えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

いくつか、とても基本的なことを書きます。

もちろん、マーケティングという仕事について。

 

「なんで、今さら?」と思われるでしょうが、なんとなく書いておこうかな、と思いまして。 今まで、いろんなところで話してきたことなんですが、改めて考え直すというか、学び直すというか、そういう、きわめて個人的な思いで。

つまり「ひとりごと」です。

 


マーケティングはなぜ楽しいのか

~ ひとのこころを動かす仕事 ~

 

マーケティングという仕事の面白さ、というか、醍醐味、というか、そういうのはどこにあるのかな、と考えてみると、ここにたどり着くと思うし、それは、私たちマーケティングに携わるものの「誇り」みたいなものにも通じるなぁと思うのですが、結局、

 

「ひとのこころを動かして、ひとの行動を変えてもらう」

 

ということなのかな、と思うのです。 

基本1

もちろん、これは対人の仕事の多くに通じることで、マーケティングに限ったことではないんですが、マーケティングにおいては、これを多くのひとを相手に、直接会わずにリモートで、効率よくやることが求められます。

 

モノを作るだけ、ではない。

しくみや制度、法律・規制などを組み立てておしまい、ではない。

正しい知識や情報を与えればいい、ということ・だけではない。

伝えればそれで済むわけではないし、理解してもらえばいいだけでもない。

ひとの行動が変わって、その結果として目指す目的・結果(ビジネス)が達成されて、初めて仕事がコンプリートする。

 

マーケティングでは、(政策と違って)行動を変えるために、罰則を設けることはできません。

ま、手法として、脅す、追い込む、焦らせる、というのが、無くはないんですが、長い目で見るとあまりいい結果につながらないし、実際、あまりいい思い出はありません。

 

そっちのほうが正しいから、得だから、間違いないから、という理屈だけでは、ひとは自発的に動いてはくれません(この1年のコロナ対策のことを思い浮かべてもらえば、わかりますよね)。

たとえ、それに大量のメディアを投下したとしても、効率悪い。

 

ひとの感情や感覚や大義に働きかけることで、自発的に行動を変えてくれないと、効率よく結果につなげられないわけです。

「楽しそうね」、「かっこいいなぁ」、「私がやらなくて誰がやる!」みたいなことを引き起こさないと。

つまり、ひとのこころ・気持ちを動かすことが求められている仕事なんですね。

 

さて、そのためには、私(ブランド・会社・製品・サービス)は一体誰なのかをはっきりさせて、誰に好きになってもらいたいか考えて決めて、彼・彼女がどんなひとでどんなことを考え感じているかを知り、何をわかって・感じてもらえばいいのかを考えて決めて、どう行動を変えてもらいたいのかをはっきりさせて、どういう伝え方がいいかを考えて、いつやるのがいいのか考えて、作って、伝えて、というすべての作業が必要なわけです。

そして結果が出たとき、それはつまりそのひとのこころを動かして、行動を変えてもらえたんだ、ということの証、あるいは、そうならなかったんだという反省。 

それを見て、また次にやるべきことを考えぬく。

 

こうしたことが、当然のように「こころを動かして行動を変えてもらう」ことくっついてくるので、マーケティングの仕事は多岐にわたるわけです。

 

そして、これが、なかなか当たらない・・・。

で、当たった時は、「よっしゃ」、「やっほぅ~」、「(さすがオレ)」、「よかったね」、「ありがとう!」となるわけです。

しかも、ときどき、お客さんの生活などの変化を実際に目にすることができたり、お客さんにお礼を言っていただけることもあったりする。

 

いやぁ、楽しいはずだわ。

 

ぼんやりした記事ですね、すいません。

 

お。

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2021年、やはり、世の中、荒れ模様のスタートになりました。

多くの(ほとんどの)ビジネスも、今しばらくは、こうした不安定・不確実な環境要素に対応する日が続くんだと思います。

 

さて、2021年になったばかりなのに、2022年のことを語っても、ですが、おそらく、21年の終わりごろから22年にかけて、弊社はとても忙しくなると思います。

(あくまで、もうしばらくすると、コロナとの向き合い方にある程度の折り合いがつくようになるという前提ではありますが。)

それは、今年の後半くらいから、多くのビジネスにおいて、不調の原因がコロナではなかった(かもしれない)ことが、明らかになってくるからです。

 

「あれ? コロナのせいじゃなかったの?」

 

コンサルというのは、(残念ながら多くの場合)具合が悪くなったビジネスの面倒を看る仕事でして、おそらく今年の後半になってくると、多くの会社・ブランドが、ビジネスの停滞・低下の直接の・最大の原因が、コロナではなかったことに気づき始めます。 あるいは、「もうコロナのせいにしてられない」となるはず。

(すでに気づいているところは、ちゃんと対処できるので、弊社のドアを叩くことは無いでしょう。)

コロナ特需で伸びてるだけ、というビジネスもあるんでしょうが・・・。

 

お仕事をたくさんいただけるのはありがたいんですが、忙しくなりすぎて対応できないのは申し訳ないし、何より、ビジネスが手遅れにならないほうがいいに決まっていますので、私たちとしては、

「コロナが本当の理由ですか?」

「いろんなことをコロナのせいにして、深く考えることを忘れていませんか?」

「コロナがもたらす状況や環境に圧されて、戦略的に間違った選択をしていませんか?」

そして、

「せっかく時間があるんだから、じっくり考えてみませんか?」

と申し上げておくべきかな、と。

 

2022年は

 

今、どこの会社でもカテゴリでも、ホントに様々なことが起きているんだと思いますが、以下はあくまで私が見聞き・体験した範囲で、実際に起きていることの例です。

「じっくり考えてみる」ヒント・きっかけになるといいんですが:

 

1.お客さんの行動様式=特に購買行動が変わっただけで、カテゴリに対するニーズやモチベーションには変化がないのに、既存の流通経路での販売実績などをもとに「コロナのせいで売れなくなった、使わなくなった」と結論付けてしまう。 ほら競合も売れてないんだから、うちだけじゃないんだよ、で、安心・思考停止してしまう。

飲食業界・食料カテゴリで起きている変化を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思うんですが、ひとは食べ物を食べるのをやめるわけではない、ただ、入手する場所や経路、食べる場所や食べる相手が変わっただけですよね。

なのに、あたかもコロナのせいで、使うのをやめてしまったに違いない、と判断してしまっているのをしばしば見かけます。 あぶないですね~。

世の中が落ち着いてきても購買行動が戻らなかったり、競合がさっさと対処してしまったりすると、自分のビジネスだけがもとに戻らないという現実に直面するはめになるわけです。

 

2.ビジネスの不調の原因は、コロナ以前から存在していたが、ただ、コロナのおかげでその症状が表面化した・悪化した・より明白になった、というパターン。 実は、これが一番多いんじゃないかなと思ってますが。 弱いブランドに起きがちな現象です。

コロナをきっかけとする何らかの理由で、今までより少し考えてから買うようになったため、「この商品・ブランドでなくてもいい」ことがバレちゃったり、カテゴリで一番大事なベネフィットに関して強いエクイティを持っていなかったために、強いブランドにスイッチされてしまった、などです。

これ、何もしないと、コロナが落ち着いても、戻ってこない可能性が高いです。

 

3.コロナによって発生してしまった短期的な状況悪化の現象に対して、長期的に重要な戦略に逆らう・戦略を変更することで対処してしまう。 これが、一番悲しいパターンです、が、実際に起きてます・・・・。 (しかも、本人は「英断」だと認識している節がある・・・蛮勇ですよ、それ。)

特に営業・流通サイドからの要求が強いときに起きがちなんですが、さらに悲しいことにブランドや会社の長期戦略や戦略的優位性を、短期的な問題に対処するために(多くの場合、営業部が!)変えてしまう。

もちろん、築き上げてきたブランドや会社の強みを今の現金に換えてくるのは、営業の仕事で、そこができないと会社が困ってしまうわけなので、大事なことなんですが、起きている問題と、対処する方法の次元が違ってしまっている。

で、どうなるかというと、コロナが落ち着いてみると、競合優位だった戦略的要素を失って「普通~~~~~のブランド」になってしまっていて、さ、あとは値段で勝負するしかないね、ってなっちゃうわけです。 これ、No.1ブランドでないブランドがやっちゃうと、取り返しつかなくなります。

目の前で起きていることが難しい課題であることは、認識しつつ言ってますよ、もちろん。 簡単に解決できるわけではないのは承知のうえです。 ただ、その問題と、戦略的な変更を一緒くたにして、解決した気にならないように、と。

 

4.戦略的な問題の間違った対処という意味では上の例に近いですが、おそらく財務的なプレッシャーがあるんでしょうね、開発の仕事を延期・中止してしまう、または優先順位を落としてしまう。 これも悲しいですね、でも、実際に目にします。

「今はそんなことをやっている場合ではない、コロナだぞ!」と、仕事の仕分けをして、不要不急の仕事を整理する、というのは、大切なことですし、むしろ、これを機に古くて必要のなくなったものを断捨離するのは、いいことだと思います。 が、ことが開発系の仕事となると、ちょっと待って、となります。 だって成長のエンジンなわけですから。

そんなバカな? とお思いかもしれませんが、あるんですよ・・・・。 「すいません、あのプロジェクト、延期になりまして・・・」って。

さ、コロナが落ち着いたぞ、となっても、イノベーションの手がない、競合は新製品出してきちゃったよ~~~~、と後の祭りなんですがねぇ。

 

5.最後は、ちょっと違うレベルの話なんですが、やはり見かけることがあって、気になるので。 それは、リモートワークが増えたり、対面での会議・面談が減っているせいで「他人の意見や考え方に影響されて考えを進めたり磨いたり、新たな何かを思いついたりするチャンスが減っている」ことでしょうか。

(日本の会社ではリモートワークはあんまり根付かない感じなので、あんまり心配しなくていいのかな?)

私たちの場合、クライアントさんからの依頼などの内容やレベルに顕著なんですが、「それ、ちゃんと考えた?」ということが多くなっているように思います。 少し経験のあるひとに相談したりすれば、解決策を自分たちで発見できたり、もういっこ先の課題にたどり着けたりしたはずなのに、(これ、きっとひとりで考えて、こうしたらいいんじゃないかって思い込んじゃってるんだろうなぁ)みたいな。

 

他にもいろいろありそうですが、ひとまずこんなところで。

 

 

そうそう、ちなみに、弊社、今は忙しくないですよ~。

症状がひどくなる・手遅れになる前に相談しておいたほうがいいかも、と思われたら、ぜひ、ご一報を。

 

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋30年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや番頭。消費者リサーチ歴18年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

  • えとじやお針子

    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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