えとじやブログ - ひねくれマーケッターのひとりごと

ひねくれマーケッターのひとりごと

「最近体が重いなぁ…。ダイエットしないと」と、食べかけのスナック菓子の手をとめて、がまんしてみる。

といった行動、身に覚えがある人も多いのでは? 

ご飯をいつもより少なめにしてみた。

時間があったので久しぶりに走ってみた。

流行りのダイエット法は一通りやってみた。

常にダイエットのことは頭にあるし、意識もやる気も高い。 毎日体重計に乗ってチェックもしている。

できることから頑張っているのに、結構ガマンもしているのに、結果が出なのはなぜ?


う~ん…、たぶん無理でしょうね、残念ながら。 なぜなら、行動が場当たり的で、「戦略的」ではないから。

 

ここで、正しいダイエット法(?)について議論するつもりではないのですが、「戦略的な問題解決」というのを身近な例で考えられないかと思い、ダイエットを取り上げてみました。

ダイエットって、結果を望んで時間やお金を費やす割には、多くの場合、行動が戦略に基づいていない典型例だと思うので。

「最近、体が重いなぁ…。 ダイエットしないと」は、そのまま「最近、売上悪いなぁ…。 何とかしないと」に置き換え可能。

「売上をなんとかしないと」と思って、積極的にできることからいろいろやってみた。 今やっていることをとりあえずもっと頑張ってみた。 やる気もあるし、努力もしているのに、なんだか空回り、という状況に心当たりがある人は一緒に考えていきましょう。



「戦略的」と聞くととても難しいことのように感じますが、まずは「問題」と「課題」を明確にすること。 これに尽きます。 

“えっ、問題と課題って違うの?”と思った方、実はそこがポイントなのです。 問題と課題は違います。 それぞれがどう違うのか、どうしたら結果に結びつきやすくなるのか、ひとつずつ見ていくので、最後までお付き合いください。



まずは、何が「問題」なのかをはっきりさせる。

 

ダイエットの例でいうと、「最近、体が重い」ということをあたかも問題であるかのように捉えてしまいがちですが、戦略的に考えると、実は、それはただの現状・現象・結果であって、問題ではありません。

問題とは、理想と現実のギャップなんです。

あるべき姿に到達していないからこそ、何らかの策が必要なわけで、まずは理想と現実の間にどのような・どれだけのギャップがあるかを理解しないと進めません。 なんとなく悪そう、なんとなく不満、なんとなく不安では、問題とは言えないんですね。

(と、いうことは、もちろん理想が明確でないと始まりません。 理想(=ビジョン)が描けていない!という人は、まずはそこからです。 頑張ってください。 あるいはこちらhttp://blog.etojiya.com/archives/6477781.html

 

P1014608 (2048x1536) - コピーAさんもBさんも最近体が重く、ダイエットの必要性を漠然と感じています。

さて、それぞれの問題点は何なのでしょう。 

例えば、Aさんが、来週の同窓会にお気に入りのスカートをはいて行きたいのに、きつくて入らないのなら、問題は、体が重いことでも体重が増えたことでもなく、“ウエストが3㎝オーバーである”ということです。

もし、新米パパのBさんが、子供の運動会でかっこよく走れるお父さんでいることが夢なのに、不規則な生活でお腹が出てきているというのなら、“このままの生活を続けると、5年後には太って軽快に走れなくなること”が真の問題なのです。

「体が重い」という現状は同じでも、あるべき姿がどこにあるかで、問題は全く異なります。 また、ダイエットが成功したかどうかを測るメジャーも違ってきます(Aさんはウエストを、Bさんは走れる体形が維持できているかをメジャーしないといけません)。 緊急性や重要度もしかりです。 

さらに言うと、この2人にとって、体重は、結果を測る主たるメジャーではなさそうです。 必ずしも、“ダイエット=体重を減らす”とは限らないというわけです。

問題点をはっきりさせることで、当たり前だと思っていた“一般的な考え”が、当てはまらないと気付くこともあります。

 

ビジネスでも同じで、「売上が悪い」のが問題だ、とつい言ってしまいがちですが、それでは十分ではありません。

今月の目標売上に5%届かないことが問題なのか、5年後にNo.1ブランドになるというビジョンに対して進捗が悪いことが問題なのか、本当の問題点を明確にしないと前に進めません。 それによって、メジャーも解決策も大きく変わってくるからです。 今すぐ解決しないといけない問題なのか、スピードよりもむしろ中長期的に伸長することが重要なのかの時間軸も違ってきます。

 

あなたのダイエット(ビジネス)の問題点はどこにあるのでしょう? なんとなく芳しくないので・このままではダメそうな気がするので、なんとかしようと策ばかり増やしてしまっていたら、一度、理想と現実のギャップを整理してみるとよいでしょう。

 


問題が明確になったら、次は「課題」を見つけます。

 

課題とは、なぜその問題が起きているのかの“根本原因”の裏返しです。

私は、課題は「見つける」ものだと思っています。 ただ、経験上、課題がわかりやすく表面に見えていることはあまりないように思います。 仮説⇔検証を繰り返して、いくつかある原因の中から本当に重要なものを見つける、といった作業が必要になります。 (店主は、課題はクリエイトするものだ、と言っていますが、意味は同じだと思いますhttp://blog.etojiya.com/archives/6781745.html

 

課題を見つけることは、分析力も問われるし、結構手間がかかるもの。 だから、ついついそのステップを飛ばして、課題を設定しないまま、解決策を実施することに急いでしまいがちです。

“私は大丈夫”と思っている方も、もう一度振り返ってみてください。 意外と「課題を設定する」ステップが抜け落ちていることは多いです。

 

問題から直接、解決策を考えようとするとどうなるのか? そもそも、問題の根本原因を見つけていないわけですから、解決策の的中率が悪くなります。 問題解決に効果の低い、思いつきの策をたくさん打つ羽目になってしまいます。

 

例えば、Aさんの場合。 「ウエストが3㎝オーバーである」という問題が設定できたとしても、なぜお腹周りが増えたのかわからないと、とりあえず巷でダイエットによいと聞きかじったことを片っ端からやってみることになります。 「スナック菓子はカロリーが高そうだから」がまんするとか、「有酸素運動はやせるって聞いたから」走ってみるとか、「炭水化物は太るらしいから」お米を抜いてみるとか。 もちろん、ポイントをついた策ではないので期待した効果が出ない。 でも、効果が出なくてももう他に思いつかないので、“一生懸命がんばる”しかありません。 あとは根性論に突入です(でも、いくら頑張っても、来週の同窓会に間に合うかは疑問ですよね…)。

 

ビジネスでいうと、「売上が悪い」→「売上を上げよう!」→「XXすると売れるらしいから・流行りらしいから・やってないのはうちだけだから、やってみよう!」→「結果が出ないのは努力が足りないからだ。 もっとがんばろう!」といったパターンです。 周りで見たこと・聞いたことありませんか?


余談ですが、食生活の調査をしているとよく遭遇するのが、“やせるために○○を食べています”という人。 

「ナッツを食べているから大丈夫」、「ヨーグルトを食べているからやせるはず」と熱く語ってくれる人に限って、一方で暴飲暴食をしていたりします(笑)。 この人、単にヨーグルトが好きなだけでは? 食べたいものを罪悪感なく食べるための言い訳なのでは?と思ってしまいます。 でも、本人はいたって真剣で、後ろめたさはみじんもありません。

仕事でも、問題や課題と直接因果関係のない“やりたいこと”や、問題や課題の有無にかかわらず“いずれにせよやらなきゃいけないこと”を「解決策」と呼んで取り組んでいるケースを見かけることがあります。

“いずれにせよやらなきゃいけないこと”は、さっさとやりましょう。

“やりたいこと”は、やるなとは言いませんが、それで問題が解決すると期待するのはやめましょう。

もちろん、本来の解決策を最優先させるというのは、言うまでもありません。


課題について、話を戻すと・・・。

もし、Aさんが、ウエストが増えた原因をきちんと考えて、“あ~、先週飲み会が続いて、ビールを飲みすぎからかも。 塩辛いおつまみも食べすぎたし、むくんだんだ!”ということに気が付けば、「ウエスト周りのむくみを1週間でとる」という課題が設定できます。 そうすると、課題に対してピンポイントな解決策(1週間ビール禁止や食事の塩分を控える、リンパマッサージなど)を立てることが可能です。

 

課題を見つけるにあたって難しいのが、根本となる現象が緩やかに起こった場合。 Aさんのような短期的な変化であれば気が付きやすいのですが、少しずつ変化している場合、長期間にわたって振り返ってみないと原因がわからない・課題が見えてこないことが多々あります

Bさんは急に太ったわけではないかもしれません。 でも、よくよく振り返ってみると学生時代から+12㎏! 昔は運動部で鍛えていたのに、就職してから残業続きで体を動かしていなかったことが原因かも。 だったら、「今後も長く続けられる運動習慣を1か月かけて身に着ける」という課題を設定するとよいかもしれません。

ビジネスでいうと、単年で見ると微増微減を繰り返しているだけなのに、10年のスパンで見ると実は大きく客数が下がっていた(または、エクイティやサービスレベルが落ちていた)といったパターンです。 単年で見ていると気付きにくいので要注意ですね。

 

 

話が長くなりましたがまとめると、問題と課題とは、つまりは、“何をするか”の前に、まず“何のためにするか”、“何を解決するためにするのか”を決めるということ。

戦略的とは、それらを考える前に反射的に行動しない、ということです(考えるよりも行動した方が充実感が得られるので、ついつい対処に急いでしまうのですが…)。

 

最後に、蛇足ですが、解決策を立てた後には必ず、“それを実行すれば本当に問題が解決するのか”と、客観的に見直してみることを忘れてはいけないなと思います。

問題―課題―解決策の(因果関係の)筋が通っているというのはもちろんですが、意外に多いのが、きちんと問題・課題が設定できていて筋も通っていているのに、策が小さくて効果が十分ではないというケース。 たとえその策を完璧に実行したとしても、完全に問題が解決されない、ということです(Aさんの例でいうと、1週間ビールを絶って減塩を徹底しても、2㎝しか減らない、ということ)。 方向性が間違っているわけでも、実行力が足りないわけでもないだけに、すごくもったいない・・・。

明らかに足らない場合は、根本的にもっとインパクトの大きな策に作り直さないといけませんし、やや足りないのではと心配な場合は、あらかじめバックアッププランを作っておくのも手です(前日にまでにスカートがはけなかったら、むくみとりのエステに行く!とか)。

いずれにせよ、問題―課題―解決策と進むうちに、しりすぼみになっていないかのチェックはお忘れなく。

 


“戦略的に考えること”って、なんだか難しくて頭のいい人の特殊能力みたいに聞こえますが、ひとつひとつの要素に分けて考えれば大丈夫。

能力というよりは、トレーニング可能な“思考パターン”なんだと思います。

思考のクセが付くまでは、まずは問題と課題を分けて、考えてみる・言葉に出して言ってみる・書きだしてみるのがよいかもしれません。

特に書くというのはおすすめです。

考えていることを的確に文章にするというのは簡単ではありませんが(ちなみに、これは店主の“特殊能力”です)、的確かどうかはまずは置いておいても、何度か書いているうちに、意識しなくても考えるようになるでしょう。



「問題(理想と現状のギャップ)」を明らかにし、根本原因から「課題」を見つけ、「解決策」は本当に問題を解決するものなのか・課題解決に十分かを確認する。 「解決策」から考えようとしない!

これで、今日から戦略的にダイエットができるハズ。

 

ダイエットは必要ないという方は、是非お仕事で使ってみてください。

 

和。

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okamura-san私個人の考え方というか姿勢の話です。

私は、マーケティングに関わるデザイナー、あるいはアートディレクター、ひいてはクリエーターと呼ばれるひとたちは、原則として「やればできるひと」だと考えています。

(え??? そうなんですか?と言ってる、そこのクリエーターさん、そうなんですよ、実は。 ま、原則、ですが。)

理由のひとつは、というか、最大の理由は、私には絵心が無いから、私は理屈で考える・動くひとだから、なんですが・・・。

簡単に言ってしまうと、私(のような理屈中心の人間)とは、違う角度でモノを見ていたり考えたり、発想が違ってたりするということ。


もう少し解説してしまうと、私が論理や言語を軸に発想したり組み立てたりするのに対して、彼らの多くは、映像・絵や、感覚(音・ニオイ・手触り・雰囲気など)を軸に「うごめく」ので、私には「創造的ジャンプ」をしているように感じる・見えるということでしょうか。

なので、私には思いつかないようなアイディアのタネを出してきてくれる。

私には渡れない川を飛び越えてくれる。

私が考えなかった場所や角度にこだわってみせてくれる。

私には「魔法が使えるひと」に見えちゃうわけです。

 

そして、私がこの仕事をしていて、最も楽しいと感じるのが、そうしたデザイナーさん(ここではデザイナーとしておきます)と、一緒に何かを作り上げていくこと。

まず、私が「ことば」で、達成したいこと、概念・コンセプト、戦略、どんなことが起きてほしいか、何に困っているか、を伝えます。

すると、それに対して、デザイナーさんが、何らかの「ネタ」を持って帰ってきてくれる。

「こんな感じのことを言ってます?」

「例えば、こうなったらうれしい、ってこと?」

「こういう「かわいさ」かな?」

「これ、できたら、わくわくしません?」

私には見えていなかった何かが出てくるわけです。

すると、今度は、私の脳が刺激されて、

「あ、それはことばにすると、XXXOOOってことですね?」

となります。 ま、このブログで何度も書いている「言語化」ですね。

この時点で、最初の「お題」が、少し違うものに変換され始めるわけです。

すると、それがデザイナーさんの脳を刺激するようで、「なるほど、そう考えるのね、じゃ、こうしよう・これはどうだ?」と、最初のネタから、さらに進んだものを持ってくる。

そして、私がそれに名前を付ける=「アイディア」の出来上がり。

 

このやりとり、キャッチボールが大好きなんです。

(私が染太郎で、デザイナーが染之助って感じですね。 たとえが悪い・古い??)

 

「デザイナー性善説?

でも、いいものが出てこないで困ってるんだけど、なぜ?」

以前、シリーズ記事として書いたこともありますが(「他人にものを頼むなら」シリーズ)、

それは「頼んでいるあなたの依頼が悪いから」です、たいていの場合は。

彼らには、魔法が使えます。

しかし、魔法なので、十分な刺激があって、気分が乗っていて、しかも、その魔法を理解してくれるはずだと信頼している相手がいないと、出てきません。 魔法そのものは、完成品でないとわからないことも少なくないので、受け手に制作前の設計図やラフでそれを理解できる・想像できるスキルが必要です。

そういう条件を整えてあげるのが、マーケター(戦略側のひと・発注者)の「仕事」なわけです。

そのためには、原則として彼らは「やればできる」ひとたちだと信じないとスタートできないし、前に進まない、というわけです。

 

 

というようなことを、30年近く前、社会人なりたての私に教えてくれた「恩師」が、一昨日、ご永眠されたとの連絡をいただきました。

「そのうち、また、会いたいな~」と時折考えながらも、訃報が届くまで何のアクションも起こさず、「ああああああっ」ってなっている自分が情けないばかりです。 今の私の仕事を見てほしかったなぁ、とか。 だめですね・・・。

ご冥福を深くお祈り申し上げます。

 

お。

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  • えとじや店主

    えとじや店主。マーケティング一筋28年。世の中の様々な問題を「ブランド・マーケティング」で解決する腕利きコンサルになるのが夢。なかなか、そうはいきませんが。 ともかく、マーケティングに関わることはなんでも相談に乗ります。スノーボードと音楽が趣味ですが、「うんちく」と「説教」も大好きです。

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    えとじや番頭。消費者リサーチ歴15年。市場や消費者を理解することで、ブランドが強くなり商品が売れる、という経験を何度も味わってきました。 調査をどうやったらいいのかわからない、結果を見てもどう使っていいかわからない、そんなときにはぜひご相談ください。

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    えとじや店員。兼フードコーディネーター・レシパー。兼マーケティングができる中小企業診断士。どんなことでもたいていやっているうちに面白味を見つけてしまい、ハマるタイプです。 リサーチ、マーケティング、料理など、それを繰り返して今に至ります。今度はえとじやでどんな面白いことが経験できるのか、わくわくしています。

  • えとじやお針子

    えとじやお針子(ライター)。 マーケターを5年したあと、マーケティング博士号取得、その後、リテールサービス企業のマーケ部長に。 なんと、えとじやクライアント&えとじやブログのライター。 理屈も現実もそのはざまも経験、マーケティングの仕事ってなんなの?どうしたらいいの?という悩みにはいちばん共感できる立場かも。

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