えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

中小企業をお手伝いしながら気が付いたことをつぶやいていくシリーズ3回目。

初回は、「売れている理由を知ること」は売れていない理由を知ることと同じくらい大事という話を、前回は、「自分の時間は会社のリソース(資産)」であると意識して時間を使わないと利益が出ない、という話をしました。

前回から時間があいてしまったので、よろしければ是非もう一度読んでみてください。 

中小企業診断士的考察とは言いつつ、ビジネスの規模に関係なく、BtoCBtoBかも関わらず、どんな会社・プロジェクトでも本質は同じではないかと感じます。 ですので、中小企業、個人事業主さん以外の方も、是非自分に置き換えながら考えていただければ、と。

 

前回のリソースの話ともつながるのですが、

今回のテーマは「自分がいなくても回るビジネス」について考えてみます。

 

 

経営者が、自分の時間をより効率良く使おうと思うと、今おこなっている作業のうちのどれかを人に任せないと成立しません。 ただ、どうやらそれが、かなり難しいようです。

考えてみれば、自分で会社を立ち上げる人は、“自分の得意なこと”や“自分にしかできないこと”を活かして仕事を始めることがほとんどです。 コンサルティング業であれば過去の経験や、分析力、コミュニケーション力かもしれないし、製造・販売業であれば、他の人が真似できない技術や人脈かもしれません。 多くの場合、それらは個人に帰属していて、他人に移すことは簡単ではない、というのが厄介な点です。 もしかすると、自分以外の人に移したくない気持ち(自分だけが所有していたい!という感情的な障壁)もあるのかもしれません。

「自分が23人いたらどんなに楽か」と、ため息をつく経営者は多いと思います。

 

ただ、自分と同レベルの人たちを集める・・・なんてことは、なかなかな容易ではないので、早いうちに「自分がいなくても回るビジネス」を考えておきましょう。 そうしないと、ビジネスが大きくなるにつて、時間に追われ、大事なことに時間とエネルギーを使えず、結果として、ビジネス成長の機会を失いかねません。

 

 

シフォンケーキの製造・販売を始めた事業主の方が、ビジネスが軌道に乗ってきたので人を雇って生産数を増やそうとしたところ、難しすぎてうまく作ることができなかった、という話を聞いたことがあります。(シフォンケーキって、しぼまずふんわり焼くのが結構難しいんですよね。) だからと言って、ひとりで作る数には限界があります。 今後どのようにリソースを確保・使用していくかが、この事業の分かれ道ですね。

青もみじこれは個人事業の例でしたが、似たようなことはプロジェクトでも起こっているのではないでしょうか? “あの人がいないとプロジェクトが進まない”、とか、“○○さんが異動になったとたんに売上が落ちた”とか。 そういうのも根っこの部分は同じです。

経営者・リーダーが個人で持っているスキルや知識を周りと共有できていない、または、そもそも、その人が手を動かし続けないと成り立たないビジネスモデル、ということ。


余談ですが、前職では、「私がいないとうまくいかなくて…」というのは、(一見、デキル人のコメントのようですが)実はダメなリーダーの言い訳で、本当に優秀な人は、その人が去った後もビジネスの好調が続くと言われていました。 確かにそうだと思います。

 

 

さて、話を戻して、

ではどうやって「自分がいなくても回るビジネス」にするか、ということですが、

やっぱり任せられる人を見つけるのが近道でしょう。

 

もし幸運にも、自分と同じスキルを持つ人と一緒に仕事をしていて、今手いっぱいなら、すぐに仕事を移していくべきです。 

適任者がいるのに任せられないのは、相手を信用しきれないとか、仕事を手放すと自分の価値が薄まった気がするとか、気持ち的な部分が邪魔をしているからかも。 そういったものは一度横に置いておいて、まずは部分的に始めてみると、思ったよりずっと楽に、そして効率的に仕事ができるんじゃないかと思います。 

 

苔一方で、周りに任せる人がいない人はもっと大変です。

解決法としては、① 任せられる人を地道につくる、こと。

内部で育成するか、外部から連れてくるか、もしくは外部のリソースをうまく使う(外注)などです。 いきなり全部は無理でも、作業を分けて、できる部分から徐々に分担する方法を考えてみては。 たとえば、担当しているクライアントのお店では、全工程を外注するのは品質に関わるので、商品制作の一連の作業を分割してみて、任せてもいい部分だけ外注してみるのはどうか、という話をしています。


ただ、いずれにしても、助けてくれそうな人を見つけるための人脈や、人を見る目は必要です。 また、育成するとなると、時間と忍耐だけでなく、育てる側の育成スキルも必要となります。

育成は中期的なプランなので、先送りにせず早めに取り組み始めることをおすすめします。

 

もう一つの方法としては、 自分のスキルだけに依存しないビジネスにする、ことです。

自分と同じレベルのスキルや知識がなくても、売上が伸びる仕組みにするということ。 

上記のケーキ販売でいうと、たとえば、従業員でも上手に焼けるシフォンケーキのレシピを開発する、もしくは、シフォンケーキに加えて(より難易度の低いだろう)パウンドケーキを販売する、ことなどが考えられます。

 

制作過程をよりシンプルにする、制作が簡単な商品をミックスするなどを試みるということです(製造プロセスの機械化ができれば、手っ取り早いのでしょうが、そんな投資ができる企業は限られているので)。 また、関連分野に事業を広げながら、その分野のエキスパートを雇うということも一案でしょう。 

他にもいろいろ工夫はあるのではないかと思います。

 

今回は「自分がいなくても回るビジネス」について少し考えてみました。

これといった答えはありませんが、考えるきっかけにしていただければと思います。

毎日いそがしすぎて、落ち着いて将来のプランニングをする暇がないという経営者をよく見かけます。 特に業績がよく、伸びている会社に多いです。

後手後手になって、ビジネスチャンスを逃さないように、早めに(理想的には創業前に)いくつかのシナリオを考えておくとよいのではないかと思います。 経営者やリーダーには、一歩先を見る時間と気持ちの余裕が必要ですから。

 

 

最後に、 の「自分のスキルだけに依存しないビジネス」を考える時に気を付けないといけないこと。 それは、特別なスキルが必要ないビジネスモデルにすればするほど、他からマネされやすくなり、その結果、消費者にとって製品やサービスの特徴がわからなくなるリスクが高まるということ。 “技術・スキルへのこだわり”と“合理化”のジレンマですね。 

バランスが大事なのは言うまでもありませんが、だからこそ、もう一つの視点である“ブランディング”が重要になってくるのではないかと思います。 技術やスキルへのこだわりだけでその企業らしさを維持しつつ、かつ、効率化しながら事業拡大することは至難のわざですから。(「中小企業のブランディング」については、また別の機会に)。

 

和。

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シリーズ記事のくせにつづきが10カ月ぶりって・・・すいません。

間が空きすぎていて、何それ?だと思いますが、10カ月前に「センスを良くするにはどうしたらいいのか」について、練習方法として、ともかく考える前に「好き・嫌い」を決める練習をしましょう、という記事を書きました。(こちらの記事です。

まず、それが一番大事な「千本ノック」です。

 

で、それができた、たくさんやったという前提で、次に何をするのか、に、進みます。

難しいことを言い始めると、終わらなくなるので、その「極意」とでもいうべきものに絞って書きますね。

 

それは、「幽体離脱をしてください」ということです。

幽体離脱をして、自分自身を見るようにしてください、ということ。

 

デザインとか広告の評価(特に完成前・制作前のもの)って、とても難しいんです。

マーケティングの仕事の現場では、評価する側が、その道(美術・デザイン・造形・映像・撮影など)のプロではないことがほとんどなので、なおさらです。 かくいう私も、美術の素養は全くござりませんし。

 

例えば、あなたの目の前のパッケージや広告、どれでもいいので、ひとつ選んで、3つ以上文句をつけてください、とお願いすれば、おそらく軽く3つ以上出ると思います。 それがたとえ自分が好きなモノや気に入っているモノであっても。

字が小さい、色がくすんでいる、手触りが良くない、余分な模様や形がある、タレントがかわいくない、音楽がうるさい、変なところで邪魔なスーパーが入る・・・・。

つまり、そういう目で見て「分析」それば、欠点を見つけたり、改善点を探し出したり、けなすのは簡単なんです。

しかし、それらを「直す」と、とても素敵なものになりますか?

これが、ならないんですよ・・・・。

 

つまり何が言いたいかというと、対象となるデザインや広告を、直接分析の対象にしてはいけない、ということです。

分析というのは、「理屈」の仕事で、それは、センス(感覚)→感情の次、最後に来る働きで、センスから最も遠いところにあるもの。

それを磨いても、センスを磨くことにはつながらないんです。

 

そこで、おススメなのが「幽体離脱してあなた自身を見る」ことです。

 幽体離脱図

「えとじや紳士服」の広告が、その写真やそもそも素材として使われている洋服やメガネが、フォントや音楽が、いかに古臭いかを分析するのではなく、「えとじや紳士服」の広告を見て、「あ、なんだがステキだなぁ、かっこいいなぁ」と感じているあなた自身を分析するのです。

(つまりこの「構造」(図)では、誰も広告そのものを分析していない、ということです。)

・私はなぜこの広告を好きだと感じているのだろう?

・なぜ、かっこいいなぁと思ってしまっているのだろう?

・それは、この人の好みや人生・生活に根ざすものなのだろうか?

・洋服や生活スタイル、生き方のスタイルに近いのだろうか、それとも遠いのだろうか?

・何か関連するもの・無関係に思えるものを連想・妄想しているのだろうか?

・広告を構成する諸要素のうち、何が私を動かしているのか?

・それは、ストーリーなのか、伝えられている内容なのか、

・もしかしたら、音や音楽や文字、色や風合いだったりするんだろうか、

・それらの組み合わせが何かを形作っていて、それに反応しているんじゃないだろうか?

などなど、を、幽体離脱したあなたが、ぼんやり「センスだけで」反応している本来のあなたを観察~分析するわけです。

 

この作業を、自主練1で見つけてきた、「好き・いいね」と感じたものたちに、そう感じている「あなた」を幽体離脱して観察する、「嫌いだ・やだなぁ・つまんないな」と感じたものたちを見ている「あなた」を分析する、という具合に繰り返していきます。

 

そうすると、あなたは、あなたのセンスを見通せるようになってきます。

つまり、あなたの感覚や感情に対して、素直に対応できるようになる、それを語ることに躊躇しなくなる、それを他人にわかるように説明できるようになるわけです。

やればやるほど、です。

 

もし、あなたが担当している商品やサービスが、あなたをターゲットとしたものでない場合(私のような50過ぎのおっさんが、若い女性向けの化粧品を担当する、みたいな)、十分に上の作業に慣れてからですが、自主練1の対象物を、担当商品・サービスのターゲットが見るもの・使うものにしていけばいいんです。

そして、あなたが好き、で、ターゲットも好きなもの、に、あなたはどう反応しているのか?

あなたは嫌いだけど、ターゲットが好きなものには?

あなたが好きで、ターゲットに受けないものについては?

この練習を繰り返すうちに、あなたに「ターゲット」が憑依してきます。

大丈夫です。 年齢や性別や人種や収入や家庭環境が違っていても、同じ人間ですから。

 

なんだか、面倒かつ時間のかかる作業ですね。

しかし、あきらめてください。 仕方ありません。 最初に申し上げたように、たくさん実戦で打席に立つか、たくさん練習するしか方法はないので。 (「センスが無い」と言われているひとほど、そうです・・・。)

んが、やれば必ず良くなりますので、そこはご心配なく。

 

そして、やがてあなたは、

「これさ、ここの文字、小さくて読めないよ、大きくしておいてね」

などというセンスのかけらもないコメントで苦笑・失笑されることが少なくなり、かわりに、

「文字を読んでももらう前に、まず感動させないと話にならないでしょ。 読みたくなったら読める大きさでいい、もっと読みたくなるようにしてほしい」

って言えるようになるわけです。

 

たぶん。

 

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋28年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

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    えとじや店員。お抱え絵師(デザイナー)。パッケージデザイナーとしてメーカーで約7年働きました。マーケティングやリサーチはまだまだ初心者。デザインの力を使ってみんながニコニコできるようなものを作れたら嬉しいです。アニメ、漫画、手芸、落書き、クレイアニメーション…、ちまちま何かを作るのが好きですが、大雑把で不器用…。細やかさを欲しています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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