかばかしさが、実はブランドの根幹と深く結びついていることも納得できます。

そして、子どもだけではなく、実は3040代男女の消費が高いのですが、それも納得できます。 子ども、がきんちょだったことのあるひと、がきんちょの心を持ったひとには、必ず響く要素満載だからです。 残業の途中、ちょっと残りの仕事を片付けるために自分に小さな気合を入れるときに、だらっと食べてしまうのは、当然なんです。

(いつもガリガリ君の例ばかりですいません・・・・みなさんにわかっていただきやすいかな、と思って。 実は、赤城乳業の方に確認したことではなく、私が勝手に考えてることなんですけどね。)

 

 

こうしてブランド全体を「ひと」として包括的にとらえると、その「ひと」が次に何をすべきか、どんなことはキャラに合っているのか、どういうことはやっちゃいけないことなのか、どんなことをするとみんながびっくりしながらも納得してくれるのか、が、見えてきます。

リニアな論理的組み立てとして思いつけることより、ずっと広がりも深みも出てくるんじゃないでしょうか?

昨今、世の中では、ブランドが社会にどのような価値を提供できるのか、すべきなのかが問われることが多くなってきましたが、そんな場合でも、とりあえず木でも植えておくか?に帰結せずに済みます。 (木を植えるのは大事なことなんですけど。)

 

また、全体を見渡したあと、ひとつひとつの要素を再度見直すと、「合ってない」異質なものがはっきりしてきます。 「これ、このブランドに要る?」みたいな。

そうしたら、それをそのままにするのか、少し変えてブランドにしっくりくるように変えていくのか、むしろその違和感を「イノベーション」に変換できないか、思い切って捨て去るのか、などの議論ができるようになると思います。

私の実体験で言うと、世の中の多くのブランドで、要らないアイテムたちがぶら下がっていて、それがブランドの価値を不明瞭にしてしまっているのを見かけます。 おそらく競合対策やニュース作りのために出されたりしたものたちなんでしょうね。 そういうものたちをリストラするのにも有効な視点を与えてくれます。

 

 

と、以上、ひとまずSenses/Heart/Mind/Soul/Behaviorモデルをブランドに当てはめてみる、そうして全体としてのまとまりや一貫性=ひととしての信頼や魅力の源泉を探ってみる、でした。

 

たぶん、次回でこのシリーズを締めくくることになると思います。

今まで話してきたことを、全部ひとまとめにして、眺めてみる、考えてみる予定です。

(もしかすると、そのあと第6弾で「余談集」があるかも?)

 

お。

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ここで、一旦、Senses/Heart/Mind/Soul/Behaviorモデルから少しだけ離れて、寄り道。

ひとにとって「カテゴリー」って何なんだろうというのを考えてみます。

寄り道、ですが、次に進むために重要な考え方であり、また、みなさんがご自身のブランド・商品・サービスのポジションを考えるのに、そしてインサイトを開発するのに、絶対いいヒントになると思いますので、こっちの道をまわっていきますね。

 

なお、いきなりここから来られた方、で、これの前、何の話してたの?という方へ:

    極意のフレームワーク~1.ひとを捉える - ひとは「感覚」と「こころ」と「あたま」と「たましい」と「ふるまい」からできていて、ひとが、どのように感じ、想い、考え、行動しているのかを把握する、考える、想像してみる=つまり「深読み」するのが大事ですよ、というお話。

    極意のフレームワーク~2.捉えられることの限界と可能性を知る - 質問して答えてもらえることは、結局、ことばというBehavior・ふるまいに過ぎない、これが「捉えることの限界」。 これに対して、「察する力=深読みする力を身に着ければ、ことばだけに頼らなくても判断できるようになる」、それが「捉えられることの可能性」というお話。

でした。

 

極意3中村


~ひとにとって、「カテゴリー」とは何なのだろう?~

 

さて、通常、マーケティング界隈において、「カテゴリー」と言うのは、売り手が自身の商品やサービスの市場を限定するときに使う用語です。 一方、消費者にとっては、つまり生活実感というレベルにおいては、せいぜい「役割」くらいの意味。 洗濯物に使う洗剤、くらいの。 言い方を変えれば、「売り場」くらいの意味合いですね。

 

ここでお話するのは、それらとは少し違うレベルの概念で、どちらかと言うと「生活領域」ということばのほうが、しっくりくるかも知れませんが、ひと(売り手ではなく、消費者・生活者)が、ある商品やサービスと関連付けて考えているもの・ことたち、その領域をカテゴリーと呼んでみます。 (ややこしくてすいません、なるべく言葉を増やさないようにしたいので、ここでは、広義のカテゴリー、またはカテゴリーと呼びます。)

ひとを理解し、広義のカテゴリーを把握すると、今まで見えてこなかったことが見えてきたり、そのひとと仲良くなる(見てもらえる、買ってもらえる)ためのヒントを見つけられたり、新たなチャンス(市場)を発見できたりする(かも)だから、の寄り道です。

 

 

モノを作ったり売ったりしているひとは、通常「カテゴリー」と聞くと、自身の商品と同じような役割を提供している競合たちとそれらが並んでいる売り場(的なもの)を思い浮かべると思います。 ネットのお買い物が増えて、売り場・買い場の概念が少し変化してきたといっても、「カテゴリー」の枠はあんまり変化していないかも知れません。 メインの競合は、シェアの様子によって変化することはありますが。

例えば、ルックの担当者さんに、カテゴリーはと聞けば、住居用洗剤と答え、競合はと尋ねればマジックリンと即答するのではないでしょうか。 BRAVIAの方は、カテゴリー=家庭用AV機器、競合=VIERAなど、と答えるでしょうね。 味の素の担当者さんは、調味料と答えるのでしょうか(化学調味料と答えてしまわないように注意してらっしゃる気がします、発酵食品ですからね)。 競合はと聞くと「無敵」と返ってきそうで、聞いてみたくなりますが、むしろ無数という答えかも知れませんねぇ。

展開する商品群が、複数の売り場や業界、業界団体や管轄官庁にまたがるケースはありますが、その場合でも、複数のカテゴリーを答えるか、それらをまとめた、何らかの名称を答えると思います。

 

では、消費者=ひとにとっては、どうなんでしょう?

実は、普通のひとの認識に、明確で、かつユニバーサルなカテゴリー分けが存在しているわけではありません。 (競合については、「競合」という言葉は使いませんが、迷った・比べた・スイッチしたモノという形で存在します。)

意識としてあるのは、「同じ売り場で売っているものたち」、または「買い替え可能な似た者同士の集まり」くらいの、おおまかな類別です。 クルマ、とか、家具とか。

 

有名な話ですが、20年ほど前になるでしょうか、チューインガムの売り上げが下がったとき、当初、各メーカーは競合が売り上げを伸ばしたからではないかと、いろいろ分析したところ、全社下がっている、キャンディーが伸びているわけでもない、どういうことだと思っていたら、iモードなどの、携帯電話の機能が急速に充実し始めたことで、「ひまつぶし」の時間がガムから離れていったのが理由だった、というのがありますよね。

これが、ひとにとってのカテゴリー、「生活領域としてのカテゴリー」です。

「通勤などのひまつぶし」という生活の領域に存在する「時間」というリソース、それまでガムが占めていたシェアを、携帯電話に奪われた、ということです。

 

あなたのモノ(商品・サービス)が、ひとの、どの生活領域に属しているのか、何と関連付けられているのか、何と比べられているのか、そもそも重要なのか、誰がその良さに気づいているのか、そうしたことがわかると、モノありきの戦略・プランニングや競合対策の連鎖から、ちょっと離れて考えることができるのではないでしょうか?

ブルーオーシャン戦略、というほどの鮮やかなものでなくても、新しい切り口・インサイト、ブランドの拡張、消費者とのより強い結びつきのヒントは見つかるはずです。

 

 

では、どうやって考えればいいの?、ですよね。

以下は、私が今までに教えてもらったり発見したりしてきたことを、なんとなく(!!)こんな感じかな、と整理しているフレームワーク(もどき)です。

参考になれば。 (たぶん、なると思います。)

 

(先にお断りしておきます。 英単語が頻出してしまって、すいません。 ニュースでこいけさんを見るたびに「こういう風に見えてたらやだなぁ、かっこ悪いなぁ」と猛省し、常に最大の注意を払っているんですが、こういう「概念」の話をするときは、実は英語のほうが、手垢がついてない分、使いやすかったりするもので・・・。)

 

 

まず、第一に考えてほしいことは、Involvement(関与度)です。

あなたの商品・サービス(や狭義のカテゴリー)が提供しているモノ(ベネフィット・機能・役割など)は、お客様の生活や人生にとって、どれくらい関わりの深い・浅いモノなのか、です。

人生・生活における優先度合いと考えてもらっても問題ありません。

(結構ショック受けちゃったりしますけど、大事ですので、理解しましょう。)

 

Involvement(関与度)とは、2つの要素からできています。

ひとつは、関心度、要するに興味ですね。 重要度と考えてもらっても大丈夫です。 そのひとにとって、大切か、強い興味・関心を持っている、気にしていることかどうか。 もちろん、あくまで相対的なものですけどね。

もうひとつは、頻度、つまりどれくらい頻繁に使ったり買ったり目にしたりするモノか。

関与度とは、ざっくりこの二つの掛け算です。

あくまで一般的な傾向としての例ですが、例えば、めったに買わないけど、とても重要なものとしては、住宅とかクルマとか。 (って書くと、金額か?と思ってしまいそうになりますが、そうでもありません。 あとで、ちょっと解説します。)

人生においてさほど重要ではないが、頻繁に使う・買うもの。 食器用洗剤なんかが代表格でしょうか。

両方高いものも存在しますし、両方低いものも存在します。

 

すでに書きましたが、相対的なものですので、大事なことは、その関与度が、そのひとの暮らし・人生において、どの程度の強さなのかを知ってください。

例えば、食器用洗剤は毎日使う、毎月買うものなので、関与度は高めだけれど、「そのひとの、今生きている人生の中で重要か?」と考えれば、まぁ、おそらくかなり下のほうですよね。 

 

その昔、世界に名だたる某リサーチ大好き消費財メーカーさんが、衣料用洗剤の消費者意識を深層心理レベルまで探ってみたいと考えて、ついに催眠術みたいのをかけてインタビューしてみたところ、彼女たちにとって、「洗剤なんて本っ当にどうでもいい」ことがわかった、という都市伝説がありますが、まぁ、そうでしょうね。 そんな大それた調査しなくても、衣料用洗剤の関与度が、息子の学校の成績より高いというのは考えにくい。

 

また、保険の仕事って、大変だろうなぁとつくづく思う(やったことはありませんが)のは、滅多に考えない・使うシーンに出会わないし、いざことが起きない限り重要だったとも気づきにくい、気づいたときはもう遅い、想像して楽しいことではないことが多いので、Senses・感覚もHeart・感情も動いてくれないので、Mind・理屈か、常識というSoul・価値で攻めるしかないのか?・・・・。 Involvementの低いカテゴリーの代表な気がします。

 

一方、これまたよく受ける質問なんですが、「こんなに高い化粧品を使っている女性たちは、世帯所得・可処分所得が高い社会階層のひとに違いない」みたいな。 化粧品に限らず、いろんな商品群で調査していますが、ほぼ間違いなく「所得は関係ない」です。

答えは、関与度が高いから、です。 そのひとにとって、大切なことだから、なんですね。

 

これが、Involvement・関与度。

まずは、あなたのモノの、お客様の生活の中での関与度を知っておきましょう。

高くて困る、という方はいないでしょうが、低いんだけどどうするの?という方、ここからが重要です。

あなたの商品の関与度が低い場合、では、どうすれば高い関心を持ってもらえるのか=カテゴリーの定義あるいは再定義、そのための考え方に移ります。

 

えとじやフレームワークカテゴリー


ひとにとって、どの領域が「カテゴリー」なのかを探るうえでの指針になるのが、この4つの要素です: Community(ひとびと・関係するひとたち)、Task(こと・役割・目的)、Place(場・使用などに関連する場所)、そしてMoment(とき・関連する機会)。

すべてを埋める、というものではなく、どこが大事なのかを整理するための要素だと考えてください。 特にCommunityは、残りの3つすべてと関連することが多いですね。 逆に言うと、Communityは、常に考えておけ、ということでもあります。

(実は、もともと私は、TaskPlaceMomentで考えてたんですが、いつだったか、音部先生から「お。さん、カテゴリーとは、実はコミュニティなんですよ」との、まさに天の啓示をいただき、「おぉ~~~、すっきりした~っ!!」となったんですけどね。 音部さん、いつもありがとう。)

 

 

ひとつずつ説明しますね。

まず、おそらく一番わかりやすいであろうTask・こと、から。

Task=役割・使用目的なので、狭義のカテゴリーに一番近いです。

ただし、それをどう定義するのかが重要。

 

お風呂掃除用の洗剤を考えてみましょうか。 まさにその名前が、最も狭いカテゴリー定義ですね。 「お風呂の掃除をする」という仕事=Taskに紐づいているわけです。

ここで、ひとに「お風呂掃除はお好きすか?」と聞くと、大抵の場合、「嫌い」・「大変」と答えが返ってきます。 で、何が不満ですか、と入っていくと、「しょっちゅうやらないといけない」、「腰が痛い」、「服が濡れる」、「カビが落ちない」、「ニオイが消えない」、「ぬるぬるしたところを触るのがいや」、「旦那がやってくれればいいのに」とまぁ、予想にたがわない答えたち。 調査の必要もない。

が、一歩引いてみると、お風呂掃除も「家事」というより大きなTaskの一部でもあるわけですよ。

そこで、みなさんが大嫌いな皿洗いやアイロンがけなどと一緒に語ってもらうと、突然、「実はお風呂掃除は家事の中では、どちらかというと好きなほうだ」ということがわかってくる。 なぜなら、きれいになったお風呂に入って、自分の肌で「つるつる・キュキュッ」というのを味わえるから、というのを発見できたり。

「どちらかというと楽しい家事なんだ」と考えると、さらにいろんな発見がありそうですよね。

 

ちなみに、前述した「ガム=ひまつぶしカテゴリー」は、このTaskで理解することができますよね。 ひまをつぶす、というTask

 

 

次はPlace・場(関連する場所)に行ってみましょうか。

すごく簡単に言ってしまうと、置いてある場所、使う場所、ということなんですが、それだけでなく、ひとが特定の場と関連付けて考えたり記憶していたりする場合、Placeという視点で整理するわけです。

 

これもわかりやすい例を挙げておくと(日用品的なものばかりですいません)、洗面所とかお風呂場とかキッチンとか、そういうやつです。 シャンプーは、髪の手入れ(ヘアケア)というTaskですが、同時に、お風呂場というPlaceにも紐づいています。 台所用洗剤は、料理という(楽しい)Taskとはほぼ無関係で、皿洗い・後片付けという(いやな)Taskに強く結びついていますが、同時にキッチンというPlaceにも紐づいている。

古い例ですが、花王さんがピュアという台所用洗剤でヒットを飛ばしたのは、キッチンを少しでもかわいくして、楽しく使いたい、というPlaceの視点で発想できたからですね。 (当時、少なからぬP&Gマーケターたちが、こんなおもちゃみたいな洗剤売れるわけがないと高をくくっていて、あとで驚愕していたのを思い出します。)

 

 

しかし、どうしてもTaskPlaceでカバーしきれないエリアがあって、それがもうひとつの領域、Moment・ときです。

特定の機会、イベントや記念日、季節などに強く関連している商品やサービスは、この領域にひとの記憶・思い出・希望・不満・不安・ジレンマなどが一緒に潜んでいます。

 

一番わかりやすい例は、テーマパーク=家族や友人・恋人と楽しい時間を共有するというMoment、でしょうか。 あと、クリスマス、誕生日、卒業、夏休み、お盆、など。

お父さんが使う電気シェーバー、買い替え~トレードアップ(場合によってはスイッチ)が発生しがちなのが、父の日だけでなく、昇進や転勤などのMomentです。 そもそも最初に買ったのは就職したときだったりするので、たかが髭剃りですが、実は男性の人生の瞬間瞬間と大きくかかわっているカテゴリーなんですね。 「朝、ひげを剃る」というTaskだけで理解しているのとは、見えてくる世界が違いますよね。

あと、おもしろいのが、普段は「お風呂用洗剤」と「窓ふき用洗剤」は、わりと別々のTask、別のPlaceに収まっているんですが、年末だけは「大掃除」というイベントに集まってくる。 私自身は、この分野、あまり掘り下げたことはありませんが、何かおもしろいインサイトが転がってそうです。

 

 

そして、Community・ひとびとの話をしましょうか。

先述したように、Communityは、TaskPlaceMomentのすべてと重なり合う要素です。

あなたの提供するモノと関連している領域を探るときに大切な指標で、ごく簡単に言ってしまうと、ベネフィットをシェアできる、または、得ている・得ることができるベネフィットに気づく可能性のある重要なひと・ひとびとは誰で、そこではどんなことが起きているのか、ということでしょうか。

家族だったり、恋人だったり、職場の知り合いだったり、友達だったり、通勤ですれ違う知らないひとたちだったり、場合によっては「自分(だけ)」というのもありますし、実は「まだ見ぬ誰か」というのも立派なCommunity。 (今日に限って安いサンダルを履いてた♪、が、心に響く理由はここにありました、余談でした。)

どのコミュニティ・社会集団に属しているモノ・ベネフィットですか、という視点です。

 

お風呂掃除用の洗剤は、もちろんお風呂掃除~家事というTaskとの結びつきが強い商品ですが、同時に「家族のお風呂」でもあるわけです。 子どもと一緒にお風呂に入って、「キュッキュ!」って楽しくないですか?

お風呂場というPlaceに強く紐づいているシャンプーには、しかし同時に、「私が私をちゃんとケアしてあげているひとり時間」という「自分ひとりの世界」というCommunityにも属しています(Momentとも捉えられますが、特定可能な特別な「とき」というよりは、「ひとり」というCommunityと考えたほうがしっくりきます)。

たとえその商品・サービスの機能や使用シーンが、Communityと直接結びついていなくても、ベネフィットは必ず結びついています。 ファッションやクルマのような、「社会的」商品だけでなく、パーソナルな商品でも。

よく使う例で、耳にタコかもしれませんが、ガリガリ君は、友達や家族(との思い出を含む)というCommunity抜きには理解できないブランドで、その属するCommunityは、ハーゲンダッツとは全く違う領域です。

これも少し古いでしょうか、のどごし生は、「みんなでわいわい、がんがん飲むビールが一番うまいよね」という、ビールカテゴリーの大切なCommunityインサイトに立脚したブランドで、ベネフィットを味などの特性ではなく、カテゴリーのインサイトに紐づけたスマッシュヒット。

 

 

ふ~、やっと解説が終了。

すいません、簡単な話なのに、長くて。

 

これが、カテゴリーを捉える、整理するための、インサイトを見つける場所を見つけたり、ホントの理由を探ったり、ブランドのホントの存在価値を考えたりするための、私のフレームワークです。

商品の開発やマーケティング施策で何か打つ手はないかと考えるとき、調査などで得てきた発見や学びを整理したり、その中に新たなインサイトのタネを見つけようとするとき、新たなビジネス領域を見つけ・作り出すヒントを探したいとき、そして、自分は本当に消費者のことを理解できているんだろうかと不安を感じたとき、使ってみてください。

 

で、あとは、長い余談。

 

 

化粧品の世界では、謎の常識(?)ですが、スキンケアとカラーメイクにまたがって強いブランドを作るのは至難の業。 (そして、クレンジングだけは、さらに別、というのもあります。) これは、メーカーにとっては、ひとつの、または隣同士の業界であっても、ひとにとっては、かなり離れたカテゴリーだということが理由だと思います。

たとえ同じ場所に保管されていたとしても、TaskCommunityが全然違うからですね。 (クレンジングはPlaceも違う。)

だからお客さんに「同じブランドのほうがいいに違いない」と思ってもらえないし、片方にかけるマーケティング投資が、もう片方に波及しない。

 

同じことがシャンプー・コンディショナーとスタイリング剤の間でも起きます。

かたやお風呂というPlace、髪のお手入れというTaskなのに対して、もう一方は洗面所というPlaceにある身支度というTaskなので。 ひとつのブランドであることに「効率」はあまり期待できないんです。

さらに悪いことには、これは店頭に関することですが、一緒に売ってると売り上げも上がらない(下がります)。 売り手は「ブランドブロッキング」とか「クロス購入」とか言って、一緒に置きたがるんですが、これは買う立場からするといい迷惑。 頭が混乱するので、買う気が失せるんですよ。 (なので、結局、売り手も流通も得しない。)

逆の例は、野菜売り場の鍋つゆ、ですね。

 

こんなことも起きます。

より重要な、Involvementの高い領域に自分を押し上げて、価値を高めようとしたら、その領域には自分より重要なものが山ほどあって、すっかり埋もれてしまう、という例。

メガネは、視力を矯正するという明らかなTaskにくっついているモノで、とても多くのひとにとって「できればかけたくない」もの。 (私は違います、大好きです、30本くらい持ってます。)

でも、どうせかけるならおしゃれなものをかけたい、とは思っている、なにせ顔の真ん中にあって、印象を決めるものなので、Taskとは関連していない「他人に与える印象」=Community領域がのしかかってくるわけですよ。

なので、メガネはファッションです、と、そっちの領域に行きたくなる。 しかしながら、ここでものすごく注意しないといけないのが、そこにはメガネより重要なものがひしめいているわけです。 靴、服、カバン、メイクアップ、時計・・・・。 これらはみな超強敵です。 手元にお金があって、今かけているメガネに大きな問題がないとき、これらの中でメガネは何番目にくるのか・・・。 お財布はどれくらいぶっといのか。

 

タラレバの話をしても空しい気持ちになってしまいますが、私は、今、みなさんの手に握られているスマートフォンのブランド名が「Walkman」でないことが、ときどき、すごくすごく悲しくなります。 でも、実際にはリンゴのマークが描かれてますよね・・・。

携帯用再生専用カセットプレーヤーとして生まれ、空前のヒットだったのは事実。 しかし、残念なことにこのブランドはそのまま、その狭義のカテゴリーから出ることを許されず、やがて世の中から(ほぼ)姿を消していきました(あ、もちろんハイレゾの世界で生きてるのは知ってますが)。

製品機能とブランドを結びつけてしまって、ベネフィットに結び付けなかったから、ということだし、それがソニーの戦略だったわけですが、タラレバで語ることを許してもらえるなら、その狭いTaskをカテゴリーとして考えるのではなく、もう少し広いカテゴリーの再定義はできなかったものだろうか、と。 高い機能が自慢だったのはよくわかっていますが、機能の周辺・延長線上だけでカテゴリーを規定してしまわない手はなかったんだろうか、と。

そしたら今私はWalkmanという名のスマホを自慢げに使っていられたのに(この年代ですので、わたくし、SONYファンでございます・・・はい)。

 

長い!

これでも短くできないか、何度か手直ししたんですが、そのたびに長くなっていったのですわ。 (余談が多いしね。)

でも、さすがにここまで。

 

で、次はいよいよブランドを捉える・整理するフレームワークに、そして、Senses/Heart/Mind/Soul/Behaviorモデルに戻ります。

(モデルの名前も長いなぁ・・・・誰かいいネーミング、考えていただけませんか?)

 

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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